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病気の子どものきょうだい支援③

「きょうだい」シリーズ、看護学校の授業でもあまり取り扱われないと聞いたので、きょうだいの心情について詳しく数回に分けてみていきます😊

兄姉弟妹の誰かが病気になった時、きょうだいが抱き得る、抱いている心情にはどんなものがあるのでしょうか。
兄姉弟妹の家族内での役割について、以前の記事で触れたことがあるのですが、兄姉弟妹同士の関係は、親子関係を基礎として子どもの自我の発達に強い影響を与えると言われています。特に、病気を持つ子どもときょうだいの間には、親とは別の強い結びつきがあると言っている研究もあります。

子どもの認知発達の程度や周囲の環境、病気の程度などによっても変わりますが、
「〇〇はこれからどうなっちゃうんだろう。知りたいけど怖いな...」
「お父さんお母さんに聞いてみようかな、でも困らせちゃうかな...」
「〇〇が大変なのに、自分だけ楽しんでいていいのかな...」
「寂しいなんて思っちゃいけない」
「僕のせいで〇〇が病気になっちゃったのかな...」
「僕も同じ病気になっちゃうのかな...」
「友達や(学校の)先生に聞いてもわかってもらえないよね...」
など、これが全てではありませんが色んな感情を抱いていると言われています。

具体的な言葉にすると    (参照 雑誌:小児看護 新家、2020)
例)・不安、恐怖、神経質、同一視
  ・寂しさ、孤立、疎外感、喪失感
  ・困惑、恥ずかしさ
  ・怒り、憤り、恨み、嫉妬
  ・自責の念、罪悪感
  ・責任に伴う過剰な負担感、不自由
  ・完璧への圧力
  ・諦めや不全感、不信感
  ・悲しみ、無力感
  ・自己肯定感の低下、自尊心の脅かし
  ・レジリエンシー

それぞれの心情の背景についてみていきたいのですが、大変な量になってしまうので💦今回はあまり馴染みのない「レジリエンシー」について触れてみます。

レジリエンス/レジリエンシー

レジリエンスは、心理学では社会的ディスアドバンテージや己に不利な状況で、そういった状況に自身のライフタスクを対応させる個人の能力と定義されていて、跳ね返り、弾力、回復力、復原力と言った意味を持つ言葉です。ストレスや歪みから跳ね返って回復できる力を示します。近年ビジネスの中でも使われることが増えてきている言葉ですね。
レジリエンシーは、徳性の持つ一般的な高い資質、頑健さを反映した一連の特性のことで、レジリエンスで活かされる個人の強み(徳性)のことです。

きょうだい達は、その闘病生活の中で様々な体験や感情の経験をし、その逆境を乗り越えていきます。その経験から培われる能力に特徴があると言われています。
例えば、人の気持ちを汲み取り共感する力や物事に対する洞察力、自立心の成熟、社会への適応力、忍耐や寛容さ、権利擁護に対する理解などが過去の研究で挙げられています。
分かりやすい例が、年齢の割に大人びている、といった印象でしょうか。
これは、経験によるきょうだいの強みです。ですが、私たち大人はだからといって過剰な期待をかけたり、早熟を煽るのではなく、その成長を見守っていくことが必要です。「お姉ちゃんがしっかりしているからいいね」という家族に向けた言葉や「お兄ちゃんが守ってあげてね」と言った言葉は時として、既に頑張っているきょうだいを追い詰めてしまうことがあります。
「〇〇くん(ちゃん)今日も来てくれてありがとう。お外寒くなかった?」など、一人、個人としてのきょうだいに関心を寄せて向き合うことが大切です。

他の心情の背景については次回以降で触れてみます✨




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