アカ_ヨシロウ

vol.4『アカ ヨシロウと肉』

はじめに

 夫は肉が好きだ。
 肉が好きだといっても、「好きな料理はハンバーグ」レベルではない。大好きなステーキを美味しく焼くためだけに、専用のフライパン(クソ重い)を購入する。自分の手で塊肉を捌くために、筋引包丁とチョッパー(骨を断つための包丁)を新調する。そして、いかにコスパよく美味しいお肉を食べるかに力を注ぐ。そんな夫が振る舞う肉を食べると「高価なお肉=美味い肉」というわけではないんだなーと実感する(もちろん、間違いなく美味しい高価なお肉もあるのだが)。
 月刊アカ ヨシロウvol.4『アカ ヨシロウと肉』では、肉を食べることが好きというより肉そのものが大好きな夫について特集する。

 夫と肉の特集。夫が愛して止まない肉についての話。


アカヨシロウ初イベント『お肉の会』レポート

 2019年4月13日(土)、桜上水のAirbnbで第1回『お肉の会』が開催された。夫・アカ ヨシロウも参加する「日刊かきあつめ」初のオフラインイベントで、夫が執筆した「コストコのお肉をシェアしませんか?」という記事が基盤となったイベントだ。

 ここで「日刊かきあつめ」について紹介させていただきたい。
 「日刊かきあつめ」とは、宣伝・広告・環境に関する雑誌等を出版する「宣伝会議」主催の編集・ライター養成講座で出会った14名で構成された共同マガジンだ。

駆け出しのライターたちが、毎月ひとつのテーマに沿って、毎日更新していく共同マガジン。
引用元:日刊かきあつめ

 今回のイベントは、夫が「日刊かきあつめ」で書いた記事が基盤となっている。2月・3月テーマ「noteで募集されている「#お題」で記事を書く」で、夫は「#とは」というお題を選択。「コストコのお肉をシェアしませんか?」という記事を執筆し、それがそのままオフラインイベントになった。

 当日、会場となるAirbnbへ。お肉シェアイベントだけでなく、日刊かきあつめメンバーによる「旬の野菜を使ったレシピ」シェアイベントも開催。栄養バランス面でも安心できる(?)会となった。
 参加者同士で自己紹介をしたあと、さっそくお肉シェアイベントがスタート。冷蔵庫から塊肉が取り出されると「おおー!」という声があがった。

 イベントのために用意された塊肉はすべてコストコで購入したもの。塊肉で販売されているのを見ると「どうやって切ったらいいんだろう」「どうやって食べたらいいんだろう」と戸惑うものだが、塊肉を自分で切ることができれば、あらかじめスライスされた肉より100gあたり50〜200円も安く肉を味わうことができる
 また肉を自分で切ることで、すでにスライスされている肉では想像しづらい「肉の全体像」が見える。全体像が見えると、どんな部位にどんな特徴があるのかが分かる。それにより味や食感の違いをより深く感じられるし、「なぜスライスされた肉がこの価格なのか」といった、肉の販売価格についても理解を深めることができる。

 イベントでは、一般的な包丁と夫が用意した筋引き包丁やチョッパーを使って、参加者自身が肉を切っていく。

(↑)筋引き包丁。これを使うと肉の筋が切りやすい。

(↑)チョッパー。ずっしりとして重い。

 慣れない手つきで肉を切る参加者。骨を断ち切る体験では、チョッパーのごつい見た目と骨を断ち切る「ガツン」という鈍い音に「怖い」という声もあがった。だが、しっかりとした骨つき肉がチョッパーで分断され、どんどん食べやすいサイズになっていくのは見ていて面白い。日常生活で使う機会のないチョッパーに触れられるのも、『お肉の会』ならではの体験だろう。
 また夫は参加者に「たくさんお肉をさわってみてください」と伝えていた。肉に触れることで、スーパーでトレイに売っているお肉も元は一体の生物だったことを感じてもらうためだ。参加者は目の前の塊肉にふれ、しっかりとした質感を存分に味わっていた。

 今回用意された肉の種類・部位は全部で4種類。

・カナダ産豚スペアリブ
・アメリカ産牛ムキタン
・アメリカ産牛リブフィンガー(中落ちカルビ)
・アメリカ産牛チャックアイロール(肩ロース)

 ムキタン(写真↓)が用意されたときは、コスパのいいタンの選び方が紹介された(詳細は次項『お肉の会』の教科書にて)。

 ムキタンは「牛のベロ」そのものの形から、不要な部位がだいぶ削ぎ落とされている。しかし焼肉店等で食べる薄切りの見た目に慣れていると、いくら剥いてあったとしてもその姿は「牛のベロ」そのもの。その重量感のある見た目に、参加者は興味津々だった。

 肉を捌く体験のフィナーレは9kgもの肩ロース肉(↓)。

 部位を説明するため、参加者の体を牛の体に見立てて説明する場面もあった。実際の牛の体と照らし合わせて考えてみると、筋肉の動き方の違いなどから、「なぜこの部位のお肉が少し硬いのか」「なぜこの部位が希少と言われるのか」がわかるようになる。

 用意された9kgの塊肉の中には、焼肉店などで比較的高価な部位であるザブトンが。塊肉を切り分けはじめたときにはピンとこなかったが、夫が焼肉店やスーパーマーケットで販売されているザブトンの形に切り分けた瞬間、「ザブトンだ!」と分かった。塊肉の中に隠れていた部位は他にカブリとマンジュウ。販売されているお肉は、それを食べる人が食べやすいように念入りに加工されていることを実感した

(↑)9kgの塊肉を切っていく

(↑)切り分けていくと見たことのある形に

 当日は肉をシェアするだけでなく、肉をその場で調理し、味わう体験も。

photo by 日刊かきあつめ

 お肉に合うさっぱりとした味のマスカットワインと軽やかだがしっかりとした渋みのある赤ワインも用意されていた。当日のメニューは、

・肉骨茶(バクテー)スープ
・焼肉(豚スペアリブ・タン・中落ちカルビ・ザブトン)
・肩ロースステーキ
・キャロットラペ
・ワカモレ
・サルサ

と盛りだくさん。

photo by 日刊かきあつめ

 大人気だったのはタンと中落ちカルビだ。噛みごたえがありながらも食べやすく、親しみやすい味にどんどん手が伸びてしまう。お皿の上に盛り付けても、あっという間になくなってしまった。

 今回のイベントは、はじめて開催されたオフラインイベントということもあり、調理・片付けも含んで5時間(!)という長丁場で行われた。
 正直な話、肉の迫力と「肉を捌く」という慣れない作業で、参加者にも主催者にも疲れが見える場面はあった。だが、美味しそうな肉料理を目の前にすると、全員笑顔になっていたのが印象的だ
 イベント終了後、お肉を参加者全員でシェアしたのだが、次の日さっそく焼肉にして楽しむ参加者もいたようだ。

 アカ ヨシロウのお肉愛が存分に伝わる会になったのではないだろうか。


『お肉の会』の教科書

 『お肉の会』では講義(?)の時間もあった。肉の部位や美味しい部位の見分け方、コスパよくお肉を買う方法などの紹介があったのだが、時間の都合上、話しきれなかった部分もある。
 そこで『お肉の会』に参加した人はもちろん、参加できなかった人にも楽しんでもらえるよう、『お肉の会』の教科書をここで紹介する。今回ご紹介する部位は、

・豚スペアリブ
・牛ムキタン
・牛リブフィンガー(中落ちカルビ)
・牛チャックアイロール(肩ロース)

だ。

<豚スペアリブ>

出典元:Amazon|国産“豚スペアリブ”

 腹側の肋骨間のお肉です。背中(リブ)側の肋骨間はバックリブと言い、あまり売っていないのですが、腹側のスペアリブはスーパーでも見かけますね。”BBQといったらスペアリブ”というぐらい、海外では骨付き肉はメジャーです

 一般スーパーでの小売価格はだいたい130~160円(外税)ぐらいですが、今回はコストコ価格は99円(内税)で1.5Kgを購入。今回は食べやすくするためにチョッパーで骨を折りましたが、刃こぼれは自己責任でお願いします。

 スペアリブは骨近くのジューシーな部位なので、グリルでBBQ風に焼いたのと、バクテースープで柔らかくなるまで煮込んだものを提供しました。

<牛ムキタン>

出典元:Amazon|国産牛 高品質 牛タン

 牛タンです。舌の表皮を剥いたタンを、流通用語でムキタンといいいます。世の牛タン屋は大丈夫なのだろうかと心配になるくらい、年々価格の上がっているムキタン。買って食べるならコストコで真空パックで買ったほうが断然に安いのが特徴です

 今回はコストコ価格は399円(内税)で0.9Kgを購入。一般スーパーの価格はだいたい500円~580円(外税)くらいで売っており、コストコでもカット済みが485円(内税)なので、コストコで真空パックを1パック買って自分でカットした方が断然安いです

 選び方のコツは「なるべく形が短いのを選ぶこと」。1パックのタンから、喉側の「タン元」と舌先の「タン先」で部位を2分割できます。特徴は、タン元のほうが美味しくて値段が高く、タン先は肉質が固く、安くなる傾向があります。1パックの形が長いムキタンは”タン先分が長い”ので、その分割高になってしまうのです。

 今回は贅沢に全量を焼き肉にしました。

<牛リブフィンガー>

出典元:Amazon|“牛中落ちカルビ”

 牛の腹側肋骨間の、焼肉屋で一般的に「なかおち」と呼ばれる部位です。骨近くの美味しい部位ですが、硬いスジを処理しないといけなく、変色も早いのでスーパーではあまり見かけないですね。コストコで焼き肉用のお肉を買うなら、処理が大変ですがリブフィンガーが安くてジューシーでおすすめです。

 今回はコストコ価格198円(内税)で約2Kgを購入。韓国風に漬け込んで焼き肉にし、残りはお土産に持ち帰ってもらいました。

<牛チャックアイロール>

 一般的に肩ロースと言われる部位で、スーパー食肉部門のメイン商材の1つです。

 特徴は「デカい」と「端と端で肉質が違う」ことです。牛の前腕背中側の、ざっと首下から背中上部までを切り取った部位なのですが、重量として9Kg 近くある大きな部位です。これぐらい大きい部位だと、同じ塊肉の中で価値に差がでてきます。

 首側(ネック側)はよく動く部位なので筋肉質で固く、薄くスライスしないと食べづらいのが特徴です。一般的にスーパーでは切り落としなどにして、比較的安い値段で売られます。

 一方背中側(リブロース側)は柔らかくジューシーなので、厚めに切ってステーキや焼肉用として食べたほうが美味しいですし、高価格帯で売ることができます。よく焼肉屋で言われる「ザブトン」や「マンジュウ」などは、この付近の部位になります

 ただ、肩ロースの価格のつけかたはスーパーによるので、切り落としと焼き肉・ステーキ用で価格に差をつけていない場合もあります。(下記図参照)これまでのことを踏まえて下記の表をみると、切り落としを買うのはA店、焼き肉・ステーキを買うのはB店で買うのがお得だとわかりますね。

 今回はリブロース側をステーキに、ザブトンは焼き肉にして食べました。9Kgもある大きな塊肉なので、あまりは1人600g以上の持ち帰りができました。


お肉の魅力を聞いてみた

 夫は出会った頃からお肉好きではあったのだが、お肉好きに拍車がかかったのは会社員時代、食肉部門に勤めるようになってからだったと思う。そこでお肉大好きな夫に、お肉の魅力を聞いてみることにした。

ーイベントお疲れ様でした。わたしは普段から、スーパーでお肉を見てニヤニヤするよしさんとか、美味しいお肉食べて悔しがるよしさんとか、お肉のために調理器具を買ってルンルンなよしさんとかを見ているんだけど、よしさんをそこまでウキウキにするほどの魅力がお肉にあるの?

 いやぁ、なんつったって美味いからだよね!うまい肉を口いっぱいに含んだときの幸福度は半端ないっしょ。脳から汁がでるというか、イキかけるよね。笑

ー脳から汁がでるんだ笑。よしさんに食べ物の好き嫌いがないのは知ってたけど・・・なんでそこまで「お肉」なんだろう。自分で考えたことある?

 「美味い」のパワーがスゴイからだと思う。菜食主義の方には申し訳ないけど、肉には野菜に再現できないパワーがある。もちろん美味い野菜はうまい。けど美味い肉には敵わないなぁ。豆類でもカロリーやタンパク質を取れるけどけど、量が違うよね。

 やはり人間も動物だから、舌は脂質とタンパク質は美味しく感じるようになっている。だから食肉は美味しく感じるんだよなぁ~。

 お魚もお肉と同じぐらいパワーがある(美味い)から、最近は魚についても勉強したいんだよな~。

ーお肉食べるのがめちゃくちゃ好きだけど、ダチョウ倶楽部の寺門ジモンさんとかアンジャッシュの渡部さんみたいな熱中の仕方※ではないよね。一番好きなのはなに?捌く行程?調理?食べること?

 うーん、確かに僕は彼らほど食べることのウェイトは高くないかもしれないね。そう考えると、「自分が納得すること」にウェイトを置いてるかな。
ただ美味い肉を食べてもいいけど、それより「お肉の生体における部位を理解して」「流通の仕組みと相場を知り」「スーパーや外食でやっているカッティングを自分でやって」「どんな食べ方をしたら美味しいかを考えながら食べる」などの工程が楽しいなぁ。

※寺門ジモンさんの肉好きが伝わる参考文献はこちら。アンジャッシュ渡部さんは2014年2月に放送された『アメトーーク! 』(テレビ朝日)「ジモンという男」で、寺門さん率いる「肉軍団」の1人として登場。

ーちなみにお肉大好きなよしさんが今ほしいものってなに?

 今僕が欲しいのは、電動スライサーと肉をミンチにするチョッパーと狩猟免許だなぁ。笑

<電動スライサー>

出展元:Amazon|ritter 電動スライサー E16

 電動スライサーほしいんだよなぁ。安いやつだと2万ぐらいで買えるっぽくて、これがあったらもっと気軽にすき焼きができるよー!

<チョッパー>

出展元:Amazon.co.jp|肉挽き器

 包丁のチョッパーと紛らわしいけど、肉をミンチにする機械のこともチョッパーと言うんだよね。これがあったら塊肉を捌いたあとのクズ肉をもっと気軽に有効活用できるんだけどなぁ。。

<狩猟免許>

 これは、もう、ね。やはりどうせやるなら一頭を捌いて、全部位をキチンと堪能したいよね。猪も鹿も、他の動物も自分で捕獲して食べてみたいなぁ。(動物の革で小物や洋服を作りたいって別の目標もあるけどね。)

ー電動スライサーとチョッパー買って家に置いたら「食肉加工場」みたいになりそう笑。狩猟免許はずっと興味あるって言ってたよね。

 やぁ素直に「野生の動物を食べたい」って思うと、狩猟免許を取ろうかなぁとね。ただジビエ料理屋さんに行って食べるだけより、自分で捕獲して、捌いて、調理して、食べるほうが美味しいでしょ。もちろん、近年猟師さんが足りなくて害獣トラブルが発生しているっていうから、何か貢献できないかなぁってのもあるよ。

 駆除して廃棄しているって話も聞いたことがあるから、だったら僕が美味しく食べたほうがその生き物のためにもなる気がするんだよなあ~。

ー変な質問かもしれないけど、将来どうお肉と向き合いたいとかある?お肉オタクとか、お肉マニア、目指してたりする?

 やっぱり「知りたい」だね。

 マニアを目指しているつもりはないけど、マニアと呼ばれるくらい向き合いたいなぁ。あと、今回のイベントでも再確認したけど、僕は人に料理を出すのが好きなんだよね。いろんな動物を食べる美食屋もいいけど、どうせだったら猟して、捌いて、調理したものを提供する、そしてみんなで「肉うめぇ~!」って言い合う場を作る人になりたいなー。

 うん。よーし、頑張るぞ~!!


編集後記

(↑)新婚旅行先のオレゴン州・ポートランドにて。3年前。

 夫は肉が好きだ。
 自分でも言っていたが、好きすぎて少々めんどくさいほどである。一緒に外食をすると、出された肉料理にものすごく厳しい。最近は、自宅で夫が肉を捌き、焼いてくれるため、そもそもあまり外食しないのだが、食べに行くと時々「僕が焼いたほうがうまい」と言うことがある。傍から見ると偉そうな発言に聞こえるかもしれない。しかし実は時々、わたしも「夫に焼いてもらったほうが安いし、美味しい」と思っていることがある。偉そうな夫婦だ。
 お肉大好きな夫はほしいものに「肉を切るスライサー、肉をミンチにするマシーン。それから狩猟免許」と答えている。肉を加工するだけでなく、自分の手で肉を獲り、捌きたいという思いを聞いた。このままだと、将来家をもつことがあるとすれば、自宅ではなく食肉加工場になってしまうのではないだろうか。

 夫の肉への探究心は、まだまだ続く。

 次回は5月末に刊行予定。

special thanks: 日刊かきあつめ

photo / sentences / edit: Kaho Katayama

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ライター・ブロガー・画家。 3足のわらじを履いてぬるぬる生きる。ぬーるぬる。 1991年生まれ。東京在住。 noteでは、自分の生活を晒していきます。
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