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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
20.激動の一日、終わる! (挿絵あり)

はじめての方はコチラ→ ◆あらすじ◆目次◆

「コユキ殿、少しは元気が出たござるか?」

「うん、おいしかったぁ、ありがと…… ねぇ、善悪、うちの皆はこれからどうなるの?」

 デザートのスーパーカ○プバニラを食べながらコユキが聞く。
 ある程度お腹が満足したので醗酵はっこうした灰色の脳細胞が動き出したらしい。

 同じくデザートのスーパー○ップ抹茶を頬張りながら善悪が言う。

「ふむ、では、先程の続きを…… 小生の記憶もまだ曖昧なのでござるが、まぁ、まず間違いないでござろう、バフォメットがツミコ殿の体、恐らくその場に居合わせた茶糖家全員の体から取り出したであろう『青く輝く光の玉』、それは魂魄こんぱく、人間のコア、魂でござる」

「ぇえ? なんでそんなモノ持ってくの? てか、皆死んでないよね? ……生きてるよね?」

「うむ、体の機能的にはね…… しかし急がねばならぬのでござるよ」

「……何を? 何で?」

「バフォメットの目的はあるじの復活、あ、ちなみにバフォメットは下っ端したっぱね! 復活のためには人間の魂、まぁ、沢山の生贄が必要で、先代聖女の魂、またその一族の魂なんて、コユキ殿にとってのデコレーションケーキワンホール、焼肉食べ放題の時間無制限でござるよ」

「なるほどねっ! 善悪…… 他になんかない?」

「はいはい、どうぞ、召し上がれ~」

 善悪は自身の傍らに準備してあった『雪○宿』大袋をサッと差し出した。
 同じ過ちは二度と犯すまい、とついさっき心に決めたのである。
 そして、やっといつものコユキのペースに戻ってきた、と安心するのであった。

「なんだ、また甘い奴か? まぁいいや」

とコユキ。

 善悪は一瞬ヒヤリとしたが、なんとか乗り越えられた。

――――そうか! 甘い物のあとはしょっぱい系であったな! 我輩としたことが迂闊うかつであった…… 反省反省……
 
 早速、二枚重ね雪の○をバリボリと頬張っている。

「……! そういえば、ヤギ頭の持ってた小汚い袋なんだけど、これ、不思議なの、入れたものが消えちゃうんだけど、何だか分かる?」

 取り敢えず腰にぶら下げていた小袋を善悪に渡す。
 そして言いながら気が付いたコユキだった。

「あれ? ということは皆の魂は、き、消えちゃったってことぉ?」

 しかし善悪に焦る様子は見られない。

「ふむ、その点は心配ご無用だと思うのでござる、恐らく魂は別の場所に集約されるのでござろ? その袋は、まぁ、ドラ○もんの四次元ポケ○トのような物では無かろうか? しかし、一定数の魂が集約される前、バフォメットの主が復活する前に魂を回収せねば……」

「……皆そのまま死んじゃうって事ね。 あぁ! もうっ! 訳分からないわよ!」

――――だめだめだめ! 泣くな! アタシぃ! 頑張るのよぉ!

「某はこれでもかなり噛み砕いてコユキ殿に伝えたつもりであるが……」

「ごめん…… 善悪の言ってる事は分かっているわ、うん! そうだね、何とかしなきゃね!」

 善悪が努めて明るく話してくれてるのはわかる。
 コユキは無理やり『雪○宿』二枚重ねを口に運んだ。

「ではコユキ殿、そろそろ日も暮れるでござるがどうされる? 泊まっていっても構わないのでござるが?」

 コユキは、口をモゴモゴ動かしながら激しく否定した。

「っ! そ、そんなふしだらなっ! 勿論帰るわよぉっ!」

 こんなセクシーダイナマイト、あふれ出るフェロモンに抗えるオノコがいる訳ない、いくら厳しい修行をつんだ善悪でもいつ狼に豹変するかわからない。

 コユキの思考を察した善悪は、コユキに気付かれない程度の溜息交じりに言った。

「はぁ、分かったのでござる、送ってくよ…… 門閉めて来るから少々待つのでござる……」

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「ではコユキ殿、ゆっくり休まれるがよい…… 明日は朝の八時にお迎えにあがるのでござる」

 善悪に茶糖家まで車で送ってもらったコユキは助手席のドアを開けながら、

「へ?」

と降りかけて善悪の方を振り返った。

「朝ごはん、準備しておくから」

 何故だか優しい笑顔の善悪である。

――――なんか…… キモイ! 変に優しい……

と思いつつ、善悪の朝ごはんに引かれたコユキは、

「わかったわ」

とだけ言って善悪と別れ、母屋の玄関に入っていった。

 その右手に『雪○宿』大袋をしっかと握り、トボトボと歩く大きな肉の塊の後姿を見つめながら、善悪は、

「ふうっ」

と真剣な表情で、少しだけ息を吐いた。

 そして、先程まで話していた、漫画とかの適当な知識ではなく、おじいちゃんから聞いた事があった、聖女と悪魔、そして聖戦士について、寺の中をひっくり返してでも、調べ直さねばなるまい! そう覚悟を決めるのであった。

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拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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