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怪談No.13 最後の”何か”

僕が実家でよく遭遇する何かについての話。

また何かに最後に遭遇した話。

正直人に言う分にはあまり怖くない、というより何かは一人じゃなくて複数いたことがわかった話。


僕が大学4年生の冬のとき。

そのころ家族で卒業旅行にいく話を何度もしていたが行き先が決まっていなかった。

母親と顔を合わすたびに旅行先をどこにするかを聞かれていて正直うんざりしていた。

最終的にはパリかローマの二択になったが、この2択になってもなかなか決まらなかった。

ある日の朝、僕は大学に行かなくてもいい日なのでずっとベッドで過ごそうとだらけていた。

しかし8:00くらいに母が僕の部屋にきて、僕がだらけて寝ていることを怒った。

また旅行先を決めろとついでのように怒ってきた。

僕はかなり眠かったが、仕方なく起きて着替えるフリだけをした。

母が仕事で家を出たあとまた寝るために。

ようやく母が家を出た。

そのとき8:15くらいだった。

僕はまた2階の部屋に戻って布団に入った。

安心しきったときに一階から「○○~!結局旅行先どうすんの~!?」と母が大声で言ってきた。

まだいんのかよ!って思ったのと、旅行の話のしつこさに僕もイライラしていたから「ほっといて!夕方にまた旅行の話するから!」と怒鳴って言い返した。

すると母は何も言い返さず沈黙が続いた。

僕は(でも母が玄関から出るのを見送ったよな?あとまた家に帰ってきたとしても玄関の音とか聞こえなかったし・・・)

と思うと急に怖くなって掛け布団を頭まで被り全身を隠した。

すると一階から「やったー!」と見知らぬ子どもの声が聞こえて、階段をものすごい音を立てて走り上ってきた!

(俺のバカ!、まず部屋のドアを閉めればいいのに、怖くて布団に隠れてしまった、怒鳴って言い返したから俺がいるのは何かに気づかれているのに...)

足音で確実に自分の部屋に入ってゆっくり僕に近づいていることがわかった。

もう布団に隠れて黙っているしか選択肢はなかった。

すると足音がどんどん増えていくのがわかった。

2人ではなく4,5人ほどはいる。

その4,5人がコソコソ話をしているのも聞こえたが、話の内容まではわからなかった。

コソコソ話が終わってしばらく沈黙が続いたかと思えば、布団ごと僕の身体をでしばっていた。

身体をぐるぐる巻きにして強く締め付けるが、そんなこと僕の体勢を考えれば出来るはずはない。

普通はありえない。



5分間ほど縛りつけようとして、すると急に静かになった。

身体の縛り付けられる感覚が弱くなっていった。

でもまだ僕は怖くて布団から出られない。

(よし10分経ったら、勢い良く起きてみよう)と決めた。

それまではしっかり10分を数えて、ずっと耳を澄ませて足音に注意していた。

足音が一切聞こえないということはまだ僕の部屋にいる可能性の方が高いのだ。

しかし何も聞こえないまま10分経ってしまった。

僕は勢いよく布団から出た!


何にもいない...

安堵した。

(もしかしたら夢かも?)

と思って時計を見た。

実は1時間ほど寝ていたんじゃないのかって思って。

時刻は8:30

夢の可能性はかなり低いことが分かった。


その年の春から僕は実家を出ているから、しばらく何かに遭遇していない。

何かに関するお話はこれで終わり。

また実家で変なことがあったらここで話そうかと思います。





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