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北国特有の春の香り。

道で倒れる人を黙って見つめるしかなかった。

4月3日は月曜日。
スマホの振動音で目を覚ました。


今日から新しい年度が始まるから、きっと外に出れば新品のスーツに身を包んだ若者が、札幌の街をトコトコ歩いているだろうなぁ、とまったく思わずに朝の身支度を整える。


いつものように家を出る。ダウンのコートは不要で、薄手のコートを1枚羽織れば、じゅうぶんに外気からは身を守れる気温になった。


札幌の春は、北国独特の香りがする。


路肩には湿った落ち葉。溶けた雪の水が落ち葉を運んで、一つの場所に固まって点在している。

腐ったゾーキンとも違うけれど、そういう草たちが放つ湿った香り。雪が降らない地域の春は、どんな香りがするんだろう、なんて思ったり。


Twitterやnoteを見ると、この春から新社会人になる人へ向けた投稿・記事がちらほら目に入る。

私のnoteの身近な方では、morii otoさんと大川さんがその不安を3月31日に書きなぐっている。


なんといっても春。


4月3日。
月曜日の札幌の朝。晴れ。

昇って少し経った太陽の光が私の肌を照りつけて、熱さこそ感じないにしろ紫外線が少々気になる。




人だかりがあった。

家を出て、歩くことだけ考えていると、10m先の交差点、横断歩道の向こうに人だかり。朝の通勤時間、ビルが並んだ都会の札幌のど真ん中から少し外れた場所。

西から東方面へ歩く私の正面、その人だかりは赤信号の交差点の角にあった。約10人の人だかり。


「おや、人だかりだなぁ」


と思って、赤信号で足を止める。
何がその人だかりを作っているんだろう、
と思って見つめてみる。


倒れている人がいた。


その横で介抱している男性もいる。

その周りに約10人。救急車はまだ来ていない。来ていないけど、そのうちの誰かが電話しているから、きっと呼んでいるんだろう。心配だ。


倒れている人は、どんな人だろう。


じっと見つめてみた。

そこにいる方々でその問題を解決するであろうし、対岸の火事よろしく、私が出る幕でもない。だから見つめてみた。かわいそうに。4月の初日から倒れている人はどんな人だろう。


金髪の若い男性だった。


表情は見てとれなかったけど、きちんと意識はある様子だった。街中で倒れる人ってのは、めったに見ない。芸能人くらいめったに見ない。


信号はすぐに青になった。
私は北に向かう必要があったので、
その人だかりを通過せず歩いた。


こんな朝から大丈夫かな、無事でありますように、と思ったか思わないか。

でも同時に思ったのは、全国の新入社員で今日倒れてる人はいないかな、と。私とかかわりのある方でいえば、先述のmorii otoさんと大川さんが心配だ。会ったこともないのに。


さらに歩みを進めて、札幌市内の地下街を歩く。


いつものようにサラリーマン男性や、
OL風の女性がぎょうさんおる。

ひとりだけ、若い女性が目についた。

こちらに向かって歩いてくる。
やがてすれ違う女性。

彼女は足が痛いような歩き方だった。

片足が痛そうだ。

たぶん、あれだ。

クツずれだ。


痛そうだな、かわいそうに。


「moriiさんと大川さんはクツずれしてないだろうか」と思ってすぐ「あ」と言いそうになった。

「初日はクツずれに気を付けて。
 絆創膏をもっておこうね」


Twitterでそんなツイートをすればよかったなぁ、と思ったのだった。


なんといっても春。


<あとがき>
ちょうどいまの会社に転職したのが4月1日でした。私がこの業界に流れ着いて4年目の新年度初日です。あのころはたくさんの期待に胸を膨らませつつ、新型コロナで全てが変わったちょうどド真ん中でした。4月から環境が一変したみなさま、どうかクツずれにご用心です。今日もありがとうございました。

◾️マジで疲れたらこの記事を読んでみてね


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〈お知らせ〉
・林太郎さんが週末に札幌へ来っぞ
・実際にお会いして対面で配信する
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