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66 Best Korean Indie/Underground Songs of 2021

韓国インディ・アンダーグラウンドという括りで今年のベスト曲を66曲選びました。30位からコメント・レビューを入れて、トップ10はある程度長めに書いています。今この原稿をあげようとしているのが12月30日ですが、年内に全ての曲のコメント・レビューを書くのが無理っぽいので、一部抜けている曲がありますが、まずはアップしてしまいます。トップ(サムネイル)画像は昨年末以降行ったライブの一部ポスターたち。上が左からSagong, nijuu, 下が左からThe Volunteers, Silica Gel。全部このリストにも出てきます。

66位>>>31位

66. キム・スヨン Kim Suyoung "꿈 Still I Love You"
65. Audrey No "You Lie So Good"
64. チユネ chiyoohae "And"
63. Dabda, 柏倉隆史 "Jungle Gym"
62. NET GALA "Shinpa Bonui"
61. Double V, Celeb Five, OKDAL 옥상달빛, YOZOH 요조, SWJA 선우정아, Cheeze 치즈, パク・ムンチ 박문치 "WHATTA LIFE"
60. Mudd The Student "G-LOC"
59. ADOY "Antihero"
58. Yerin Baek "A Walk 散歩"
57. MRSHLL "show me what U got (Prod. Jengi)"
56. O3ohn "Snooze"
55. Summer of Thoughts "Soundfield"
54. Honk "Animal Print"
53. SHUUU "Candy" 歌詞日本語訳
52. Jimmy Brown - Show Me Love
51. JNKYRD "Varsity feat. OH HYUK"
50. Silica Gel "Hibernation"
49. Kim Oki, Minsu - Pour toi
48. SUZANNE - Rollercoaster Life
47. Asian Glow - Circumstances tell me who i am
46. 7 - Blue on My Mind
45. Slom, SUMIN - THE GONLAN SONG
44. youra - Rollercoaster
43. Soumbalgwang ソウルパルグァン 소음발광 "Dance 춤"
42. イ・ルリ Luli Lee "HOWL"
41. Gong Joong Geu Neul "Sand Tower"
40. Shy Wave "Don't Worry About Tomorrow"
39. omm.. "Swing"
38. HOA "WIFIBOY"
37. pida "Endand"
36. Yaeji, Oh Hyuk "Year To Year"
35. Kim Sawol キム・サウォル "Drive"
34. HAGA "Copernicus was an Artist."
33. Ye Ram イェラム "A long way"
32. Jeong Cha Sik 정차식(チョン・チャシク)"Shining"
31. Lim Kim "FALLING (Prod. by DPR CREAM)"

30位>>>11位

30. 정크야드 JNKYRD ジャンクヤード
"Intro feat. Omega Sapien"
<レーベル未所属/流通: MO Records>

29. CIFIKA, Shin Hae Gyeong シン・ヘギョン
"All is You 모두 너야"

28. 송예린 ソン・イェリン
"Sea"
<Plus N Entertainment>

27.  Leesuho イ・スホ
"Mom feat. So!Yo!ON"
<Balming Tiger>

26. Budung ボドゥン
"씬이 버린 아이들  Guess Who?"
<꿈의허리>

25. Ejae イジェ 이재
"사랑은 우리의 품안에 愛は私たちの胸の中に In The Arms of Love"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
ノイズ・ロックバンド、numnum(ノムノム)やHyodo and BASSのメンバー、最近はキム・トゥットルやverycoybunny、Parasolのチユネ(chiyoonae)のバックでもベースを演奏するチェ・イジェのソロ・プロジェクト、イジェの初EPから。イジェなりの解釈のローファイなポストパンク・サウンドが不思議な破壊力もあって気持ちいい。

24. Omar and the Eastern Power オマールと東方戦力 오마르와 동방전력
"Sunshine"
<東方標準音楽社>

モロッコ出身のオマール、エジプト出身のワイル、韓国チェジュ島のテ・ヒオン、オ・ジヌの4人によるアフロビート/デザート・ブルース・バンドが4月に発表したシングル「Sunshine / Htalen」から。

23. EJO 
"Home Callin"
<レーベル未所属/流通: POCLANOS>
韓国国内のアンダーグラウンドなシーンでのDJ、モデルなど多方面で活動するアーティスト、EJO。本作は2019年のファースト・アルバム『Mind Web Wanderer』に続く作品『Chameleon Man』から。ヒップホップとエレクトロニカを自在に混ぜながら作り出すポリリズムなビートは韓国国内でなかなか似たアーティストを見つけられない独特なものだ。この「Home Callin'」では幼少期を韓国、インド、アメリカで過ごしてきた彼ならではの自らのルーツに関する葛藤を吐露している。


22. Bosdongcooler ボスドンクーラー 보수동쿨러 
"Sand 모래"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
釜山を拠点にする4人組がメイン・ボーカル交代後発表した初の作品かつバンドにとって初のフルレングス・アルバムである『Sand 모래』から。

21. 파란노을 Parannoul
"아름다운 세상 美しい世界 Beautiful World"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
Bandcamp発、Pitchfork(8.0点!)、Stereogumなどでもレビューで扱われるなど話題になったワンマン・シューゲイズ/ポストロック・バンド、パランノウルのアルバム『To See the Next Part of the Dream』から。ライブ活動もやってくれたらいいのですが...。

20. Soul Sauce meets Kim Yulhee キム・ユルヒ 김율희
"East Sea 東海 동해바다 feat. ユン・ソクチョル"
<東方標準音楽社>

レゲエ・バンド、NST & The Soul Sauce meetsに韓国の伝統音楽、パンソリの歌い手、キム・ユルヒが参加したバンドが年明けに発表したシングル(バンドは2016年と2019年にはキム・ユルヒも加えてフジロックに出演経験もある)。所属レーベル<東方標準音楽社>作品では今やお馴染みの日本のダブ・エンジニア、内田直之のミックス、さらに昨年素晴らしいアルバム『』を発表したピアニスト、ユン・ソクチョルのピアノまで入ったクロスオーバーなダンス・ミュージック。

19. Wings of The ISANG イサンエナルゲ 이상의날개"
"Twenty Years Old 二十歳 스무살"
<LOCH Arts & Music/ 流通: Mirrorball Music>

前作『意識の流れ』で韓国大衆音楽賞、ベスト・モダンロック・アルバム賞を受賞した4人組ポストロック・バンドの5年ぶりのアルバムから。轟音のノイズ・ギターによる"動"とドリーミーな"静"を組み合わせるソングライティングが強烈に美しくて好き。20歳の頃の記憶を懐かしく歌うこの曲はギター・ボーカルのムン・ジョンミンのメロディ・センスまで神がかっている。

18. 채지호 チェ・ジホ Chae Jiho
"봄여름가을겨울 春夏秋冬 4Seasons"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
4人組インディ・ロック・バンド、웨터 (wetter)のギタリスト、チェ・ジホ が発表した初のソロ・シングル。ギター、ベース、ミックスでParasolのチユネ、ドラムで元チャンギハと顔たちのチョン・イルジュンらが参加。Cheeze「Today's Mood 오늘의 기분」のMVでも話題になった俳優、ノユズがベーシスト役で参加しているキュートなMVまで含めて魅力的なシングル!

17. Sagong 사공
"M.D.F.A. feat. Song Yerin"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
歌詞日本語訳リンク
フォーク・ミュージシャン、サゴンの初のフルアルバム『OPTIMIST』から。海辺の田舎町から聴こえてくる繊細なアコースティック・フォークという感じで美しいです。彼だけのプロダクション・スタイルがあるのも良い。Nick DrakeやThe Incredible String Bandをはじめイギリスのフォークの重要作を多数手がけたジョー・ボイドの作品や、現代ならFleet Foxes、あるいはこの寂しげな感じは初期Bon Iverなんかと並べて聴いても良いと思います。TURNでインタビュー記事を書きましたのでぜひ。

16. 웨스턴 카잇 ウエスタン・カイト Western Kite"Why Are My Photos Bad?"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>
韓国とイギリスを行き来しながら制作されたアルバム『ultraviolet!』から。SHIN DRUMによるドラム)Q the trumpetによるトランペット、ウエスタン・カイト自身のオルガンなど有機的な生バンド・サウンドが気持ちいい。SZAとか『Flower Boy』の頃のタイラー・ザ・クリエイターと並べて聴いてもいいと思います。

15. CHS
"Slowride"

韓国的自然主義チーリング(チルとヒーリングを混ぜたんだと思う)・ミュージックを標榜する6人組バンド、CHSが9月に発表したEP『Angel Villa』から。トロピカルでサイケデリックなサウンドは、クルアンビンやVIDEOTAPEMUSICとか好きな人にも。キーボードは売れっ子ニュートロ・プロデューサーのパク・ムンチ。

14. wave to earth 
"nouvelle vague"
<wavy>

昨年からインディ・シーンで少しずつブレイク中だった3人組、wave to earth。私も昨年、今年一回ずつライブを見ています。なんと年末にR&Bシンガー、coldeが主宰するレーベル<wavy>に合流。でもこのジャジーなリズムの新曲を聴いて納得です。ボーカル・ギターのキム・ダニエルは以前「もともとジャズドラマーとバンドやってみたかった」と話していたし、Unknown Motal Orchestra, Nick Hakim, Puma Blue, 南ロンドンのジャズシーンからOscar Jeromeをリファレンスに挙げてました。来年はもっとビッグになりそう、期待です!

13. 유라 (youra)
"손가락으로 아 긋기만 해도 ZEBRA"
<文化人>

12. 250
Bang Bus
<BANA>

韓国で再び今人気の高まっているトロット(といっても勿論中高年中心ですが)にテクノやディスコといったダンス・ミュージックの要素を加えた"ポンチャック"という非常にマイナーなジャンルがあります(マイナーだというのは、若い音楽家達でもこのジャンルをやっている人はすごく少ないし、よく観光地や高速道路の休憩所の売店、お年寄り達が集まる場所で聴こえてくる"みたいな紹介のされ方がされますが、韓国に住んで2年の私も実際には聞き覚えがないから!笑)。それをアップデートしようと研究を続けてきたのがこのプロデューサー、250(イオゴン)。中毒性あるレトロなテクノ・ビートといった感じのこの曲は、2018年「이창」以来のシングルであり、来年春頃に発表予定のアルバムからの先行シングル。韓国インディ第一世代の世代の2人組バンド、オオブプロジェクト(もう一人のメンバーはSsing Ssing、LEENALCHIのチャン・ヨンギュ!)のメンバーで現在は俳優としても大活躍のペク・ヒョンジンが主演、B級映画的なセンスのMVまで最高です。

11. pleasepleaseplease
"Dive"
<レーベル未所属/流通: Poclanos>

10位>>>1位 (各曲ベスト・リリックも)

10. The Volunteers
Violet
<Blue Vinyl>

ペク・イェリンをボーカルに、彼女のコラボレーター兼バンド、Bye Bye Badmanのメンバーらによって結成されたバンド、The Volunteersの待望の初アルバムのオープニング・ナンバーは、R&Bを軸にしていたイェリンの、ロックスター宣言とも言える曲です。シンプルな90年代オルタナ・サウンドに乗せて歌われる歌詞は、強く自信感に溢れていて、独立的な女性像を感じさせます。作品を経るごとにどんどんカッコいいアーティストに成長しているイェリンの姿に感服です。

<Bridge>
Mine is getting bigger and better
What have you done for me
The more you do, the more I feel like a grown woman
Indeed, I'm madly intelligent
<Chorus>
I'm not doing anything wrong
You hate to agree with my right mind and thoughts
Cause I'm a ruthless rock star baby
Just a matter of time before I make you nod to my songs

9. TRPP
"Liars"
<Magic Strawberry Sound>
歌詞日本語訳リンク
バンド、Bye Bye Badmanのギター / ヴォーカルのボンギル、シンガーソングライター、ユン・ジヨン、ギタリストやエンジニアとしてシーンを裏から支えるカン・ウォンウによって結成された3人組バンド。Netflixを通して日本でも配信中のTVドラマ「調査官ク・ギョンイ」にも多数の楽曲を提供しました。彼らのアルバム『TRPP』は、打ち込みのビートの上でひたすらメンバー全員轟音のシューゲイズ・ギターを鳴らす斬新なスタイルですが、中でもこの曲はマッドチェスターのバンドを思い出すようなダンス・グルーヴが見事。いや、この"シューゲイズ・ギター x ダンス・グルーヴ"の組み合わせはもはや快感です!9月に見た彼らのライブは今年のベスト・ライブ。ぜひ日本でもやれる機会が実現して欲しい!

0:46~, 1:40~
[Chorus]
Sitting in the car Driving in the road to nowhere
車に乗って どこでもないところへ行ってしまおう
어디로 가는지 상관 안 해
どこに行くかは 関係ない
모르겠어 난 다 잊고 사는 게 편해
知らないよ私は 全て忘れて生きるのが楽
그냥 모른척해 줘 For old time’s sake Oh liars
ただ知らないふりしてよ 昔のよしみでさ

8. 새소년 Se So Neon
"JAYU 自由"
<Magic Strawberry Sound>
歌詞日本語訳リンク

(0:44~, 2:29~)
[Chorus]
나는 알아 내가 찾은 별로 가자
私はわかる、私が見つけた星に向かおう
finally i found
ついに見つけた星に
달을 썰어 이 밤을 먹어치우자
月を刻んでこの夜を食べてしまおう
it’s gonna be fine
きっと大丈夫さ
자유로운 날
今日は自由な感じがする

7. 김뜻돌 キム・ドゥットル Meaningful Stone
"비 오는 거리에서 춤을 추자 雨の降る通りで踊ろう Dancing in the rain"
<レーベル未所属/流通: POCLANOS>
歌詞日本語訳リンク
昨年はデビュー・アルバム『A Call from My Dream』を発表、韓国大衆音楽賞新人賞を受賞するなど、いま最もインディで勢いのあるアーティストの一人、キム・ドゥットル。彼女のインスタのプロフィール欄は現在シンプルに"ROCKSTAR"。フォーキーな前作から一転、90年代オルタナティブ・ロックを中心としたエネルギッシュなサウンドに寄せたEP のタイトル曲は、不器用な人、アウトサイダーたちの背中を押してくれる、爽快なアンセムです。ギターは8位で紹介したTRPPのカン・ウォンウ、ベースは25位で紹介したイジェです!(表現しづらいですが、彼女の歌い方、というか歌う時の口調って独特なものがあると思うんですよね...)

(MV 0:56~, 音源0:14~)
[Verse]
내 인생은 너무 서툴러
私の人生はとてもうまくいかない
하루 이틀 사는 것도 아닌데
一日二日生きているわけじゃないのに
계절이 스무 번 바뀌어도
季節が二十回変わっても
여전히 나만 그대로인 것 같아
相変わらず私だけそのままみたいだ
(MV 2:09~, 音源 1:27~)
[Chorus]
그러나 이젠 말하기 입 아프지
だけどもう言うのは疲れた
나의 부족한 면을 설명하는 일
私の足りない面を説明すること
빛나는 별 보다 빛나는 옷 보다
光る星より 光る服より
비 오는 거리에서 춤을 추자
雨の降る通りで踊ろう

6. 선우정아 ソヌジョンア SWJA 
"동거 in the bed 同居"
<Magic Strawberry Sound>
歌詞日本語訳リンク
2NE1をはじめとするYGエンターテインメントのアーティストの楽曲などの作曲でキャリアをスタート、2013年の『It's OK, Dear』2019年の『Serenade』といったフル・アルバムでは韓国大衆音楽賞を受賞するなどインディ・シーンを超えて確固たる地位にいるソヌジョンア。年始にリリースしたこのシングルでは長い時間を一緒に過ごしてきた恋人とだからこそ感じられる幸福感を表現しました。歌詞に歌われる、スロウで、派手ではないものの、繊細で、温かみのあるプロダクションが些細な、細やかな生活の中にある喜びや感動が伝わってきます。ソヌジョンアはこの曲の発表直後に、実際に私生活でも<高校時代からの10年の恋愛の末に結婚した、現在9年目だ>と結婚していたことを明らかにした。MVもじっくり見て欲しいです。

(MV 2:57~)
있잖아 난 너를 여전히 사랑해
あのね私君のこと 相変わらず愛してるんだ
후회할 리 없지 함께 걷는 이 길을
後悔するわけないよ 一緒に歩くこの道を
있잖아 우리는 그냥 이대로 살자
あのさ私たち ただこのまま生きようよ
대단치 않아도 둘이서 매일을 조그맣게
大したことはなくても 2人で毎日を ささやかに

5. Say Sue Me 세이수미
"So Tender"
<Electric Muse>

(0:19~)
The cheeks of a newborn baby
Got that feeling when you touch me
I know it’s a butterfly on a flower
But that feeling is forever

2019年には来日公演も経験している釜山を拠点にするバンド。現在2018年以来の久々のアルバムをセルフプロデュースで準備中らしいが、今年は人気ドラマへのOSTで2作シングルを発表した。そのうちの一つがこのJTBC「知っているけど」のオープニングで使われたSo Tender。恋を知った時、愛を交わした時のその瞬間の美しさ、儚さがチェ・スミの優しいボーカル、やや抑え気味のオルタナ・ギター・サウンドで描かれます。ドラマを見ていた人はぜひ、ユ・ナビ(ハン・ソヒ)とパク・ジェオン(ソン・ガン)等々...登場人物たちの姿を思い浮かべながら聴いてみてください。

4. 실리카겔 (Silica Gel)
"Desert Eagle"
<Magic Strawberry Sound>
歌詞日本語訳リンク

3. nijuu
나에게로 Come To Me
<The state51 Conspiracy>
歌詞日本語訳リンク

ソウルとロンドンを拠点に活動するニジューは、韓国では2019年、韓国音楽シーンの数々の才能を発掘してきた「ユ・ジェハ音楽競演大会」で入賞、イギリスではBBC Radioを始め多数のメディアで取り上げられるなど、両国でこれからに注目のシンガーソングライターです。EP『nijuu in the forest』収録のこのドラマチックな曲は、水、もり、花、陰、陽の光、季節......そのなににでもなれると歌う彼女が、そうした自然のあらゆる存在を通して、聴き手を包み込もうとしてくれます。と、同時にこの曲には、彼女の繊細なギターの弾き語り、クリスチャンであることが作家としての一つのアイデンティティにもなっている彼女のスピリチュアルな世界観、少女のように優しく無垢な歌声など、彼女だけの魅力が詰まっている。今年、何度も何度もこの曲に痛みを治癒してもらったと思います。ライブにも行きましたが、お気に入りのぬいぐるみと一緒にステージに立ち、正直な言葉だけを発する彼女の姿も見ていて温かい気持ちになりました。

1:14~
오랜 날이 지나고
長い一日が過ぎて
다 타버린 후에
焼けきった後に
날아간 후에
飛んで行った後に
남아있는 마음 까지도
残っている心までも
끌어안을테니
抱き抱えてあげるから
사막같은 이 곳에서
砂漠のようなここで

2. Soumbalgwang ソウムパルグァン 소음발광
"기쁨 Happiness"
<OSORIWORKS>

釜山を拠点にする4人組ポストパンク・バンドが秋に発表したセカンド・フルアルバム『기쁨, 꽃 Happiness, Flower』の最後を飾る曲。絶望や憂鬱、厭世感の混じった言葉を吐き出しひたすらに突っ走ったアルバムのラストがすごく美しい。インタビューしたときに教えてもらったのですが、実はこの曲、元々の曲名は「自殺」だったらしいです。

<5:32~>
이렇다 뭘 해본 적도 없구요 (こうだよ、何かしてみたことはないです)
살아보려 애쓴적도 없어요 (生きようと努力してみたこともないです)

この歌詞は「人は憂鬱感や死にたい気持ちとかも抱えていいはずなのに、メディア(マスメディアはもちろんInstagramなんかもそうでしょう)は喜び/幸福ばかりを強要している気がする」と感じていたボーカル/ギターのカン・ドンスが自らに溜まっていた思いをぶちまけるように、後半に何度も繰り返されるのですが、二度目からは同じ釜山のバンド、Bosdongcooler、hathaw9y(ハサウェイ)のメンバー、ベースのキム・ギヨンの妻、ソウムパルグァンの元ドラマーらが一緒に叫んでいるのです。わずかでも思いを共有した友人たちが、一緒に叫び合うことでこそ味わえる解放感、それはパンクの一面でもあると思います。11月末にソウムパルグァン のライブに行きましたが、本編のラストで演奏されたこの曲で、メンバー全員と一部観客が一緒になってこのパートを叫びながら歌っていたときは本当に感動的でした。2021年最高のパンク・アンセムの一つです。

1. Lang Lee 이랑 イ・ラン
There is A Wolf 늑대가 나타났다 オオカミが現れた
<Your Summer>
今年の韓国で、この曲以上にこの国の社会のことを歌っている曲はなかったし、まさに市井の市民のどんな些細な声にも耳を傾け、一緒に戦ったと曲です。デモや集会で使われることをイメージして作ったというこの曲は構成、コンセプトも見事。怒りを表明するために現れる主体を、魔女、暴徒、オオカミ、異端という中世時代を思わせる言葉で表現していますが、歌をより力強くさせていますし、それらが現れる度に聴き手が一緒に「〜が現れた!」と叫べるようになっている。コーラスで出てくる、フェミニズムと性の多様性を支援するコーラス・グループ、オンニ・クワイアのカラフルな声はまさに市井の市民たちを代弁しているかのよう。でもでも、一番大事なのは歌詞です。

내 친구들은 모두 가난합니다
私の友達は皆貧乏です
이 가난에 대해 생각해보세요
この貧しさについて考えてみてください
이건 곧 당신의 일이 될 거랍니다
これはすぐにあなたのことになるでしょう
이 땅에는 충격이 필요합니다
この土地に衝撃が必要です
우린 쓸모없는 사람들이 아니오
私たちは役ただずの/無駄な人間ではありません
너희가 먹는 빵을 만드는 사람일 뿐
あなたたちが食べるパンを作る人であるだけ
포도주를 담그고
ワインを漬けて
그 찌꺼기를 먹을 뿐
その残りものを食べるだけ
내 자식을 굶겨 죽일 수는 없소
私の子供を飢え死にさせるわけにはいかない

コンビニの店員でもいい、道端で横になっているホームレスでもいい、テレビの画面を通して知る何かしらの痛みを訴えている市民でもいい、あなたが関係ないと思っている他人も、どんな形で生きていようと、その命もどこかしらで必ずあなたの暮らしと繋がっているのだと聴き手に想像力を投げかけます。
2021年、このプロテスト・ソングと出会えてよかった。今年もこの国で何人が自殺したのか、ソーシャルディスタンスで営業時間を制限され、少額の少額の支援金しかもらえない自営業者たちがどれだけの痛みを味わったか。与党・共に民主党、野党第1党・国民の力の議員たち、全員この曲を聴け。


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