【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
48. 令嬢、伸び悩む ⑤
エマは涙を堪えながら気丈な表情で答える。
これは十日前、いなくなるとか、ごめんねだとか、立ち去る宣言をストラスが発した時から、エマ達が打ち合わせに打ち合わせを重ねて来た結果の賜物であったのだ。
エマがここ十日ほどのフサギ虫と同一人物と思えない程、胸を反り返して答えたのである。
「そうなのですね、ではステハム、ここまでの貴方の協力に感謝を…… 加えて、これより先の貴方の歩む道に精霊の加護があらんことを…… それだけが私達四人の願いですわ! 先程貴方が薦めて下さいました新しい冒険者の募集の件も無碍には致しません事でしてよ、確りとギルドに募集依頼を出しますっ! 貴方との約束ですものね! グスッ! 大丈夫! 心配は無用ですのよ!
私たちは大丈夫でしてよっ! ねえ、皆っ! 」
「はい、これまでありがとうございました! ストラス様! エマ様の事は我らにお任せくださいませ! 」
と、イーサン。
「ストラス様! 貴方の未来に祝福の祈りを捧げますわ、どうぞ健やかに過ごされますように! 」
マリアは祈りを捧げていた。
「ストラス殿、お嬢様の事は私が命を掛けてお守り致します…… ストラス殿も、どうか健やかに! 」
デビットはいつも通り真面目であった。
最後にエマが言った。
「ほら、御覧なさいステハム! 私たちはノーダメージでしてよ! 貴方の協力には感謝いたしますが、ここから未来に向かって邁進していく私達にとって、貴方との別れなんて、ほ、ほんの些事でしてよ! 心配して頂く必要は無いのですわっ! ……これからの貴方の幸せを、ぐっ、ぐっ、願いますわっ! 心からっ! グムッ! 」
エマの心の中では今日までの三か月半の記憶が次々と思い出されていたのであった。
具体的には、自分たちのピンチには必ずどこからともなく駆けつけて助けてくれたストラスの頼もしい背中が一番多かった。
それ以外だと、林の中で血抜きを待つ間、ふざけて撫で上げたストラスのスキンヘッドがジョリジョリしている事に驚いて手を引いた自分に向けられたストラスの言葉。
『剃ってんだよ! 生えてくる頃合いだろ? 』
とか、二人で大きな岩に腰掛けて、集落の皆がこしらえてくれた臓物の煮込みを食べてみた日の、
『おぅえぇ、く、臭いのですわぁ! おうおうおうおぅぅぇぇぇ! 死んでしまいますのぉぉ、おうぅぇ! 』
『エマ! 大丈夫か? 馬鹿だな! 本当に食べる奴がいるかぁ~! ほら、吐いちゃえよぉ~! 次は飲み込まないで上手くやれよ……(ボソッ)』
『わ、分かりましたわ(ボソッ)』
的なやり取りが走馬灯の様に二人の間で再生され続けて居たのであった。
エマがグスグスなり掛けながらストラスに聞くのであった。
「そ、それで明後日の出発は何時でしての? 」
こちらもグスグスなりながら答えるストラスであった。
「ああ、朝一番の鐘で出発するつもりだ、グスッ、な、なんだ? エマ…… 送ってくれるのかよ? 」
チョット俯いた後、エマは涙塗れの顔を笑顔で満たしながら大きな声で答えるのであった。
「勿論でしてよ! ステハムはこの町一番の嫌われ者ですもの! 私たちが見送らなければならないでしょう? 違いますの? 」
「ああ、そうか、そうだな! はははは」
「でしょう? うふふふ」
「グスッ! へへへ」
「グスッ! ふふ、ふ、ふ」
「「「……」」」
二日後の早朝、街を出て行こうとするストラスを見送る人々は、ノブレス・オブリージュの四人どころか、数百人が集まった、黒山の人だかりであった。
人々の先頭に進み出たレッドとホワイトが言う。
「『剛腕』のストラスさん、色々有り難うございました」
「役不足ですが、これからは俺達がこの町を守っていきますんで、お任せください! あと、エマさんも守りますので! 」
ストラスがニヤッとしながら答えた。
「お前らの弟子だろうが? ……頼むぞ」
「「はいっ! 」」
このやり取りに集まった人たちが薄く笑ったタイミングでエマ達ノブレス・オブリージュの四人が人混みを掻き分けて近づいて来るのであった。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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