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春驟雨

「春驟雨(はるしゅうう)」
窓際で小説を読みながら、本に出てきた単語の響きが心地よくて、私は何度か小さく口にする。

春驟雨、春驟雨。

軽やかに窓を叩く雨音に混じって、夕暮れにきらりと光が爆ぜた。

人が何かに出会うときも、雷に打たれる、なんて表現をするっけ。
頁をめくる手に、俄かに力が入る。

雨に濡れた草木が柔らかに匂い立っていた。


春雷を待つ。


春驟雨(はるしゅうう)

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