詩)馬鹿になれた日
グランドから蜃気楼が立ち昇る
あまりの暑さに景色は揺れる
此方のことなどお構いなしに
頭の天辺を太陽はギラギラと照らす
メットの中は汗だくで
まるで泳いだ後のよう
口の中のマウスピースが気持ち悪い
暑さがわからなくなるほど
馬鹿になるしかなかった
何も考えるな
ぶつかれ、足をかけ
相手を押し込め
ひたすら目の前の相手を押し倒す
歓喜の瞬間を味わうため
栄光を勝ち取るため
一心不乱に足を動かす
乾いた土の匂い
埃の混じった汗
乾いた口の中は血の味がする
全てを投げ出してでも馬鹿になれた夏
あの熱さは2度と戻ってこない