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人生なんて、楽しもう。
この記事は、人生が楽しくなかった私が人生を楽しめるようになったきっかけの話。今から14年前の2010年の話。
大学に入学したはいいものの、特に目的もなく、未来のことを考えるには若すぎて、私は毎日悶々としていた。口癖は「俺は何がしたいのか分からない」であり、年齢は20歳だった。
部活もサークルもやっていないから友だちもいない。大学にはほとんど行かず、何をするでもなく、時間があり余った日にはイヤホンでラジオを聴きながらチャリを漕ぎ、どこか遠くに出かけるか、札幌市内の中心部に出かけるかであった。
目的のない人生ほどつまらないものもない。
どんな日だったかは忘れたが、とにかくある日、私は札幌市営地下鉄の南北線麻生駅にいた。
たぶん、札幌駅周辺を散策して、特に何をするでもなく「人生、つまんね」と思いながら最寄駅の麻生駅に戻り、地下を歩いていたのだ。
地下鉄構内には広告が貼られている。当時の私は広告の「こ」の字も興味のなかった20歳であったので、街中の広告を今ほどまじまじと見ることはなかった。
が、今から14年前の2010年のある日、あてもなく退屈に暮らす私の目に飛び込んできたのである。この広告が。
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「人生なんて、楽しもう」
そう左上に書いてある。この広告はJACCSカードのものなんだけど、広告に映る柴咲コウの美しさはこの際どうでもよくて、20歳当時の私はこのキャッチコピーをまじまじと見た。
人生なんて、楽しもう。
普通は「人生」という単語に「なんて」を接続させない。人生とは「なんて」をつけるような軽々しさはなく、とても重いものであるはずだ。だからこそ人は「人生」を真剣に考える必要がある。
と思ってた。
だからこそ人を遠ざけた。20歳やそこらで、やけに理想に飢えていた私は、周りの大学生と自分とは違う存在だと思いたいような、逆に意志の弱い臆病な人間であったので、この広告をみたときに、
「あ、そうか、人生はもっと軽く考えてもいいものなのかもしれない。だって、人生なんて楽しもう、だもんな」
羽毛のように心が軽やかになったことを覚えている。今から14年前の2010年、私が20歳のときのことだ。
ちなみにこの広告を、いわゆる広告的観点、イメージ戦略的な観点で見るならば、この広告を見る前と見た後ではJACCSカードに対するイメージは変化していない。次の行動を起こしていないし、いま現在もJACCSカードはよくわからない。
だから広告戦略的に考えるとこの広告は失敗とも言えるかもしれない。わからないけど。
が、私の人生は変わった。
この広告を見てから。
人の心に何かを残すような仕事がしたいと考え始めたのは。ただその当時、何をどうしたらいいかわからなかった。
この1年後の2011年。
同じ地下鉄の麻生駅の構内、「人生なんて、楽しもう」の広告が貼られていた場所に、宣伝会議主催のコピーライター養成講座の広告を発見する。
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今から13年前、これを見た私は「これこそ私の生きる道」とばかりに即時申し込みをした。バイト代の16万円を握りしめて申し込んだ。
受講生は私を含めて31人。周りは社会人の中、私は唯一の大学生だったが、とても楽しかった。
JACCSカードの広告「人生なんて、楽しもう」は業界的には別に名作でもなんでもないんだけど、私の中では名作なんだよね。
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〈あとがき〉
コピーライター養成講座ってなんなんだ? と当時の私は思ってました。そもそもコピーライターがよくわからなかったのです。しかしこの講座は約半年間かけて広告制作のイロハを教えてくれるおもしろ講座で、当時の私にはめちゃ刺激的でした。今日も最後までありがとうございました。
【関連】コピーライターという仕事について
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