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エッセイ『オノマトペ』

オノマトペ…ものの音や声などをまねた擬声語のことを言う。ざあざあ、チョキチョキなど


日本のオノマトペというものは、意味がわからないほど難しい。というか、意味がわからない。私の外国人の友達は皆、日本語を勉強する際に、このオノマトペというモンスターに苦しめられていると言っていた。しかし、我々日本人は当然のようにこのオノマトペを使いこなしている。うん。超人である。間違いない。私がオノマトペをモンスター級に難しいと思うきっかけとなったのは、『メソメソ』というオノマトペについて熟考した時である。漫画の吹き出しに『メソメソ』と書いてあって、それについて深く考えていたら眠れなくなった。泣く時に使う擬音語として、『シクシク』はまだ許せる。確かにすすり泣いている声をそのまま擬声語に直してみると、『シクシク』という音に近いものになるだろう。だが、『メソメソ』は許せない。絶対的に。自分の彼女が『メソメソー』という音を出しながら泣いていたら千年の恋も一瞬で冷める。まず第一、誰がこんなオノマトペを考えたのだろうか。そう思ったので調べてみることにした。

ほう、なるほど。メソメソというオノマトペは江戸時代にはすでに存在していたらしい。詳しい文献を見つけることはできなかったが、一説によると静かにすすり泣いている音が『メソメソ』と聞こえるのが由来らしい。ふーん、なるほどなるほど。とでもいうと思いましたか江戸時代さんよ。そんな泣き方する人間がいるわけないじゃない。そんな人間が江戸の城下町で泣いているわけないでしょうに。うーん、納得できない。どうしても腑に落ちなかったので、私は開き直って、江戸時代の人は本当に『メソメソ』という音を出して泣いていたと思い込むようにしている。変な人種だな、江戸っ子よ。

まあ、応募を促す時に使う『ドシドシ』も意味わからないんだけど。

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