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04話 君とつながる

コロナ禍という無情な時間が、都会の騒がしさを一瞬で静めた。新型コロナウイルスの脅威はなおも拡大の一途をたどり、賑やかだった街は不要不急の外出自粛の声に押され、人々の足は停まってしまった。街全体が灰色の影に包まれ、通りを歩く人々も無表情で、街の喧噪は一気に静寂に変わった。

優斗はテレビやSNSで連日流れ込んでくるコロナ感染者のニュースに苛立ちを覚えていた。「外出自粛」という不透明な要請を出しておきながら、あたかも受け取り手に責任を押し付けるかのようなその態度に、潔く「外出禁止」と決断すればよいのにと思いつつ、しかし、自身の今の行動に躊躇いを覚えることもあり、その決断は一概に間違いとは言い切れなかった。

結菜とのネット上の交流は、優斗にとっては普通の日常の一部だった。しかし、ある日の出来事をきっかけに、ネットの世界から抜け出し、現実の世界で結菜に会うことになった。現実の世界で会うことになるとはSNSの世界に入る前、いや入った後でもそんなことは一ミリも考えたことがなかった。

外出自粛と言われているこの時期にわざわざ外に出ていき遊んでいる人たちがいるのだろうと不思議に思っていた。
でも今は違う、僕は君と会う約束を果たすために外に出る。外に出ているのは単に会いたいからだ。そういう気持ちになったことで、なぜ皆外に出ていくのか少し理解できるようになった。

出会う約束が押し迫ったある日、結菜は優斗にDMで問いかけた。

「私達が待ち合わせる土曜日、それはゴール、それともスタート?」

優斗は頭が真っ白になる一瞬、二人の関係を考えた。ここで違った答えを返してしまえば、土曜日の約束も果たせなくなるのではないかという不安が襲ってきた。ゆっくりとつばを飲み込んで、彼は手を動かし始めた。

「スタート・ゴールどちらも答えだと思う。でも始まっても終わってもいけないんだ、僕たちは夢の中でお互いを寄せ合うだけの関係だから。」

と、優斗は返答した。彼らの関係性は現実と夢の微妙な狭間で揺れ動き、そこから次へと進む勇気を見つけようとしてた。その不確かな道のりの中で、新たな出会いが彼らに未知なる繋がりを紡ぎだすことになるのか。優斗は答えを送り終えると、土曜日の待ち合わせを心待ちにして目を閉じた。

(つづく)

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