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『三千円の使いかた』に見る【奨学金の返し方】

こんにちは、ぱんだごろごろです。
今日は、「親しいnoterさんから教えて頂いた本を読みました」の第2弾です。


▼第1弾は、こちらです。


今回、読んだ本の題名は、
『三千円の使いかた』(原田ひ香著)
です。

この本を紹介してくれたのは、ミイコさんです。


アマゾンより引用

ドラマ化もされて、評判になっているようですし、ミイコさんがこの本を読んで、真帆の生き方から、色々ご自分のことを考えた経緯まで、くわしく言語化して書いてくださっていたので、私もいつかは読みたいと思っていました。

コミックシーモアのクーポンが手に入ったので、電子書籍で入手し、さっそく読み始めました。

この物語は、御厨家の三代、四人の女性たちが主な登場人物です。

中には、どうしようもないダメ男(それ故、とても魅力的)と、彼に惹かれる女性も出て来ますが、概ね、祖母・琴子、母・智子、長女・真帆、次女美帆の、四人の生活とお金の問題が中心テーマです。

主な登場人物が女性なだけに、彼女らと自分を重ね合わせたり、母や娘と重ね合わせたりしながら、読み進めました。

私は、琴子おばあちゃんと、智子お母さんの、ちょうど中間くらいの年齢です。
おばあちゃんとは違って、まだ夫は健在で、個人事業主として働いていますし、自分自身、定年の65歳になるまで、きっちり働いて、お給料は頂くつもりです。

娘は結婚しましたが、結婚前と変わらず正社員として働いています。
孫はまだいません。

息子は去年就職して、今年2年目に入りました。
まだ独身です。

先日、あらためて、息子に、『○○はいずれ結婚する気があるの?』と聞いたところ、
『ニャーは結婚しない』
との言葉でした。

相変わらずの猫息子です。

翌日、職場の同僚に、『息子が結婚しないって言うの』と話したところ、『今はそういう若い人が多いみたいよ』と言われました。
『結婚しないで、自由に過ごしたいんじゃないの』と。

う~ん、そういうものか。

『でもさ、可愛い女の子が現れたら、コロっと変わって、結婚するって言うかもしれないわよ』

やさしくて常識人の彼女は、息子の結婚忌避発言を否定することなく、私に、未来への希望も持たせてくれました。

良い人です。

さて、お金がテーマのこの本に話を戻しますと、四人の女性のうち、長女の真帆は、まあまあ現状に満足して暮らしています。
周囲の評価に傷ついたりもしますが、夫は申し分のない人で、子どもも健康です。
彼女は、こまごまとした節約に励み、いずれは1,000万円を貯めることを目標にしています。
その貯金を得ることで、心の平安も得たいと願っているのですね。

一方、おばあちゃんの琴子とお母さんの智子は、差し迫って困ったこともない代わりに、将来を思うと不安という状態に置かれています。

二人はそれぞれ不満や不安を解消する策に打って出ますが、これは良い結果をもたらしたと言えるでしょう。

ただ、私が今まで生きてきた経験から、諸手を挙げては賛成できなかったのが、最後の、美帆の結婚に際しての、奨学金という名の借金を解決する御厨家の方法です。


*この先はネタバレを含みますので、まだ読了されていない方は、お戻りください。


美帆が結婚を考えている相手は、美術系の大学で学んだ際に、奨学金として、550万円の借金を負っています。
親が勝手に借りた奨学金とは言え、自分はそのおかげで、美大で学べたのだからと、相手は、自分が全額返済する気でいます。
ということは、美帆がその相手と結婚したら、美帆もその借金を背負う訳ですね。
美帆の両親には、母が手術をしたこともあり、貯金は100万円程しかありません。
援助することも出来ないのです。
さあ、どうするか。

御厨家が出した結論は、まず両親が50万円を二人に贈る。
そして、祖母の琴子が、自分の預金から500万円を出して、二人に貸し付ける。
二人は、550万円の奨学金を一括で返済したあと、10年かけて、琴子に借りたお金を返す、というものでした。

ただ、私はこれによく似た例を知っているんです。
もう、目の前で見ていましたから、よくわかっています。

私の母は、○には開業する資金がなかったため、自分が名古屋市内に持っていた土地を売って、資金を出してやり、その分を、○夫婦から毎月返済してもらうことにしました。
貸した額は、美帆たちの▲倍の金額で、返済額は、たしか月に◆◆万円くらいだったと思います。
開業後、軌道に乗れば、無理なく返せるはずの金額でした。

ところが、決められた金額をきちんと母に払っていたのは、最初の数ヶ月で、段々ルーズになっていったのです。

もう詳しく書かなくてもお分かりでしょう。
いずれは長男の自分のものになるはずの家の財産なのに、何で今、母にお金を払ってやる必要があるのだろう。

家族が相手ですから、甘えが出るのです。

もし、美帆たちが上手く行くとしたら、彼の方に、琴子おばあさんへの気兼ねがある場合だけですね。

彼にとっては、血の繋がった祖母ではありませんから、遠慮があるでしょう。
その遠慮が、借金を毎月きちんと返そうとする原動力になれば、御厨家の解決法は正しく機能すると思います。

ただ、人間は弱いものです。
両親が亡くなるまでの、○夫婦と両親との経緯を知っている私としては、御厨家の解決法を、『良い方法ね』と言って済ませてしまうのは、なかなかに難しいのです。

どうか、美帆が幸せな結婚を出来ますように。


#ネタバレ
#奨学金の返し方

今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
私の住んでいる場所では、今、大雨警報が出ているようです。
皆様もお気を付けくださいませ。


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