今はここが居心地の良い場所|『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』読書感想文
海外に昔から興味がなかった。
「行くならスペインかオーストラリアかな〜」なんて言ってはみるけれど、実際には行かないんだろうなと思っていた。
新婚旅行は大分。良い宿に泊まり、温泉に入り、美味しいご飯を食べたかったから。
それは日本で十分に叶う。
韓国旅行に誘われて、結局都合がつかず、無しになってしまったことがある。
でも、それにほっとする自分もいて。
韓国料理を食べることも韓国コスメを買って使うことも、日本でできる。本場でしか味わえない体験はきっとあるんだろうけど、私は日本版で良いと思っていた。
海外を知らずして「日本最高!」なんて言わないけれど、少なくとも私にとっては居心地が良くて、満足している。
でもきっと若林さんはそうじゃなかったから、海を渡った。
旅に出る理由は、ひとつではないと思うけれど。
自分にはないもの。経験したことのない何か。育った言葉も価値観も、何もかも違う人たち。そんな物事に囲まれて、若林さん自身のことや、日本という国のことを客観的に捉え直していた。
なんだか、映画の深い考察を読んだような感じ。
海外旅行記を読んだのは、たぶん初めて。
写真映えするホテルや観光地を紹介するSNSとはぜんぜん違う。海外旅行のこと、ちょっと勘違いしていたかもしれない。じゃあ「海外に行ってみたい!」と思い直したかと言うと、そうはならなかった。もしかしたら一生、思わないのかな。
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