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洗濯機ティッシュペーパー事件と犯人

 洗濯が終わって、「さて干しますか。」って時に、洗濯物がティッシュまみれでトンデモナイことになった事はありますか? 
ちゃんとポケットの中を確認して洗濯するから、そんな経験ないよって人にはまったく共感出来ない話かもしれません。私も嫁さんも、そんなにドジではないと思っていたんです。でもね、3回連続で洗濯ティッシュ事件が起きたんです。

 仕事から帰宅して、夕食を囲みながらテレビなど観て、他愛もない話なんかをしていると、思いもよらない話題になったんです。
「ポケットにティッシュ入れてなかった?」と嫁さんがやんわりと問いかけてきたんですよね。その物腰は優しく、咎める気などない様子だから、ちょっと安堵しつつも、「ごめん、もしかしたら入ってたかもしれない。」と、私も完全否定できるほどの確信がないものだから、ひとまずは謝っておいた。なんせ夫婦喧嘩が勃発した際には、100%嫁さんが悪くても、私が折れることで早期解決が出来ることを学習していたからなんです。
「そうかぁ、気をつけてね。」と、やはり私の過失を疑う嫁さんの返答が返ってきた。
「キャー!アブねー!」模範的な返答が出来て良かったと、自分を褒めてあげたいと思いましたよ。

 2回目は、少しばかり様子が違っていました。帰宅して、リビングに入るや否や異世界の光景が広がっていたんです。フローリングの床には、散り散りのティッシュ屑が広がっていました。私は一瞬、嫁さんがブチ切れて、部屋をめちゃくちゃにしたのかと勘違いをしたんです。何故なら、私がブチ切れさせてしまった時に、ケチャップ、マヨネーズ、中濃ソースなどなど、冷蔵庫の調味料を片っ端から取り出して、部屋中にぶちまけて怒りを表現していたから。
「部屋中オーロラソースじゃん。」
と思いながら、嫁さんを抱きしめて、誠心誠意謝罪をし、笑いながら二人で雑巾掛けをしたことを思い出したんですよ。もうね、笑って過ごすのが一番平和なんです。

そんな記憶にフリーズしている私を現実に引き戻す声がした。
「ねえ!洗濯物出す時ね、ポケットの中を確認してね!」あきらかにティッシュによって今日も大変だったという、語気の強い嫁さんの言葉が鈍器のように感じられた。
「ごめん、ポケットは確認した筈だけど、確認し忘れたポケットがあったのかもしれない。今、掃除するね。」って、身に覚えのない事件の自供しているような行動ですよ。「冤罪はこうやって起こるんだろうなぁ。」なんて思いながら掃除機で片付けしたんです。

 いや待てよ、「菅生事件」みたいな、公安による自作自演の爆破事件の様なフレームアップってことはないか? 本当は、ティッシュ事件なんてのは本当は起こってないんじゃないのか? じゃあ、何のために? 何か欲しいのもでもあるのか? イニシアチブを握るため? 離婚したいのか? サイコパス? マニピュレーター? イルミナティ? NWO? ディープステート? いやいや嫁さんの正体は、レプリティアンなのかもしれん。などと、陰謀論が渦巻いていた。
「いやいや、ないない。」と原点に返って考えると、あることに気付いたんです。嫁さんは、空前絶後の天然じゃなか!! これはきっと嫁さんが洗濯洗剤とティッシュを間違えて入れているに違いない。そのくらいやりかねない程のスーパーど天然なんです。
 ピーラーでじゃがいもやにんじんの皮を剥く時に、嫁さんは古新聞紙の上に皮を剥いて捨てるといった、一工夫するようなところもあるんです。でもね、その古新聞を丸めて捨てる時に、ピーラーも一緒に捨てちゃうんです。
勿論、そんなことに気付いてない。だから、次にピーラーを使おうとした時に無いことに気付くのです。「あれ?ピーラーがない。」ってね。それを何回も繰り返すんです。どれだけピーラーを買ったか分からないほど。

 そして3回目は突然でした。日曜日の朝、仕事が休みだったので、まだ寝ていたんです。いきなり起こされ、気付けば正座していました。そこには洗濯が終了して、これから干す服が山になって床に積んでいたんです。しかもティッシュまみれで。これは現行犯で捕まった犯人のような状況だ。しかも、ブチ切れた嫁さんの大説教がエグい。私は、100%悪くなくても自分の非を認め和解するという、暗黙のルールに従って平穏な暮らしを維持するように努めてきました。頃合いを見計らって、和解に持ち込もうと考えていたら、3歳の娘がトコトコ歩いてきた。洗濯機に背伸びして掴まるような感じのことをしているが、私は嫁さんのお説教を有難く頂戴しているので、よく見ていなかったんです。そしたら、もう一回娘が来たんです。トコトコってね。よく見たら、手にはティッシュ持っているんです。そして、また洗濯機に背伸びして、バンザイをするようにティッシュをダンクシュートしてたんですね。私と嫁さんは、「アハ!」ってなりました。そして、娘はまたまたティッシュを持ってやって来た。そんな娘に私は感謝を込めて言った、

「お洗濯お手伝いしてくれたの?ありがとう!」

犯人など居なかった。なんて心晴れやかな日曜の朝なんだ。


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