それはまるで、はじめてのおつかい。
今日は土曜日。
たまってる仕事というか、やるべき作業があるから、それを片付けようと思って外で作業することにした。
…
朝から札幌の地下街を歩いていると、少し先に5才くらいの女の子がピョコピョコ歩いている姿が目に入った。
女の子は背中にピンクのリュックを背負っていて、エメラルドグリーンの帽子、紫のスカート、まるでサーティーワンアイスクリームのポッピングシャワーみたいな出たちをしている。
5才くらいの女の子が1人で地下街を歩いている、という光景はある意味では異常で、私がこの女の子を歩いて追い抜くときに思ったのは、
ところが当然、あたりを見回しても、撮影クルーはいない。あのバレバレの愛情いっぱいの撮影クルーはどこにもいない。森口博子も所ジョージもいないし、地下のBGMにBBクイーンズも流れていない。
ここは札幌だしな。
千葉とか茨城のどこかにある漁港や、緑豊かな田園もないしな。
大丈夫かな、と思って少し先を見ると、おそらくこの女の子のご両親であろう2人がいた。なぜこの2人がご両親だと思ったのかといえば、もう1人、3才くらいの女の子がこれまたポッピングシャワーのような服装をして、トコトコ後ろを歩いていたからだ。
と思って札幌の地下街でニコニコしているとすぐ、目の前に「ぬっ」とおばあさんが現れた。頭には白髪が生えて、服装もシック。サーティーワンのフレーバーでいえば、ちょうどバニラ味のような色合い。
と、話しかけられたので、道を案内する。幸い、話しかけられた場所は三越と目と鼻の先だったから、案内も簡単。おばあさんは「遠くから初めてきたんですけど道がわからなくて」と言う。
「そうですか、そうですか」と答える。
…
そうか。
このおばあさんにとっては、まさに今が、はじめてのおつかいだな、と気づいてニヤニヤする。
道案内を20秒で終えて、目的の喫茶店に行こうとすると、この道案内の様子を見ていたであろう別の老婦人が笑顔でたたずんでいた。
なぜだか目があったので、なんとなく会釈をする。
(いま、道を聞かれてましたよね)
(ええ、そうなんです)
という非言語コミュニケーションをしつつ、歩いた。
…
そうだな。
私が道案内をしている様子を黙ってみていたこの老婦人こそ、はじめてのおつかいの撮影クルーのようだな。連鎖するなぁ。
さて、たくさんの作業がある。
片付けていかねば。
みなさん、ステキな土曜日を。
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