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【街で見かけた看板で】#01

看板の前で男がふたり立っている。
「なんか気になるよね?この看板…」
「看板?」
「なんか変…」
「どこら辺が?」
「変態者に 貴方は狙われている」
「確かになんか変…」
「貴方は 変態者に 狙われている」
「ああ、そっちの方がしっくり来る」
「それよりも変態者だね」
「変質者じゃないんだよね」
「変質者なら痴漢や迷惑行為だろうが、変態者ってなんだろう」
「オカシな行動をする人、かな…勝手に他人の家を物色したり、空き巣をしたり…」
「でもさ、そもそもが看板ってなぜか気になる方が正解なんだよね。気にもとまらないような看板だと立てる意味が無いしね」
「まあね〜。それ言ったら、世の中すべての創造物は全部そうだよね、テレビも動画も、イラストも漫画も…」
「今どき、こういう看板あるんだね…」
「案外、これを設置した人達も、忘れてたりして、もう風景の一部になっちゃって…」
「だからそれじゃダメなんだよ。看板の意味も無いし、存在価値も無くなる」
「でも俺らみたいな他所から来た人間が気になるってことは、意味あるってことだよね」
「まあたまたまね…」
「俺達がその変態者だから?」
「まあね。狙われてるって分かっているんだよね、この街も…」
「怖いね〜、街の人は注意しているのかな?」
「変態者に 貴方は狙われている」
「なんで俺を指差しながら言うんだよ!」
高々と気持ち悪い笑い方をする。
「注意喚起。忘れちゃいけないよ」
「さ、じゃあ仕事しますか、変態者らしい悪行を…」
「怖い怖い…」

使い捨ての時代。映像も広告も。その想いも。

     「つづく」 作:スエナガ

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