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病気の子どものきょうだい支援⑦

きょうだい支援シリーズ、きょうだいが抱き得る・抱いている心情に関しては今回が最後になります😊
私事ですが、私自身の看護研究も発表に向けた段階に入ってきました!頑張ります!


きょうだいが抱き得る・抱いている心情の例
(参照 雑誌:小児看護 新家、2020)
例)・不安、恐怖、神経質、同一視
  ・寂しさ、孤立、疎外感、喪失感
  ・困惑、恥ずかしさ
  ・怒り、憤り、恨み、嫉妬
  ・自責の念、罪悪感
  ・責任に伴う過剰な負担感、不自由
  ・完璧への圧力
  ・諦めや不全感、不信感
  ・悲しみ、無力感
  ・自己肯定感の低下、自尊心の脅かし
  ・レジリエンシー

今回は↑の2つについてです。

悲しみ、無力感

病気の兄姉弟妹の病状や障がいの事実や病状の進行について、きょうだいに情報が伝えられることが少ないこともあり、先の予測が立たず、理解も難しいことも多く、突然症状が悪化したり苦痛として目に見えてわかる状況になってから、きょうだいに突如迫ってくることがあります。そういった病気の兄姉弟妹が苦しむ姿や見た目の変化にきょうだいなりに悲しみを感じることがあると言います。また、大切な兄姉弟妹のために何も力になってあげられないと無力さを感じることがあるそうです。
生命の危機にある状況に対してももちろん、治療に伴う合併症や喉頭気管分離術で声で会話ができなくなったり、注入での経管栄養に変わり一緒に食事をする時間が少なくなるなどの状況に、きょうだいだけではないが危機への対応によって失うものにも悲しみや無力感を抱いていることがあります。
兄姉弟妹の外見の変化は本人だけでなく、家族きょうだいも様々な感情を抱いていることがあるため、医療者はそんな感情の変化を見守りつつ、支えていけるような関わりが求められています。きょうだいに関しても病気の説明は難しいからとお話ししないのではなく、きょうだいはきょうだいなりに理解をすることができるので、伝え方についてご家族と相談しながら、きょうだいが取り残されている感覚が少しでも少なくなるような関わりができるといいかもしれません。

自己肯定感の低下、自尊心の脅かし

この心情に関しては、これまでの様々なきょうだいが抱き得る心情の一つひとつの積み重ねの中で、きょうだいが自ら持っている力の限りで自己肯定感や自尊心を守って育てていると言われています。
病気の兄姉弟妹が入院することや付き添いなどによって家族と離れて過ごすことによる影響について、これまで様々な研究がされています。その中でも、心理尺度得点などの指標を用いた量的研究をしたものでは、短期間の入院であっても情緒的な問題を周囲に表出しているきょうだいがいることが報告されています。その一方で、きょうだいの生活の質や精神的負担の程度に、あまり問題がないとも報告されています。けれど、インタビューなどによる質的研究では、きょうだい自らが周りに頼る手段がなくても、家族を気遣って努力したり、複雑で繊細なバランス感覚で毎日を渡り歩き、自分でいることを保っていることがあるとも報告されています。
以前も触れたことがあるかもしれませんが、今現在はきょうだいに影響がなくても、10年など時間が経過してから何かしらの形で問題として表出することも多く報告されています。10年後なんて予測がつかないですよね。複雑で繊細なバランスの中で、自身の守っているきょうだいたちの自己肯定感や自尊心を一緒に守ることができれば、長い時間が立ってから出てくるかもしれない状況を少しでも変えられるかもしれません。
(これに関しては、昨今話題の”毒親”の影響なんかでも出てくるみたいです)

きょうだいの抱き得る・抱いている心情について細かくみてきました。
きょうだいがどんな状況にいるのか、どんな思いを抱いているのか、なんとなく見えてきたのではないかと思います。中には、きょうだいに限らず、誰もが抱き得る心情もありました。
次回は、きょうだいのニーズや病気の兄姉弟妹との死別経験に関することについて触れてみたいと思います🌱




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