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オチのない話も、社会の違和感も仲良く語り合えたらいいのに〜『me and you』×武田砂鉄さん登壇イベントに参加してみた

2022年1月18日。
ついについに、憧れのライター・武田砂鉄さんと、気になっていたコミュニティ『me and you』の野村由芽さん・竹中万季さんが登壇したイベント「長い話をしよう〜新しいメディア・コミュニティをどうつくる?〜」に参加してきました…。

↓イベントに対する想いを綴ったnote(笑)

イベントでのトーク内容がとにかく素晴らしく、ずっと「うんうん」と頷きっぱなしで…(涙)。

「この感動を忘れる前に今の想いをまとめておかねば」という気持ちになっているので、感じたことや心に残った言葉などを備忘録としてわーっと箇条書きで並べてみます(笑)。

(1) 「しつこい」文章には想いがつまっている

武田さんが、me and youのクラウドファンディングのページで書かれている文章に対して「長くてしつこいよね(笑)」とコメントしていました。

…確かに、長い(笑)。
初めて読んだ時、ボリュームの多さに驚いた覚えがあります。

でもその分お二人のme and youに対する熱意や想いがたっぷりと伝わってきた文章で、どれも削れない言葉たちだなあと。

野村さんの「全部読まれることが目的ではない。パッと目に飛び込む言葉は人によって違うでしょう」「読んだとき、心の奥底の方をつつかれるような感覚になってもらえれば」という言葉が印象的です。

このコメントに対して武田さんの「積読の「あるな」という感情に近いような」という言葉、言いたいことがわかりすぎました。

Webページは基本的に読まれることが大事なので、必要な情報だけ削ぎ落とし、印象的なタイトルをつけることが求められます。
それに対して竹中さんが「読んでいる最中にどういう想いが伝わるか、誰かが助かるかを考慮したら長くなった」とおっしゃっていました。

自分も思いっきり気持ちを込めて文章を書いたとき、読み返すと締まりのない記事になってしまったことがあります。
でもそれは想いがつまった証拠として、「悪い記事」とせず尊重していきたいと思いました。

(2)スピード感が命のネット社会だからこそ「ゆっくり考えたい」

SNSを見ていると、次々と新しい情報が流れてきて疲れる。
疲れて追うのをやめると「知らないの」と驚かれて焦る。
あの話をしたいのに、いつの間にか話題にすら上がらなくなって悲しい。

…加速しているネット社会の中でこのような感情を抱いていた自分につきささったのが、She isやme and youを運営するにあたってお二人が大事にしている「ゆっくり考えよう」という想い。

なぜかみんなが生き急いでいるこの時代。めちゃくちゃ生きにくい。
だからこそ、「ゆっくり考える」ことを大事にしていきたい。

(3) 言葉が持つ意味は、使う人、使われ方によって変わっていく

「だから、どう伝えるかが難しい」と話していた野村さん。

言いたいことが100あったとき、言葉にすると60くらいの温度感でしか伝わらない時がある。もしくは、自分はよかれと思って伝えた言葉が、相手に不快な言葉として受け取られてしまうこともある。

日々文章を書いていると、言葉の至らなさを痛感するときが多々あって。
また、言葉の持つ暴力的な力に慄くときもあって。

放った言葉をそのままにせず、相手と同じ温度感で共有できるよう対話できたなよいなあ。

武田さんの「言葉にパスポートはない」という言葉が印象的。
左・右/白・黒の二者択一にするのではなく、「グラデーションをいかに用意するか」が重要なのだそう。

(4)今ある問題、つきつめたら同じ構造の中にある

貧困、差別、ジェンダー、フェミニズム…今起きている様々な問題について、つきつめていくと同じような大きな構造の中にあるとのこと。

この話題は、me and youのPodcast&J-WAVE「わたしたちのスリープオーバー」内で紹介された、「インティマシー・コーディネーター」という仕事について触れた際に出た議論です。

※「インティマシー・コーディネーター」とは…

武田さんが「新しい仕事ができたとき、なぜその仕事ができたかを考えると、その奥には問題が出てくる」とおっしゃっていたのが印象的。

インティマシー・コーディネーターのように新しい職業ができることは、絶望の中にある一筋の光なのかもしれません。

(5)キャッチして、「しつこく」取り上げ続けることが大切

野村さん「武田さんは、(情報を)素早くキャッチして、長く取り上げ続けている印象です」とコメント。

…いや、本当にその通りです。

武田さんはアベノマスクにしても、プレミアムフライデーにしても、2回に1回くらいの頻度でTBSラジオ「アシタノカレッジ」内で取り上げています。

「企業のジャーナリズムは、目の前のニュースだけを追いかけ、ルーティーンを回してしまっている。最後まで検証せずに終わってしまうから、結局どうなの?と疑問が残る

ここで一番得をするのは、国や運営側。「忘れてよかった、にしない。フリーだからこそしつこく言い続けたい」とのこと。

一度抱いた疑問はそのままにせず、解決されるまでは口に出して言い続けたいと思いました。

(6)「オチのない」話しをしよう

野村さんと竹中さんは、She isを立ち上げる前、俺流塩ラーメン(深夜遅くまで開いているラーメン屋。トッピングが豊富)で、社会に対することや働き方に関して深夜2時まで語り合っていたそう。

2人の間柄を「どうでもいい、オチのない話を許容できる関係」と称していた野村さん。自分たちの生い立ちや日頃考えていることを質問しあっているらしい。

武田さん「お互いにセブンルールですね」

私も今住んでいるシェアハウスの仲間と、社会に対する疑問やお互いの過去について語り合うことがよくあります。
お二人の話を聞いていて、そうした「オチのない話」ができる関係はこれからも大事にしていこうと心に決めました。

武田さん「突然中2の春の話をしたくなる時とかありますね」

…わかります。私も親しい関係の友達には、突然「そういえば小学3年生の時さ…」と話してみることがよくあります。

「懐かしいね、あの時さ…」と話に乗ってくれる人もいれば、「そうだっけ、忘れちゃった」と記憶から消えている人もいます。

勝手に話を持ち出したのは自分だけれど、忘れられていると自分だけが大事にしていた記憶のようで少し悲しくなります。

それに対して、野村さんの「過去のどの部分にどれくらい光を当てるか、価値を感じるかって人によって違いますよね」という言葉が印象的。
だから、自分が懐かしいと感じている思い出を友人と同じ温度感で話せないと感じた時、悲しくなるのか。

前者のような、過去の話を突然持ち出してきた自分に乗ってくれる友達とはこれからも過去の話をしていきたいです。

一方で、「オチのない話」は社会から煙たがれます。
竹中さんが以前勤めていた広告代理店では、常にオチが求められていたのだそう。「結局オチは何?」と。

武田さん「オチなんてなくていい」

オチを求められるから他人と話すのが疲れてしまうのではないか。もう少しオチのない話が許容される社会になれば、みんなもっと語りやすいのではないか。と、思いました。

(7)ズレのない会話は、誰かがズレないようはめ込んでいる

と、武田さん。前の「オチのない話」の次に出た話題です。

野村さん「ズレがあると永遠に話せますもんね」
武田さん「近い人とはズレている。それが色んな場面で許されれば心地いいと思う

竹中さんは、以前の職場で「はっきり、簡潔に話す」ことが求められていそう。「でも話し方でなくて、内容や想いがあれば伝わることがある」と続けていました。

(8)今は限りある時間の奪い合いになってしまっているから、時間の面積を広げようよ

現代人は、みんな忙しい。暇な時間は心が落ち着かない。
私も、何かしていないとよく不安になります。

こうした社会だから、残された時間を奪い合う事態が起きてしまっている。
話にオチがないと、無駄に長いと、話すことさえ許されない。
武田さん「論破する人が奪い合いの勝者となってしまっている
だから、「場の面積(何かに費やせる時間)を増やそう」と。

自分も含めてですが、みんなが心に余裕を持てば、もう少し周りの声に耳を傾ける余裕も生まれるのではないかと思いました。

(9)「なんか違う」当時の自分が、今の自分を作っている

野村さん「過去の自分の発言を思い返すと、誰かを傷つけているかもしれない。今の発言も誰かを傷つけているかもしれない」「都度、反省して振り返ることが大切なんだと思います

この意見に対する武田さんのコメントが心に残っています。
「どんな人でも、2〜3年前の写真って、今と何かが違いますよね。(竹中さんを例にして)当時の「なんか違う」竹中さんが、今の竹中さんになっていて、その変化を本人も把握してない、自分のことなのに管轄外、というのが面白いですよね

日々の些細な「なんか」がちょっとずつ私に作用して、私をちょっとずつ変えていく。確かに、面白いです。

(10)「もの分かりがいいフリ」は相手に失礼

竹中さん「仲良くしていきたい人ほど、モヤモヤするたびに相手にそのことを伝えています。その結果、喧嘩に発展することがよくある」とのこと。
me and youのお二人も喧嘩することがあるそう。

この話を聞いて、中学1年生のとき、部活の最中にも関わらず泣きながら大喧嘩した友人のことを思い出しました。
その時の自分は、竹中さんと同じように「今後も仲良くしていきたいからこそ、今感じているモヤモヤを相手に伝えたい」と思っていて、「こういう発言が気になった」等を相手に伝えました。

すると相手も、「そっちもさあ…」と気になる点を指摘。口喧嘩が始まり、気付いたら先輩が止めに入るほどの大喧嘩になっていました。
そこから自分は、「親しくても言ってはいけないラインがある」と学び、他人と少し距離を置くようになった気がします。

思ったことがあっても、「そういう人もいる」と流すようにしていました。

そのため、野村さんの「もの分かりのいいフリをして深入りしないのは、相手に失礼かもしれない」という発言にハッとしました。「もの分かりのいいフリを繰り返して相手と向き合わないと、いつか離れちゃうと思う。関係のメンテナンスが必要」とのこと。

今後も繋がっていたいと感じる相手には積極的に深入りして、向き合っていかねば。

(11)「わかるよね」から「違うよね」を共有できる関係になりたい

今、「共感」が重要視されている世の中。
武田さん「不安を怖がって、同調して、それに向けたコンテンツが増えいている」。2021年のベストセラーは「コミュニケーションは間違ってはいけない」云々が書かれた本が多かった印象とのこと。

会話をする際も共感できる話が求められ、「違う」が言いにくい状況になってしまっています。
私もここ数年「確かに」「それな」「わかる」「間違いない」を連発し、「違う」はそんなに使った記憶がありません。

「違う」と言われること・言うことを恐れない社会になれば、もう少し生きやすくなるかもしれません。


以上11点が、3人の会話を聞いて私が感じたことです。
予想以上に「長く」なってしまった(4500文字を超えました…)。

でもどれも削れない考えや言葉たちなので、このままアップしてみます。

このnoteを定期的に見返していきたいし、このnoteで反省もしていきたい。

イベントに参加して、直接3人の話を聞けて本当によかったと思います。
また「長い話」をしてほしいなあ。




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