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鶏ハム 【ふつうの料理とちょっとした話|vol.3】

7月初旬。我が家にパピーがやってきた。
名前はフィガロ。
オーストラリアン・ラブラドゥードゥルの男の子。

これがもう、 ほんとうにかわいい。
本日時点で、全哺乳類の中でいちばんかわいい。
うんちの前には暴れるし、おしっこは未だに失敗するし、おもちゃに飽きると飼い主を噛んでくるので、まあまあ「チッ」となるのだが、にしても愛しい。

普段、完全食であるドッグフードを食べさせているものの、しつけの際には「とびきりのごちそうを用意するように」とトレーナーさんに言われた。
せっかくなら、手作りで安心で、人間が食べても美味しいと感じるようなものをあげたいなあと思って作ったのが鶏ハム。

冷凍でストックしてある鶏むね肉を解凍してジップロックに入れて、ふつふつ沸騰した鍋にポトンと落として冷めるまで待つ。
とってもシンプルなお料理。
しっとりとやわらかくて、お肉の匂いが濃くって、なんの味付けもないシンプルな鶏のお味。

フィガロはこれを見ると目を輝かせる。
そして様子がおかしくなる。
大至急、いい子になろうとする。

何もお願いしていない、コマンドも出してない。
匂いだけでわかるんだろう、さぞウマい鶏肉だということが。

どうしたらご褒美をもらえるか全力で考えて、そわそわして、私の周りに引っ付いてくる。
頼んでもいないのに何度もおすわりしてくれる。
サークルに入った方がいいか?と機転を効かせて、勝手にハウスしてくれる。
いつものわがままボーイは、どこに行ったのか。

フィガロにとっては、おふくろの味なんだろうか。
せっかく縁あって我が家にきてくれたんだ、
私が「いいでしょ、美味しいでしょ」と思うものを教えてあげたい。
もちろん、犬の体に毒にならない範囲だからちょっとずつだけど
私のお気に入りで、あの子の目を輝かせたいのだ。

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