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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム)
532.世界滅亡

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「さてと、まず最初に確認しておきたいのでござるが、一連の暗躍は世界を滅び、はっきり言えば地球上の魔力過多による石化、全生命が活動不可になる事態を回避する為に止むを得ず取った手段なのでござるか? どうなのでござる?」

 フェイトは頷いて答える。

「そ、その通りです、地球中のありとあらゆる命の危機、それをただ手をこまねいて見てはいられない、そう思っての行動に他なりません」

 ガネーシャがこの言葉を聞いて冷静な声で問う。

「ふむ、では貴方達が何もしない、その地球の危機を放置した場合どうなるんですか? 生物が全滅するんですよね? 具体的にはいつ頃なんですか? 我々としては人間の石化や様々な生物の生態変化位は把握していますが、後は不確かな情報なのですけど、今から二十数年先に火星の衛星デイモスが地球を黄金色の死の世界へ変えるとサタンが言ったとか何とか? その事が滅びなんでしょうか、どうです?」

 スカンダが弟の言葉を補完する様に続けた。

「それに貴方達が事態に介入した場合はどうなるんです? 滅びを回避できるんですか? それとも滅びまでの時間を稼げるとかですか、どうなんです?」

 フェイトはややオドオドしながら答えた。

「我々が介入しない、というより何も知らず何一つ手を出さなかった最初の歴史では滅びが顕著になったのは今年、令和四年の春、つまり現在から始まりました…… 石化による突然死は人間を始め動物達から始まり、各種産業に従事する者が罹患した事で次々と災害が巻き起こり始めます、最初は交通事故から始まり列車の事故、航空機の墜落、ガスや石油のメンテナンス不足による流出、そして大規模火災…… 世界中の原子力発電所は制御不能となり更なる生命、魔力の元である放射能は地上を覆い尽くします…… 程なく核兵器の制御自体が不可能と知った人類はマリアナ海溝に投棄を決定しますがこれが深刻な海洋汚染を引き起こし海が死にます…… 金色の生命が存在しない海が静かに陸上への浸食を開始すると、植物や微生物、細菌に至るまで金と化し、僻地に逃げ込む事で難を逃れようとした者たちも金属イオンと顕現した石化能力を持つ魔物たちによって駆逐されました…… 地球全体が死に、我々レグバとメット・カフー、それに永遠に観察する者カーリー…… 六柱の神だけが残ったのです……ここまで二年と掛かりませんでした…… デイモスという星については初耳ですが、二十数年後でしたらもう生命は残っていない筈ですから単なる流言の類では無いかと……」

「お袋か…… 確かに世界が滅んでも存在できそうだがな…… しかし、わずか二年後とはな……」

「なるほど、それで二つ目の質問に対する答えはどうなんですか? 滅びは回避できるのでしょうか?」

 ガネーシャの呟きも気にせず答えを促すスカンダである。

「正直、わかりません…… ただ我々六柱の願いは地球の全生命を生かし続ける事、これだけなのです、悪魔と呼ばれる多くの神々、貴方達の力を借りて魔力を飽和させない様に手を打ち続けて来た、これ以上でも以下でも有りません」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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