デザイナーのプレイングマネージャーが2023年に読んだ本
こんにちは、GMOペパボ株式会社のminneでシニアデザインリードをしているきでりんです。
シニアデザインリードはデザインとマネジメントをどちらもやるいわゆるプレイングマネージャーです。UIデザインや実装もやることもあれば、サービスデザインやピープルマネジメント、採用活動などもやっています。
去年のデザインリード振り返りnoteを見るともう少し詳しくわかるかもしれません。
今年は読んだ本をいくつか紹介しつつ、振り返っていこうかと思います。会社でマネジメント研修を受けていたのでマネジメント関連も増えました。
デザイナー向け
解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
今年読んだ本で、僕自身に1番刺さったかもしれません。
解像度を上げていくために「深さ・広さ・構造・時間」の4つの視点からのアプローチを示してくれて、「解像度」という概念に対する解像度が上がりました。
デザインしていくにあたり大切になる課題と解決策に対する解像度を上げていくための心構えや行動を4つの視点から丁寧に解説してくれる本です。これを読んで自分の中である物事に対してどの程度理解していて、どう理解できていないのかが整理しやすくなりました。
よりサービスに関わる物事を理解しようとする行動も広がりました。
これまではネットで調べたり、本を読んだりが中心で、その先深く理解しようとする際に、アンケートやインタビューなどリサーチをやらなければならないなと思っていました。
それらのリサーチを専門的にやってきたわけでもなく、自分自身が関わることは少なかったです。
しかしその間を埋めるようなアクションもあるな気付かされました。
ハンドメイドのイベントを成功させるために各地のイベントを観て回るなどのアクションを積極的に取れるようになりました。
デザインする基礎となるスキル・マインドセットを学ぶことができるのでぜひ読んでみてください。
新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義
僕が携わっているminneというサービスが生まれて、もうすぐ12年なります。サービスリリース当初からハンドメイドに対してリスペクトをもち、ハンドメイドによって生まれたものを「作品」と呼び、それを作る人たちを「作家」と呼び続けています。
この12年間で定着し「ハンドメイド作家」という肩書きが生まれました。これは新しい文化が作られたのだと思います。
それをこの本を読むことで確信することができました。
「ラグジュアリー」という抽象度の高い概念を新・旧に分け、世界の歴史、と文化共に解説されいます。単にファッションやアートなどの話ではなく、これは僕たちデザイナーが自分自身のプロダクトやサービスをとおして、どのような文化を作っていきたいのかを考えさせられる本になっていました。
明確な答えは見つかりません。何か新しい物事を生み出す人たちも、これまで何かを続けてきた人たちも、未来を考えるきっかけになるはずです。
アクセシビリティ関連(ウェブ・インクルーシブデザイン / Webアプリケーションアクセシビリティ)
アクセシビリティについては、何か良さそうな本が出るたびに購入しているけど、今年はこの2冊がとてもよかったと個人的に思っています。
ウェブ・インクルーシブデザインは、アクセシビリティとインクルージョンを体系的に学べる本になっていて、実践的な部分もあるけど、世界的な視点から日本はどうだろうと考えれる点がとても良いと思えた。
インクルーシブの概念を学ぶのに優れてるのでおすすめです。
続いて、Webアプリケーションアクセシビリティは、デザインと実装する際に常に隣に置いておきたい本です。
「こういうときはどうしようかな」と思った際のヒントがだいたい網羅されていて、アンチパターンなども一緒に紹介されていて理解もしやすい構造になっていました。Webアプリケーションをつくるデザイナーやフロントエンドエンジニアにはぜひおすすめしたいです。
マネージャー向け
スタンフォード式 最高のリーダーシップ
僕が今年読んだマネジメント系の本で一番影響を受けた本です。
デザインリードになったころから、チーム内で「アサーティブ」の姿勢を大切にしようと話が出てきました。「相手をリスペクトはしながらも遠慮せず自分の意見を表明する」という理解でいたのですが、もっと「アサーティブ」とは何かを理解し、自分自身や組織の成長に繋げれると良いなと思いこの本を手に取りました。
大まかな理解はこれまでの理解の通りで、「エゴと謙虚さ、強さと弱さ、バランスがうまく取れている」ということが書いてあり、アサーティブなリーダーになるためには、4つの要素となるリーダーシップが必要になるとありました。
その要素の1つである「Transformative Leadership(変容をもたらすリーダーシップ)」に、メンバーに変わってもらいたいなら、まず自分が変われるかどうかだとあり、その通りだなと感銘を受けました。
マネジメントを始めたばかりで、良いリーダーになりたいな思っているマネージャー、どのようなリーダーになっていくと良いのかがわかるので、ぜひ読んでみてください。
その他のおすすめマネジメント関連書籍
他の本を紹介する際も同じようなことを繰り返し言いそうなので、まとめて紹介します。
大きな目的を達成していくためには、組織文化、風土を良くしていくことが必要で、それらを進めていくには、見せかけの優しさは必要ない。どうなってもらいたいかを本気で伝えていくことが大事だということを学べる本です。
以上、今年読んだ本からいくつか紹介しました。
これを読んでくれたデザイナーやマネジメントに関わる1人たちと繋がれると嬉しいです。
なおこれはGMOペパボデザイナーのAdvent Calendar 2023の最初の記事です!遅刻しました!