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警察官を名乗る振り込め詐欺の電話がかかってきた😱 ~その1~

みなさん、気を付けてください。最近、警察官を名乗る振り込め詐欺が横行しています。

先日、私の携帯にその詐欺の電話がかかってきました。危うく騙されそうになりましたが、話していくうちに違和感を感じ始めたため、難を逃れました。

今回は、そのときの電話対応記録をもとに小説風に書いてみました。なお、登場人物はすべて仮名、私の情報も架空のものになっています。


振り込め詐欺の電話対応記録

私の名前は原真一。55歳、営業職だ。この日は自宅でクライアントへの企画書を作成していた。夕方、私のスマホが鳴った。非通知だった。仕事上、スマホでお客とやり取りすることが多いため、非通知でも出ることがある。プライベートのみで使っているなら非通知の電話には出ないかもしれないが、お客の中には非通知でかけてくる方もいるため、今回は応答した。


第1通話 - 高山(警視庁の女性)

高山:「警視庁の高山です。実はあなたの銀行口座が犯罪に使用されています。あなたにも嫌疑がかかっています。今から簡単な身支度をして青森県警に来てください」

私:「えっ!?何ですか?」

私は驚いた。そして高山と名乗る女性の話を聞いた。

私:「今から青森は無理ですよ」

私は東京在住だ。さすがに今から青森に行くのは無理な話だ。

高山:「そうですか、本来なら青森県警に来てもらって20日間の拘留なんですね。でもそれが難しいなら、今からいろいろとお話しを聞かせていただきたいのですが、よろしいですか?」

私:「大丈夫です」

20日間の拘留という物騒な話に心が揺れたが、冷静を装って話を聞こうと思った。

高山:「今はお一人ですか?」

私:「はい」

高山:「これは漏えい防止、秘密保持のためです。絶対に第三者に話さないでください。今は秘密に捜査をしていますので、もし第三者に話しますとその相手にも事情聴取を行うことになりますので気をつけてください」

私:「わかりました。ところで、なぜ非通知なのですか?」

高山:「警察からの電話は末尾が0110ですが、それだと相手が出ないことが多いので、非通知でかけています」

私:「本当に警察の方ですよね」

高山:「はい、そうです」 

高山は、やや笑みを浮かべているような口調だった。私は、その時点では怪しいとは感じなかった。警察ということ、また、彼女の対応の良さから信用してしまった。

高山:「お話に入る前に、まず、本人確認のため、あなたの氏名、生年月日、住所を教えてください」

私は自分の氏名、生年月日、住所を伝えた。

高山:「それではお話に入ります。今までにキャッシュカード、お財布、身分証等の紛失はありませんでしたか?インターネットから情報の流出はないですか?」

私:「特にないです」

高山:「10年前のマネーロンダリング事件で、カドワキツヨシとその詐欺グループが逮捕されました。その時、銀行カードや通帳、携帯、パソコンなどが押収されました。その中にあなた名義の『PAYPAY銀行のカード』が見つかりました」

私:「え!?私名義のカードが?」

高山:「はい。原さんは『PAYPAY銀行のカード』を作ったことはありますか?」

私:「いや、ありません」

私の銀行口座が犯罪に使用されていると告げられ、次に詐欺グループからの押収品の中から私名義の銀行カードが見つかったと言われ、私はじわりじわりと追い詰められているような感覚に陥った。

高山:「あなたの銀行カードが見つかったのです。ですので、あなたは疑われています」

〈なぜ、作ってもいない私のカードが詐欺グループの手にあるのか?私の個人情報が漏れて、勝手に使用されて作られたのか?しかし、本人でなければ作ることはできないはずだ〉。そう思うと怖くなってきた。

高山:「それでは、事件担当とお話を進めてください。一旦この電話を切り、数分後に青森県警の担当から折り返し電話が来ます。青森県警には行けない理由を担当に話して、やり取りしてください。そのときに次のことを伝えてください」

高山は私にメモを取らせた。

その内容は、

事件名称:カドワキツヨシ・グループ 詐欺事件
事件番号:令和8 刑(ぬ)824 
青森に聞けない理由:この事件は今日初めて知りました。遠方なので足を運ぶのが難しいので、電話協力でお願いします。

というものだった。


第2通話 - 田中(青森県警の男性)

田中:「青森県警の田中です。先ほどの件で電話しました」

私は、高山から言われたこと(事件名称、事件番号、青森に行けない理由)を伝えた。

田中:「わかりました。では本人確認のため、氏名、生年月日、住所を教えてください」

私は自分の氏名、生年月日、住所を伝えた。

田中:「ありがとうございます。絶対に第三者に話さないでください。秘密裏に調査を進めています。PAYPAY銀行カードの件について、さらに詳しく話すために、ラインアプリを使ってビデオ通話を行います」

私は田中とライン操作をして青森県警と友達申請をした。「特別対策本部」というアカウントから電話がかかってきた。ラインのアイコンは青森県警のマスコットキャラクターだった。


第3通話 - 小島(特別対策室の男性)

小島:「青森県警、特別対策室の小島です。ビデオ通話で話します」

三園:「はい、わかりました」

小島:「身分証を見せますが、少しぼやけて見えにくいかもしれません。小島と申します」

三園:「はい、見えます」

小島の年齢は50歳くらいに見えた。髪型は横分けで、眼鏡をかけていて、真面目そうな印象を受けた。話し方も落ち着いていた。

小島:「本人確認のため、再度氏名、生年月日、住所を教えてください。また、職業、年収、家族構成、持ち家についても教えてください」

私は小島の指示に従ってすべてを答えた。

お互いの面通しが終わったところで、ラインビデオ通話は一旦終了し、すぐにライン電話がかかってきた。その電話には私の顔は映っているが、相手の顔は映っていなかった。

小島:「さきほどは、ありがとうございます。PAYPAY銀行カードについてですが、ネットで簡単に作れるカードで、カドワキツヨシの家宅捜索で見つかりました。現在あなたのPAYPAY口座には300万円が入っており、以前に500万円が入金されて他へ移動されています。この口座は現在凍結中です」

私:「そんな大金が入っているなんて…」

小島:「これはマネーロンダリング事件ですので、資金の流れを掴むのがとても重要です。あなたが持っている銀行口座の銀行名と残高をすべて教えてください」

私は、持っているすべての銀行口座名と残高を教えた。口座番号は聞かれなかった。

小島:「ありがとうございます。今あなたは被疑者ですので、疑わざるを得ないことをご理解ください」

小島は、私が犯罪に加担しているか否か以前の問題で、私の情報が詐欺グループからの押収品にあったことで、嫌疑をかけることから始めるしかないことを丁寧に説明した。

また、私は内心ドキドキはしていたものの、もちろん身は潔白なため、まさか逮捕とかはないだろうとも思い、やや軽い口調になった瞬間があった。小島はその口調に対して、すかさず言ってきた。

小島:「これはとても大きな犯罪なんです。真剣に受け止めてください」

私は、ハッと思った。と同時に、小島の真面目さを改めて感じた。

小島:「タチカワアツシの詳細です。男性で45歳、黒髪、短髪、175センチ、やせ型、銀行勤務。右の頬にホクロがあります。ややせっかちな歩き方です。タチカワアツシがリーダーでメンバーは100人以上います。この情報で何か心当たりはないですか?」

私は「ないです」と答えた。その後も小島の話は続く。タチカワの逮捕に至るまでの経過や、もし私が逮捕されたら「○○○万以下の罰金、〇年の懲役唐になる」等を話してきた。


つづく・・

今回はここまでです。

思い込みって危ないですね。相手が警察を名乗っていたことや、なるべく事件の解決に協力したいという気持ちも手伝って、信じてしまいました😅

次回はなんと検事が登場します。でも今思えば、警察署に検事がいるわけないですよね。それ以外でも思い出すと変なことだらけです(笑)。きっと警察のやり取りに詳しい人がこの記事を読んだら、詐欺師のやり方にツッコミどころ満載だと思うでしょうね(笑)。

最終的にこれは詐欺だと感じたので、私が電話の相手をするのをやめたら、向こうから電話を切りました。

その後、110番して詐欺の報告をしたのですが、最近はこの手の詐欺が多いとのことでした。ネットで検索したら、次の記事も見つかりました。

その2へつづく。


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