ライナー・マリア・リルケ ドゥイノの悲歌、1.1-7

Duineser Elegien, die erste Elegie
Wer, wenn ich schriee, hörte mich denn aus der Engel
Ordnungen? und gesetzt selbst, es nähme
einer mich plötzlich ans Herz: ich verginge von seinem
stärkeren Dasein. Denn das Schöne ist nichts
als des Schrecklichen Anfang, den wir noch grade ertragen,
und wir bewundern es so, weil es gelassen verschmäht,
uns zu zerstören. Ein jeder Engel ist schrecklich.


ドゥイノの悲歌、第一悲歌
いったい誰が、たとえ私が叫んでも、並み居る天使の誰が聞くだろう?たとえ一人が突然、私を胸に抱き締めても、私はそのより強い存在により消え失せるだろう。なぜなら美は恐ろしいものの始めに他ならず、私達はまだ辛うじてそれに耐えているのだから。そして私達は美を讃える。なぜなら美は私達を破壊することなど平然と蔑むからだ。天使は皆、恐ろしい。


まず彼の代表作から、それぞれ一編ずつ紹介してしまいましょう。選択基準は基本的に僕の好みです。でもこのドゥイノ冒頭は有名です。
制作1912-1922年。それぞれ70から100行程度の詩行をもつ10の詩からなる作品で、リルケ晩年の代表作です。
リルケを研究し、翻訳した名誉教授の先生に、この作品の韻律について聞きました。箇条書きにします。
・リルケのドゥイノの悲歌は二行一組のDistichonではない
・だがよく読んでみるとPentameterやHexameterに近い詩行が混じっている
・特に第一、第二あたりの、1912年に書かれた部分にはP.やH.の詩行もわずかだがある
・最後に書かれた第十、第五にはそのような伝統形式の匂いはすっかり消えている
・リルケは最初は形式に配慮していたが、十年書いているうちに拘らなくなった
・次第に、歌う内容のそのつどの変化に合わせて表現形式を決めていくというモダニズムの方式を採用することになった

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