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わたしと靴との長い旅

こんにちは、ぱんだごろごろです。
今日は、私の人生における、靴との苦闘の歴史を書いてみようと思います。

大丈夫、ハッピーエンドです。
「靴とは履くと痛いもの」「靴は痛みを我慢して履くもの」
と思って生きてきた私が、
人生の秋の時代になって、
痛くない靴と出会い、
その後の人生を、楽しく生きられるようになった、その軌跡をお話しします。

学校に通っている時分から、私は靴のことでは、苦労してきました。

端的に言えば、私が履けるサイズの靴を、近所の店では、売っていなかったのです。
通常、子供は、身長が伸びきる前に、足が大きくなりますから、
私は中学の終わりから、高校にかけて、
今現在のサイズになりました。

隠していても仕方がないので、
思い切って書いてしまいますと、
足のサイズが、26センチになったのですね。

今から約45年前のことです。
名古屋もすでに都会だったとはいえ、今とは物流の規模も速さも違います。
26センチの女性用の靴を探すのが、どれほど難しかったか、あなたに想像がつくでしょうか。

まず、需要がありません。
今は背の高い女性も数多く見かけますが、
当時は、私はどこへ行っても、一番背の高い存在でした。
そんな数少ない存在用の商品を、靴屋さんが作ってくれるはずもなく、
当時の女性用の靴の大きいサイズと言えば、せいぜいが24.5センチまででした。
26センチと言えば、男性用しかなく、それも男性用の中でも、大きい方なのでした。

私は、学校指定の革靴には、履けるサイズがなく、そのため、異装届けを学校に提出して、白い運動靴を履いて、通学しました。

名古屋の高校から、東京の大学に進学して、
東京へ行けば、自分の履けるサイズの靴を売っているお店がたくさんあるだろうと思っていましたが、現実はもっと厳しいものでした。

あちこちと探し回った末に、
私が履ける靴を売っていたのは、
銀座ワシントン本店だけだったのです。

その後も、銀座ワシントン本店には、お世話になりました。

結婚式の靴も、ここで買いました。
夫とは、身長差がさほどない(6センチ)ので、ヒールのある靴を履くと、確実に私の方が大きく見えます。

私は銀座ワシントン本店で、1センチヒールの白いエナメルの靴を買い、かかとの黒い部分は、白いマジックペンで塗り潰しました。

夫より、1センチでも小さく見えたい。
乙女心ですね、うふふ。
努力のかいあって、結婚式の記念写真では、それなりに映っています。

その頃の私は、履ける靴自体が少ないこともあり、靴に自分を合わせるのが当然だと思っていました。
靴擦れは当たり前、革靴とは、痛いのを我慢して履くもの、
そう思い込んでいたのです。
その思い込みをさらに助長させたのは、
自分の足指が、外反母趾であると気付いたことでした。

ただでさえ、長く、幅の広い足(4E)なのに、外反母趾まで抱えていたら、靴で苦労するのは当たり前、と思ってしまったのですね。
足の親指の下の部分が飛び出ていて、革靴を履くと、革が足の形に変形します。
自分には、もう合う靴などないのだと、痛む靴を履いているしかないのだと、あきらめていました。

子ども達に手がかからなくなった頃、
友人と会って、ふと長年の靴の苦労の話をしてみると、
友人は真剣な面持ちで、言いました。
足に合わない靴を履いていると、身体を壊すわよ、と。

びっくりしました。
ずっと合わない靴を履き続けてきた人生ですが、まだ今のところ、
健康状態に異常はありません。
けれど、彼女は、そうではないのだ、と言いました。
無理をして履いている靴では、きちんと歩けない。
身体のどこかに負荷がかかり、歪みやねじれが出て来る。
肩凝りや腰痛、頭痛、体の不調の原因になるのだと。

思い当たることばかりの私は、彼女に尋ねました。
この私の足に合う靴には、どこへ行けば出会えるの?

彼女は答えます。
靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせなさい。
オーダーで靴を作るのよ。

正直に言います。
彼女にアドバイスされたにもかかわらず、私はすぐには行動を起こしませんでした。
オーダーメイドの靴が高価なものだということは知っていましたし、
まだまだ子供たちにお金が掛かる頃、
いくら健康のためとはいえ、自分のものにそこまでお金をかけて良いのかな、というためらいがあったのです。

それが、実現に向けて動き出したのは、
知り合いになったひとが、
『オーダーで靴を作りました』
と教えてくれたことから。

木型で一から作るものではないため、そこまで高価ではなく、
徹底的に足の計測をしてくれるため、自分の足にぴったり合う靴を作ってもらえる、と言うのです。

そのひとに連絡を取り、
お店の紹介をしてもらえないかと頼むと、
すぐに返答が届きました。

予約を取り、お店を訪ね、
足の計測をして、デザインと色を選び・・・、
そして、とうとう、履いたその瞬間から、痛みのない靴に、
私は巡り会ったのでした。

靴を履くのは、痛いことだと思っていた、と話す私に、
お店の人は、嬉しそうに笑います。
「もう、痛くないですね」と。
それからは、どこかへ出掛ける時には、そこでオーダーした靴を履いています。

今の私は、痛みなく歩くことができます。
私と靴との長く苦しい闘いの旅は、ついに終わりを迎えたのでした。

ふと思うのです。
アンデルセンの人魚姫は、王子様に恋をして、足を得るために、ひどい痛みに耐えなければなりませんでした。
泳ぐことしか知らなかった彼女が、歩くという行為をするために払った犠牲は、いかほどのものだったのか。

彼女にとっての、オーダーメイドの靴とは、王子様の愛情だったのかもしれない。
王子様が人魚姫を愛し続け、結婚していたなら、彼女はいつか、痛みなく歩けるようになっていたのでしょう。

私にとって、オーダーメイドの靴がもたらしてくれたものは、
「健康」と「ストレスのない生活」です。
あなたにも、ぴったりの靴が靴箱に入っていますように。

*タイトル画像は、コジママユコさんからお借りしました。
ありがとうございました。

今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
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ぱんだごろごろ
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