見出し画像

死神と共同作業した時の話

2014年に紀尾井町でOLをしていた頃、
私は自宅のある三軒茶屋から永田町駅までの13分間を
「ヘミシンク」という音響CDをヘッドホンで聴きながら通勤していました。

上京して離婚の手続きをしながら人生のどん底を味わっていたその頃の私は、自分が強く生きていく為にその対局となる「死後世界の探索」に精を出すことによって人生をバランスさせていたのです。

エレベーターに乗るように自由に
あの世を垣間見られるという音響技術がヘミシンクです。
13分の間にあの世の入り口を確認しては
現実世界に戻るということを日々繰り返し、
その浮遊感を楽しんでいたのです。

数年が経過し、私は妊娠していました。

赤ちゃんの出産予定日から1週間ほど遅れていたその日、
朝に陣痛が来ていよいよこれから出産かというタイミングで
隣の部屋にいた夫が倒れました。

脳幹出血でした。

すぐに救急車を呼び、私は陣痛に耐えながら
夫と共に搬送されたのです。

手術が不可能な脳の中心、
右脳と左脳を繋ぐ脳梁部分の出血でした。
みるみる身体機能が失われていき、
耳が聴こえなくなり、目が見えなくなり、
全身不随となり意識を失いました。

その2週間前のこと、
夫は山梨県の大月ピラミッドセンターで行われた
UFO合宿に参加していました。
その合宿から帰宅した夫には明らかな変化が見受けられました。

視覚認識できない何かが憑いてきていたのです。
言葉では表現できない謎の生命体は
闇の穴ような感じで私には認識され、
同時に夫には風邪のような症状がありました。
妊婦の私は関わりを減らすよう、その日から寝室を別にしていました。

深夜、夫の眠るベッドに穴のような闇を見た私は、
腹にグイっと力を込めてその穴に話しかけました。
「あなたはいったい誰なのか…名を名乗れ」
背中を向けていたソレはゆっくりとこちらを振り向いたが何も語らない。
「ここは私の家だ」
続けてソレは
「我は死神じゃ。この者の命が尽きるのを待っておる」
「死ぬ?」
「死ぬる」
「いつ死ぬ?」
「その子と引き換えに死ぬ」
私のお腹を指差した。

「お腹の赤ちゃんと引き換えに???」
「そうじゃ。悪いがそのようになっている」
「ならば今すぐここを去れ!」
「いや、わたしは役目でここにいる」

「退散させる呪文を私は知っている。確か、アジャラカモクレン、テケレッツのパー!」
「いつの時代の人間じゃ(笑)面白いやつだな。しかしその呪文では効かない」
「退散しないのか?」
「残念だが決まりだ」

UFOに連れ去られて夫の命が消える・・・というところで夢から覚めたのでした。

入院手続き書類の記入を終え、夫をICUに送り届け、私は分娩室へ。
その頃にはすでに陣痛が5分おきとなっていて分娩台に上がりました。
2時間後に赤ちゃんを出産した私は、
ICUで死にゆく夫に産まれたばかりの赤ちゃんを対面させました。

身体機能を失って朦朧としていた夫に赤ちゃんを触れさせると、
ゆっくり意識が戻り夫は目から大粒の涙を流して嗚咽しました。
口が何かを呟くように動きました。
あの日の死神が枕元にいてその様子を見守っています。

「死ぬのね・・・」
「はい、この者をあの世にお連れしますよ」

私は赤ちゃんを連れて産科の病室に戻りました。
大部屋を希望していたはずなのに、
病院の計らいで個室があてがわれました。
看護師が
「本当なら赤ちゃんと一緒に過ごすのが決まりなのですが、
今晩はお疲れでしょうから赤ちゃんを預かりますね。
今晩はゆっくり休んでください」
私は広い病室で一人になりました。
2階上のICUには死神を伴った夫がいます。
「なにか方法はないものか・・・」必死で夫の救出方法を考えました。

「そうだ、ヘミシンク!」
これしかないと思いました。

私はベッドに座った状態で瞑想をしました。
まず最初にフォーカス10という肉体を越えた意識の中継点を目指し、
そこからはエレベーターに乗り換え、
あの世とこの世の境目まで一気に昇りました。

ここは亡くなった方との面会ができるステージ。
私はこれまで幾度となく亡者との交信をここで行ってきました。

そこにへその緒の管が出現し、
私はとっさにここに戻ってこられるよう願って
そのへその緒を自分のお腹に巻きました。
この世界に足を踏み入れるのは初めてでしたが、
構わず先へと進んで行きました。

あの世とこの世の境は中国の山水画のような急流の川が流れていて、
その先に見えたのがあの死神でした。
「夫の命を返して!」
「よくぞここまで来たな。面白い。しかしそれはできん」
「死神だって神なんでしょ? 神なら何でもできるわよねぇ」
「神は神だが下っ端なんだよ」
「時間と空間を司る神なのでしょう? ならば、ちょっとぐらい融通利かせなさいよ、ケチくさい。
あなたと私の仲でしょう」
「フッ、何が仲だ。お前に何ができる」
「私はこのままフォーカス23あたりまで行って夫の救出活動をするんだから、あなたも手伝いなさいよ。この辺には詳しいんでしょ?」
「できるものならね」
そう言って、死神はどういうつもりか
アッサリと私の救出活動に加わったのでした。

最高の水先案内人を得た私は、
効率的に夫のいそうな場所を探し回ったのでした。
死神は邪魔をするどころか、
微妙に私に有利なように時空をいじってくれていたのだと思います。
人形のように横たわった夫の屍を見つけて
箱に詰めて下界行きのトロッコに載せたところで、
私の夢は覚めたのでした。


朝、脳神経外科部長が私のベッドを訪れました。
珍しいことのようで看護師たちが動揺してこちらをじっと見ています。
「ご主人、命をとりとめましたよ。
30年見てきましたが、こんなことは初めてですよ。
私もこの奇跡に興奮しています。本当に良かったですね」
そう言うと顔を近づけて微笑み、午前の診察に戻っていったのでした。

画像1


石井数俊側から見た体験が本になりました。
重くなりがちな話を軽やかに丁寧に伝えていて分かりやすい本です。
おすすめいたします!
書籍はアマゾンで買えます。ぜひ読んでくださいね!
https://amzn.to/3AEjdOh

画像2

西きほこの個人セッションは
電話やオンラインで受けることができます。
多次元数秘術鑑定・断易風水・占いのご相談が人気です。
最新のご予約状況はこちら
https://amba.to/2XHGxJ9

画像3


この記事が参加している募集

#眠れない夜に

69,218件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?