ラブレターの詩

 砂よりやわらかくて水より硬くて電気よりゆっくりで、色よりやさしくて匂いより確実で音よりぼくのなかに染みこんで、くる、もの、のことを、ぼくは口走らずにはいられない、吐き戻すように/咀嚼するように口のなかにとどめつづけたくて、でもそれってたべものではないです //いちばん近くにあるもの/だけど食べられないもの/ぼくの体になることはできないが//神さまでさえつくれなかったもの
 きみがきみでいるだけでいい、と思う、心の底から、ぼくはきみを口にとどめることはできない 傷を作ることが許されない//愛撫だよ、ときみはいった、きみそのものときみということばの間に、その奥に、ぼくはすべてがみえる/たとえそれが幻覚だとしても/信じています、永遠がなくても信じています、//
 塞ぐ
 溢れる
 押しこむ(  、  、   )//たとえことばが剥がれ落ちても//
 詩は説明不要を食い破ることだ(弱さだ)、それだけがぼくに唯一できることだ、といったときの
    裁断「ぼくだけに、ぼくだけに、と声が聞こえる」
 それを打ち消すためには叫ぶしかなかった
      「ぼくは弱い、ぼくは弱い、とだれかがいっている、反響じゃなくて共鳴だとすでに気づいていたが」
(ミルク色ということばの白だけじゃなさ、無限の体温のあるところ、水面は涙、目に映っているぼく、そこにきみがいるという幻覚から、切り離されてはいけないとおもう/たとえそれが幻覚だとしても)口走らずには叫ばずには嘔吐せずにはいられない(  !  !   !)

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