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【街で見かけた看板で】#02

修学旅行でやってきた女子高生。
「サチ何見てんの?」
「これ…」
「何?」
「奥さまニュース速報板」
「え?何?」
「奥さまニュース速報板」
「え〜!昭和ってこういう掲示板が街にあったの!?」
「いま令和だし。速報が、路上 煙だよ」
「いや、路上禁煙の禁が消えちゃってるんだよ。それにこれは速報の内容じゃなかったんじゃない?」
「でもこれ、役所の出しているシールを貼っちゃってるよね?」
「レトロで不思議な掲示板…」
「戦争中とか、戦前とかって時代なのかな?」
「でもメチャクチャキレイだよね」
「東京は焼け野原になったって歴史でやったじゃない?残ったんだね…この掲示板…」
「奥さまニュース速報板」
「奥さまニュース速報板!」
「どんなニュースが貼ってあったのかね」
「回覧板みたいな内容じゃない?」
「回覧板も最近見ないね〜」
「情報の少ない時代だったんだろうね」
「テレビあったのかな?」
「ラジオとかの時代?」
「こうやって私達みたいに女性がここに立って見ていたのかな…?」

「サチ何見てるの?」
さらにふたり加わる。
「奥さまニュース速報板」
「え〜!?こんなの見てもつまんないよ〜時間無くなっちゃうよ、早く行こ!」
「でもなんかタイムスリップした気分だね…」
「サチにはこの時代が合ってたかもね、のんびりしてるから」
「この時代の人達がのんびりしてたんじゃなくて、今の時代が忙しないんだよ、たぶん…」
「それでもこの掲示板はニュース速報板だからね!」
「奥さま限定掲示板って、小さな男の子とかも見てたかもね!」
「…次に来た時にもまだあるかな?奥さまニュース速報板…」
「どうだろうね、街の景色は凄いスピードで変わるから…」
「なんで残していたんだろうね、この掲示板…」
「なにか私達に伝えたかったんじゃない?」
「掲示板だけに?」

使い捨ての時代。映像も広告も。その想いも。

     「つづく」 作:スエナガ

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