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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
330.商談

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 何だろう? 言い回しの癖に過ぎないのかもしれない……
 してや出会って二日と初対面の会話、何百年も関わって来たであろうライコーや四天王と正一神様の間に門外漢もんがいかんたる自分が入り込む余地なんか無い事位、勉強だけは出来るコユキは判り切っていた筈である…… しかし、何かに突き動かされるようにコユキは言葉にしたのであった。

「ねえ? アンタ随分偉そうに言うのね? まるで人間なんかには何の価値も無いみたいに…… 些かいささかムカついたわっ! ライコー様達がアンタの下僕だとしてもね、今の所有者はアタシだからね! アンタとは物々交換してやんない気分だわ、もうプンプンコユキ激オコなんだからねっ!」

『『『『コユキ』』』おばさん』

『よし、いいぞ! よく言ってくれたなコユキ、流石はこの俺の子孫、ついでに殴ってやっても良いぞ! 張り手だ張り手! がはは』

 なるほど、コユキと善悪共通の先祖だって言う話も頷ける、それぞれに似た所もあるようであった、主に欠点の部分だが……
 そんな私、観察者の客観的な評価とは違い、正一、神様らしいやつは研究熱心な感じでライコーを問い詰めたのであった。

「ほおぉ、こいつは面白いな? アリシアやラーシュも取り込んだんだろう? ほら? あの聖戦士、何だっけか? んん…… そうだ! 昼夜だっけか? そいつでも構成されてるんだろう? 君達って……
んなのに、なのに、何でこの聖女コユキにだけそんなに一所懸命な訳ぇ? 興味を惹かれてしまうね、正一インタレスティングっ! だよぉぅ?」

ライコーが困ったように返すのである。

『ちゅ、昼夜? 誰です? それって…… それにアリシア? とラーシュ、ですか? えっと…… ここ最近二百年位の間に訪ねて来てくれたのは、ここなるコユキ一人だけですが? 何ですかね?』

正一(寝たまま)がビックリ仰天の声をあげる。

「へっ? 誰も来なかっただってぇ? んじゃ君達みんな、あっと、その…… この聖女コユキの聖魔力だけで、聖遺物化出来たってことぉ? 嘘でしょ! もしそうなら何でこの子コユキ生きてるのさぁ!」

『そんな事は我々は知らぬ…… 只彼女によって我々は自我を保ったままで解き放たれ、いまここでこうして貴方と話している…… それが事実だと言う事だ!』

 卜部うらべだろう強い口調で言ったが、考えてみれば事実を事実のまま語ったに過ぎない、ちょっと前にカイムが碓井貞光に語って聞かせたことだったな、うん、そうか! 覚えたんだろう! 成長を感じる!

 事実は一つだったか…… 割と良い言葉だったのかもしれないなぁ、言った本人カイムはパリパリと自分のゴールドボディを覆ったすすっぽい黒々している皮膜を、JKみたいに剥いちゃう事に夢中であったが…… くうぅぅ! 残念至極!

 残念が至極に達していた私、観察者と違い、神たる正一の興味は別の事に向けられていたのであった。

「はぁー! そうなんだぁっ! アリシアもラーシュも取り込まないで、ましてや聖の属性に特化している昼夜君も無しで君達ってアーティファクト化したんだねぇ!!!! 正直ビックリだよ! ねぇ、君が本気出した結果って事なのかな? 真なる聖女コユキ、いいやハッキリ言おうか! 人の守護者、薄汚い堕天の果て、穢れけがれの王、『ルキフェル』よ…… それに前の回でこの子達を聖遺物化させた彼らは? 君が隠しているのかい? その辺も教えておくれよぉ? ね! 真なる聖女さぁん♪」

コユキは憮然とした表情で、しかし、堂々と答えるのであった。

「んなの知らないわよっ! アンタの想像? まあ、何度か経験した事と違うからって、アタシがなんかしたのぉ? それって下衆ゲスの勘ぐりじゃん! ライコー様達だって判んなかったって言ってんじゃん! はあぁ、馬鹿の相手って疲れるわねぇ? 誰かが企んだとかって思ってる辺り、アンタも自分が何者かみたいに思ってる馬鹿の類なんじゃないのぉ? 一々遠回りされてコユキイライラ、爆発寸前なんだけどぉっ! おいっ! 話を先に進めてくんないかなぁ!? 殺すわよ(ハニー風味)」

コユキの言葉を真面目な顔で聞いていた正一がこのイライラコユキに答えるのであった。

「なるほどな、前回までとは流れも登場人物も違ってるって事だな、爺共ジジイども漸くようやく本気になりやがったって事だろうな…… んじゃコユキ商談を始めようか! 今回俺がお前のために準備した商品は、秀逸で二つと無い天下の逸品、『無限饅頭むげんまんじゅう』のゴザだっ! どうだ? 欲しかろう?」

 何かいきなり商談とか言われても急にそんなモードに切り替えられるわけないじゃん!
 故にコユキは答えたのである。

「あのねぇ! いまアタシってばアンタの事怒っていた最中だったじゃないの! んな相手と物々交換とか、商取引とか出来る訳無いでしょ? アンタって本当の馬鹿なのん?」

卜部うらべが言った。

『コユキ様、こいつ、本当の馬鹿ですよ!』

 うん、まあそうだろうね。
 だが、しかし、本当の馬鹿のはずの神様、正一は一言でコユキの興味を引く事に成功してしまうのであった。

「そうかぁ~、残念だなぁ~…… これを交換したらもう二度と飢えること、いいや、満腹じゃない時間を過ごすことも無かったのになぁ~……」

 コユキは聞き逃さなかった、だけでなく、良い反応を見せるのであった。

「なんだってぇ! つ、常に満腹ぅ? ううん、馬鹿言ってんじゃないわよ! そんなチートなアイテムある訳無いじゃないの! 騙されないんだからねっ!」

公時きんときが応援した。

『そ、そうだぞ子孫コユキよ、人生とは常に空腹との闘いだ! 騙されてはならんぞ! アイツ嘘平気で吐くからな! ビーケアフルじゃぞぉ!』

コユキも理解済みであるようだ。

「分かってるわよご先祖さま! お腹イッパイなんて…… 生まれてこの方経験なしっ! んな嘘には騙されないわよ! 安心してっ!」

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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