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就活で必須の財務分析知識

こんにちは。企業研究マンです。

いきなりですが、就活中の皆さんは、志望企業の財務諸表を読んでいますか?

財務諸表というとなんだかとっつきにくいので、シンプルにまとめてある「決算短信」を紐解いていきましょう。各企業の経営者は、この財務諸表に命をかけています。そこから読み取れるメッセージを、しっかり面接で伝えていきましょう。


なぜ就活生は財務諸表を読まないのか?

就活生の皆さんは、財務書表を読んでいますか?
おそらく、ほとんどの人が読み込んでいないのではないでしょうか。理由はいくつかあると思います。

・単純に読み方が分からない
・情報が多くて読みづらい
・付け焼刃で会計を勉強しても、面接官や企業の人に勝てない

確かに、1社1社詳細に分析するのは億劫です。が!しかし! そこに勝機があるのです。そもそも面接官は財務諸表を読みこんでくる学生と全く遭遇しません。むしろ、財務諸表の読み方が分からない面接官も多いのが実態です。

もし、皆さんの知識が浅くても、大丈夫です。面接官は「行動」を見ているので、「あ、この子はしっかり準備・研究をしてきたな」と面接官に感じさせる・他学生と差別化するのが、就活勝利の鉄則なのです。

基本的な財務分析

財務分析とは、企業の経済的な健全性を評価し、投資家や経営者が意思決定をするための重要なツールです。財務分析を理解することで、企業の業績や成長性、リスクなどについて洞察を得ることができます。

主な財務諸表はバランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書です。これらの諸表を理解し、財務指標を計算して解釈することが重要です。このブログでは、業績をもっともシンプルにまとめた「決算短信」に特化して勉強しましょう。
決算短信は約200ページある有価証券報告書などの法的書類と違い、投資家が、簡単にポイントを理解できるためにシンプルに作成された資料です。

2023年3月期 三菱商事 決算短信

連結経営成績(P/L)

これは、一般的に「損益計算書」と呼ばれる項目で、「1年間でなんぼ儲かったん?」という指標です。

収益(売上高)」は「お客さんにトータルいくら売れたの?」という意味で、どれだけお客さんを獲得できたのかという、会社・事業の規模を示す重要な指標です。商社の場合、日本で100円で買ったコーラを、砂漠の住人に120円で売った場合の「120円」が「収益(売上高)」です。

税引き前利益(営業利益)」は、「儲けから、経費を削減した利益」です。日本で100億円分のコーラを買って、砂漠の住人に120億円で売りさばいた場合、「20億円」が「粗利益」と呼ばれるのですが、「粗利益」から諸経費を除いた金額が「税引き前利益(営業利益)」です。例えば、コーラ100億円分を砂漠に輸送する費用、冷やしながら保管する倉庫、管理する人件費、買ってくれるお客さんを探す広告費用。。。色々とお金がかかり5億円かかったとしましょう。その「売るために発生した5億円(営業費用)」を粗利(20億円)から差し引くと「税引き前利益(20億円-5億円=15億円)」となります。「企業が稼ぐ力」とされています。

当期利益」は、会社の儲けを最も表す項目です。「税引き前利益(営業利益)」から税金や為替などの、企業の努力ではどうにもコントロールできない費用を差し引いて、最後に残った利益です。

これらの3指標は、必ず10年前・5年前・直近3年から遡って調査しましょう。この項目だけで、「成長性」と「事業規模」と「利益率」が分かり、企業研究や面接で「貴社の成長率が高く、成長を求める私に一番あっています。」とか「規模が大きく、大きな影響を与える人間になりたい私にとっては、最も合っていると思います。」、「利益率が高く、付加価値の高いサービスを提供する仕組み・文化がある貴社で、柔軟かつ新しい発想を生かしたい」と言えれば、「なぜ貴社が第一志望か」を論理的に説明できるわけです。出ますね、内定。

バランスシート(B/S)

2023年3月期 三菱商事 決算短信

バランスシートは企業の資産、負債、純資産を示す重要な財務諸表です。バランスシートの分析では、総資産と総負債のバランス、財務レバレッジ、流動性比率などを評価します。これにより、企業の財務安定性や債務返済能力を把握することができますし、会計士目線でいうと、企業・経営者の性格が非常に良く見えて面白いです。攻めの企業なのか?安定的な企業なのか?など、色々と見えてきます。

まずは、バランスシートの基本的な構造について説明します。バランスシートは、ある時点での「資産」、「負債」、「純資産」を示す財務諸表です。金額のバランスとしては「負債+純資産=資産」です。
資産」は企業が所有するすべてのものであり、現金、債権、在庫、不動産、設備などが含まれます。皆さんの身近な例でいうと、お小遣い(カネ)、小遣いで買ったスマホ、パソコン、リクルートスーツなどが資産です。

負債」は企業が他者に対して負担を負っている金額であり、銀行借入金、未払い給与、未払い税金などが該当します。純資産は、資産から負債を差し引いたものであり、企業の純資産の額は企業の所有者の資本となります。身近な例でいうと、友達・親から借りたお金などが負債です。あと、スマホ本体を24分割で払うやつありますよね?あれもローン(負債)なので、例えば14回支払い完了していれば14回分が「資産」、残りの10回部分が「負債」になります。企業は「負債」をたくさん使ってビジネスを行っています。攻めの姿勢が強い企業や、ベンチャー企業は、ここのお金が膨れ上がり、挑戦的な投資が推奨され、会社風土に影響します

最後に「純資産」です。これは、本当に自分たちが持つ資産です。バランスシートは、下図の項目になり、常にバランスします。

ここは、「本当の資産」なので、「負債」と比較して純資産が多い企業は「守りの風土」であり、逆に負債比率が高くて純資産が少ない企業は「攻めの風土」といえます。負債が多すぎてお金が期限までに返せないと、会社は倒産します。それでもチャンスにお金を突っ込むために、積極的にリスクを取ってお金を借りているわけです。

バランスシート分析の重要なポイントについて説明します。まずは資産の構成です。バランスシートから企業の資産の種類とその割合を把握することで、資産の品質や適切な資本配分が分かります。例えば、資産の大部分が現金や債権に占められている場合は、固定資産(でっかい向上やオフィス、大規模なクラウドやIT機材)を持っていないので、何かあった時に潰れにくいということがいえますし、フットワーク軽く、色々なサービスや他業界にも進出できるかも、ということが想像できます。
身近な例だと、でっかい3億円の豪邸と子供5人を持っている人より、ワンルームに賃貸で住んでいる独身男性の方が、別の場所や仕事に変更しやすいですよね。変化や成長を求める人は、この流動資産/固定資産比率(流動比率)を見てみると面白いでしょう。


キャッシュフロー計算書(C/F)

2023年3月期 三菱商事 決算短信

最後に キャッシュフロー計算書です。
これは企業の現金(キャッシュ)の流れを示す財務諸表で、会計士の大好物です(僕だけ?笑)。これは、企業の性格が非常に良く出る表で、「1年間で自由に使える金はなんぼやねん」と「1年間でなんぼ使ったん」を表すのです。キャッシュフロー計算書には「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」があります。やり手のビジネスマンでも、キャッシュフローの計算まで頭に入っている人は少ないです。しかし、経営者が最も重視する表なので、しっかり理解しましょう。なぜなら、売上(P/L)や資産(B/S)と違い、経営者が最も自由に意思決定できるため、企業の性格がモロに出るからです。

細かい計算方法は知らなくてよいですが、営業キャッシュフローは「現金で手にいれたのはいくら」を表し、皆さんがバイトで入金されたカネです。自由に使えますよね?
そして「投資キャッシュフロー」は、「固定資産」や「企業買収」にカネをつっこんだ額です。バイトで入ったお金をどう使いますか?
勉強や自己研鑽のための本や教科書、スマホやPC、(私のnote購入)に使うと、投資キャッシュフローがマイナスになります。この営業キャッシュフロー(+であるほど良い)と投資キャッシュフロー(▲)のバランスが非常に大事なのです!! 「経営の意思決定」そのものなのです!!!

「品切れです、、、、」というのが怖くて、在庫抱えまくっているビビり経営や、商品売ったはいいけどその後の代金回収をビビッて全然していない経営は、営業キャッシュフローが悪化します。これは、非常にのんびり(のんき)な社風です。営業キャッシュフローが稼げないと、投資はできません。

投資キャッシュフロー」は、「稼いだ現金をどれだけ突っ込んだか」ですので、「どのくらい積極的に投資したのか」「何に投資したのか」を見ることができます。

ついでに「財務キャッシュフロー」は、借金の返済や、資金調達です。財務キャッシュフローがプラスの場合はカネを調達しており、マイナスの場合は借金返済をしていると覚えましょう。

2023年3月期の三菱商事の財務分析を見て、個人的に衝撃を受けたのは、2兆円近い他商社比でも圧倒的な現金を稼いだが、追加投資はほぼせず、2兆円近く財務キャッシュフローにつかっていたことです。

これは家のローンがあと20年安く借りられるけど、たっくさんの現金が入ってきたから、株や投資、車の購入はせず、借金かえしちゃおう、という意思決定です。利子が安いものを返すということは、市場的には消極的な経営判断をしていると言えます。

投資先を見つける力が弱くなってきているのか、それとも高値掴みをしないための慎重さなのか、、、この「新しい勝負をしない」という選択が吉と出るかどうかは、5~10年後にでてくるでしょう。組織風土としては、消極的な状態ということが透けて見えてきますね。

最後に

長年面接官をやっていても、財務諸表の分析を面接で話す学生は非常に少数です。非常に強いインパクトを残せるとともに、会社の志望度もしっかり伝わります。また、「志望動機」に「財務諸表の特徴」を合わせられれば、圧倒的な説得力になります。このnoteは、就活始めたばかりの方や、面接を控ええる就活生にとって、非常に強い武器になります。
また、業界によって財務構成は、業界ごとに全く違うので、必ず競合他社の決算短信を比較するようにしてくださいね。

一度に覚えるのは大変だと思います。是非何度も繰り返しこのnote読んで頂き、業界・企業研究の武器にしてください。

皆さんの就活が、実り多いものになることを祈っております!

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