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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
543.ブラッシュアップ

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 フェイトが待ち兼ねたように続ける。

「我々は、それとは別に、アスタロト配下の力を高める為に、ここの所二百年以上空位だった七大罪を産み出す為にも尽力したんですよ! 今から二十六年前、大罪となり得る素養を持った四人を一つの団地に集結させ、その四人と因縁浅からぬ三人も同じく大罪へと昇華させたのです! お陰でアスタロトの軍勢は強靭その物に変容した、いいや変わる筈でした…… しかし…… しかし、結果は当初の目論見とは大きく違っている物でした、まさか、七大罪、七大徳、のみならず魔神アスタロトまで、コユキと善悪に心酔して臣従しんじゅうするなんて、予想の範囲外すぎましたよ……」

 パズスが横から口を挟んだ。

「だろうなぁ、んでもコキュートスの薄暗い穴の底ではいつも聞いていたぞ、恐らくそうなるだろうってな! 勿論バアルの軍勢も同じように配下に入る、だから今は暗闇の中で鍛え続けよっ! てな! 言われ続けて居たからな、結果今そうなっているんだからさ、お前達運命神より余程未来が見えていたんだなぁ、あの方達はな!」

 コユキと善悪がパズスの顔を驚愕の表情で見つめて同時に声を揃えたのであった。

「「あの方達って、誰なの?」」

 パズスは当たり前の事の様に答えた。

「アガレスとマルバス、バエルの三柱、それと暗い暗い、光が差さない闇ですよ」

 ラマシュトゥも言葉を重ねる。

「正体が分からない闇、いいえ影でしたけど、私達に良くしてくれているのが気配で判りましてよ、コユキ様」

 コユキが頷いて答える。

「なるほどルキフゲね、それにアガレスにマルバスとバエルか、『悪魔の偽王国』の序列一位から三位の有名所じゃないのよ、緊張するわね」

 アスタロトが半笑いで返す。

「あんな順番なんてあてにならないぞコユキ、適当に人間が並べただけだからな、あんなのはな」

 善悪が瞬で答えた。

「そうでござるな、序列二十九位、おっと、間違えた、アスタでござった! 失礼失礼」

「くっ!」

 口惜しそうにしているアスタロトでは無くバアルが纏めに掛かった。

「なるほど、今回は光影を聖戦士にさせない事、コユキ姉様にも積極的に聖女活動させない事、不確定要素であるオルクスとモラクスの排除、更にムスペルヘイムとヘルヘイム両軍の強化が目的だったと言う訳か…… 確かに今までの周回よりも良く考えられてはいるみたいだね、ただ、結果としては善悪兄様もコユキ姉様も妾やアスタを一蹴いっしゅうする程強力な聖女と聖戦士になっちゃったし、オルクスとモラクスもこの通り復活、それ所かパズスやラマシュトゥだけでなく、アジ・ダハーカ、シヴァ、アヴァドンも二十四年間のコキュートス生活で更に強靭に成長してしまった、ムスペルと妾の軍団も全てルキフェル兄様達の味方だ…… 君たち失敗したよね? 今回もさ」

フェイトがこの言葉に答えたが、自嘲も羞恥も無く至極当然と言わんばかりの、落ち着き払った声である。

「ええ、確かに目論んだ通りの結果は得る事が出来ませんでした、思惑は外れてしまいましたね、代りに今回やり直し始めに想像した憶測は確信に変える事が出来たのも事実に他なりませんでした…… コユキと善悪が聖女と聖戦士、それも真なる聖女と聖魔騎士である以上、全ての敵対勢力は二人に臣従する、つまり、二人合わせてルキフェルなのだ、と…… 人にも悪魔にも、そればかりか神々すらも、そのフランクな言葉と超自然体の言動で魅了してしまうカリスマ、支配者、貴方達二人こそ真なる王者、世界に君臨せし真実の神、ルキフェル自身に他ならないという事を、我々は確信する事が出来たのですっ! それはお会いしたばかりではありますが、私フェイト・ラダも例外では有りません、我がカリスマ、絶対神よっ!」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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