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愛しているの重量感

私は"愛している"と行ったことは3度ほどしかなく、
かつ、一人にしかない。

私にとって、愛している、は重量感があり、

簡単に言葉にできるものではない。

だが、その言葉をもっとさらっと使ってみようか、

って気持ちになって書くnoteがこれである。

とりあえず、愛している、色々と。

初めて愛していると言った日

初めて、愛しているという言葉を使ったのは、
19歳の春で、
1年間留学のために会えなくなる彼氏と、

最後の夜にセックスをしている時に使った。

これまでにないほどに愛しさが溢れ出して、
知っている語彙の中で
最上級の愛を伝える言葉として
使ったのがそれである。

あの複雑でこみ上げる感情を伝えるのに、
愛しているくらいしかないことに
どことない切なさもありつつ、
初めて言葉にしたそれは

いかに彼が大切であるかを感じさせるものであった。


その後の彼との付き合いの中で愛しさがこみ上げた時、

不安がどうしようもなく積み重なってどうにか繋ぎ止めたい時に、使った。

兎にも角にも、私にとってその言葉とは容易には使えぬものであり、

特別なものであった。

簡単に愛してるって言う友人

ところが一方、
私の友人に"愛している"といとも簡単に伝えているように
見える人がいる。
彼は愛に満ちた人で、よく人を好きな人、
愛している人の話をする。

SNSでもよく投稿するし、会話の中でも頻発する。
そんな愛情深い彼の一番好きな人が先日亡くなった。

私の大好きな人でもあった。

悲しくて信じられない気持ちは募った。

でも、比べられるものではないとわかりつつも、

彼の心を想像すると、
私のそれとは計り知れないほどの
形容できない感情が詰まって
はち切れそうなことはわかる。



そんな彼と、もう一人の先輩と深夜に
ゆっくり
シェアハウスでウイスキーを飲みながら聞いてみた。


「愛してるっていうの怖くない?」



そう、私が愛していると言えない理由の一つは

相手からもそれだけの感情が返ってくるかがわからなくて
不安で、
一方的になるのが怖くて、言えないのだ。

一方通行な感情は、独りよがりで寂しい。

そんな私に向けられた彼の答えは爽快だった。

愛していると伝える、その度に愛はきっと返ってくるし、

伝えた方が関係は深まりを見せる、とのことだ。

言われてみれば本当にそうだ。

彼はとってもユニークな人で、最初は感情が見えないようにも感じていた。

けれど、彼が好き、と私に伝えてくれるたびに私も彼に好きというし、

その感情は大きくなる。
あ、友情的な意味でね。

愛している、好き、という言葉は関係を募らせる。

もちろん、口先だけで薄っぺらなものは、
この世に五万と溢れる。

それでもかすかに、心に感じているのであれば、

それを大げさなくらい伝えてもいいんだろう。



その時、一緒に飲んでいた先輩が私にいう。

「そっかぁ、かんかん、愛しているよ」

私は戸惑うが、伝える。

「私も、先輩、愛しています」

愛していると伝えるのは人生二人目であるが、

先輩に恋愛感情もなけらば、なんなら4ヶ月ぶりにあったぐらいで

私のこれまでの愛している基準に沿っているわけではない、失礼だが。

つまりは非常に軽々しく使ってみた。


が、まぁ、悪くない。
言葉なんて信用の足らないもので、
これぐらいライトでもいいのかも。

あるいは、有り余る、言葉にできない感情たちを
普段から、
ちょっとづつ振りまく、という行為はすごく素敵かもしれない。

愛しているの重量感の差

とはいえ、私がこの時使った「愛している」は、

19才の春のはじめに使った「愛している」と響きは同じでこそ、

その重量感はなんとも違う。

すごく違う、この重量感。

だから、言葉って信用ならないのよね。

そこにある雰囲気や空気感によってこの「愛している」は
重量感は、
知らずとも伝わっているのだろう。

だから、愛しているやら、好きやら、もうちょっと使ってもいいかも。

特別な時はきっと、

声色や、肌の感触や、表情が、時間が、場所が、演出してくれるし。



けれども、こんなに考えずに、
単純に、
愛を感じた時にちょっと大げさでも、

相手がどうだなんて考えずに、
恐れずに、
真っ裸のまま突っ込んでしまえばいいのだろう。


頭でっかちな私が考えているよりもきっと
周りは愛に溢れていそうだし。

翌朝、愛している

いつの間にか寝落ちた次の日の朝、

予定のあった私がそそくさと家を出ようとした。
その時、ちょうど、起きてきた先輩が私を見つけてふざけたように一言。

「愛しているよ、いってらっしゃい」
「ありがとう、いってきます、愛していますよ!」
と私。

こんなにタイプじゃない男性だとしても
愛していると言う、
それ自体の幸福度はこうも高い。

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