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【癌日記43日目】手術後気が狂うぐらい苦しくて七転八倒/卵巣癌・子宮体癌

手術の翌日は2つの苦しみがあった。

呼吸が苦しい

1つは、朝起きると呼吸が苦しくてカラダを起こすのも辛いこと。硬膜外麻酔をしているのでこのときはお腹の痛みはそれほどでもなかった。

硬膜外麻酔とは、脊髄を覆っている硬膜の外側の空間(硬膜外腔)に局所麻酔薬を注入して、手術部位の痛みを和らげる麻酔法。

30分に一度しか薬は出ない仕組みだけれど、カチッと押すと薬が入るボタンのようなものをわたされる。ボタンを押すと背中にひんやりと液体が入る感覚があって、痛みがふわっと和らぐ。

朝はお腹の痛みよりも息苦しくて普段の半分の呼吸しかできていない感覚があった。

お昼が届いて起き上がろうとするのも苦しいし、電動ベッドの使い方もよくわかっていなかったので、食べる体制になるまでも一苦労だった。

なんど自分でやってもちょうどいいところにカラダを起こせないのでナースコールで看護婦さんに助けを求めた。

電動ベッドの使い方を知らなかった

やってきた看護婦さんは「あーなるほど!」と言って、「いったんベッドを下げて頭がベッドの上までくるようにカラダ全体をずりずりあげてください。そのあとずりおちないように足元を少し上げて電動ベッドでカラダを起こすとお尻の位置でちょうどすわれますよ」と言いながら手伝ってくれた。

何とか座れた。ここまでで息も絶え絶え。

目の前には、重湯と、とろみのある生姜味の葛湯のようなもの。健康飲料のようなドリンク2本。

とても食べられる気がしなかったけれど、食べないと元気になれないと言われているから重湯を口に入れた。

1,5日絶食しているからか意外と「あれっ。美味しい」と思った。重湯に付属の塩を少しいれるとさらに美味しい。一口食べるごとにカラダが元気になる気がして全力で食べた。

それでも、たったこれだけを食べるのに2時間かかった。

硬膜外麻酔を外すと七転八倒

食事で元気を取り戻したあと、看護婦さんが硬膜外麻酔をはずしますねという。

外したうえに尿を採るチューブをとり、自分で歩いてトイレに行きましょうと言う。

正気の沙汰とは思えなかった。

まず硬膜外麻酔をはずしているのでお腹の痛みがひどい。お腹に力が入らないのに、硬膜外麻酔で左足がしびれていて力が入らず膝がガクッと抜ける。

「できる気がしません」と言ってもにっこりわらって「大丈夫できますよ」といって、看護婦さんも絶対にひかない。

わかっている。尿のチューブを外したら自分でトイレにいかないといけない。セットなんだ。

ときどき膝がガクッ、ガクッとなるのを支えてもらいながらなんとかトイレに行ってベッドに戻ると、そこからのお腹の痛みはピークになった。

痛い、痛い、と言いながらベッドの上でもだえて、1時間に2回ぐらいナースコールをした。痛み止めの点滴と点滴の間は6時間あけなければいけないらしく、何回ナースコールをしても「無理です。耐えてください」と言われるばかり。

面会に来た夫と娘がからだをさすってくれたり、腰を押してくれたりした。人の温かい手は痛みをなくしてはくれないけれど気持ちを和らげてくれた。

体温の感覚もおかしくて、手足は真っ白になって冷たくなるのを「ママなんでこんなに真っ白なの」と言いながら娘がさすってくれた。このときは寒くて仕方なかったのに、夫と娘が面会時間を過ぎて帰ると、今度は暑くて暑くて汗が滝のようにでてきてまた呼吸するのが苦しくなる。

あんまりナースコールをしたからか、先生が来てくれて予定していたのと違う痛み止めの点滴の指示をしてくれた。

点滴を入れてもらいながら「これはあと何分で効きますか?」「本当に効きますか?」とか聞いたと思う。

しばらくすると、この点滴の痛み止めはすごい効果を発揮してくれて、ようやく少し眠れるようになった。

この日記は以下のマガジンにまとめています。

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