奇縁堂だより

9月は毎週のように来襲した台風で,日本列島は大きな被害を受け,その後片付けに追われました。被害を受けた方には,心からお見舞いを申し上げます。それでも,10月の声を聞くと,朝夕の涼しさと夜更けての虫の音に,秋も少しずつ深まって来たように感じられます。このまま静かに時が経つことを願わずにはいられません。ところで,10月の別名はご存知の通り〝神無月(かんなづき)〟です。全国の八百万(やおよろず)の神様が出雲へ集まり,大会議が催されるため日本各地で神様不在となり〝神無月〟と呼ばれるのだそうです(逆に出雲では〝神在月(かみありづき)〟と呼びます)。今回は書肆奇縁堂の在庫の中から書名に月(months)が付いている3冊をピックアップしました。縁があったらご一読ください。

●ピックアップ
・『幻色江戸ごよみ』(宮部みゆき:著) 四六判,¥330+送料
書名に〝月〟は入っていませんが,この本には「神無月」という短編が掲載されています。神様のいない間(10月中)に,病弱な子どものために……という話で(ここでは言えません),とても切ない物語です。

・『八月のマルクス』(新野剛志:著) 文庫,¥110+送料
第45回江戸川乱歩賞受賞作で,元お笑い芸人が殺人容疑を晴らすために自分の過去に立ち向かうというストーリーです。なぜ書名が『八月のマルクス』なのか?本書はそこがポイントなのかもしれません。ぜひご一読ください。

・『八月十五日,その時私は…』(井上ひさし,他:著) 四六判,¥1,100+送料
昭和の歴史を大きく変えたあの終戦の日(1945年8月15日)を,さまざまな状況下でさまざな感慨をもって迎えた作家たち(三島由紀夫,太宰治,吉本隆明など28人)の私的ドキュメントです。あの戦争は何だったのか?

書肆奇縁堂のURLはhttps://shoshi-kiendo.stores.jp


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