2024 欧州選手権 きょうだい愛とバックフリップとリトアニアの本気
年末の全日本フィギュアスケート選手権以来、男子フリー後半を反芻(はんすう)しています。地上波放送を主音声&副音声で再見したり、当時実況していた国内外のネット掲示板を読んでみたり、生配信してた人の動画を見たり。いい試合は何度味わっても素晴らしい!でも第3グループの吉岡選手から8人連続で再体験するので時間を食うのは難点です(苦笑)。おかげで年明けのインカレもごく一部を視聴しただけになってしまいました。
そうこうしている間に欧州フィギュアスケート選手権(以降「ユーロ」と略)はあるわカナダナショナルはあるわで余韻に浸ってばかりもいられず。今季後半の大会を楽しむためにもまずはユーロで印象に残ったことを記録しておこうと思います。
ユーロは主にJSports4の放送を録画にて鑑賞しました。カップル競技とエキシビションはISU公式配信を海外VPN経由視聴です。
ユーロ@カウナス(2024/1/10-14)
今年は欧州選手権(ユーロ)も四大陸選手権(4CC)も例年より少し早い開催となりました。
ロシア選手が参加しなくなってから高得点が少ないとかやいのやいのいう向きもありますが、高得点選手が少なかったからといって試合がつまらなくなるわけでは決してありません。ユーロには個性強い選手がちょくちょく登場してくるので、また別の楽しみがあるんですよね。ユーロは世界選手権やオリンピックよりも長い歴史のある、欧州選手にとっては非常に重要な大会だから、スケーター達も物凄く気合入ってますしね。
衝撃 トップスケーター達のSP落ち
しかし今年のユーロのシングル競技SPはなかなか衝撃的でした。
男女ともに「世界選手権トップクラスの選手が最終グループ滑走でSP落ち」が相次ぐなんて。
フランスのケヴィン・エイモズ選手については、先月の北京グランプリファイナルのフリーで乱調⇒帰国後間もなく開催されたフランス選手権でもフリーで乱調…と乱調続きだったので、怪我なのかメンタル不調なのかと心配していました。
ナショナルの成績はさんざんでしたが、シーズン前半のGPS大会でハイスコアを出していたこともあってフランスのスケート連盟はユーロ&世界選手権両方の代表に彼を選出、ユーロにやって来ました。不安は大きかったのですが…心配していたのはフリーの方でSPじゃなかったんですよね。過去の2大会ともSPはどでかいミスは無しでまとめて高得点出してましたから。
しかし今回のエイモズ選手はファーストジャンプがシングルに抜け(4回転跳ぶつもりだったのかどうかもよくわからず)そのあとも心ここにあらずと言った感じ。最後のステップでようやく何とか見せ場を作った感じでした。
6分間練習の時からずっと表情が硬かったから、うまくはいかないだろうという予感はありました。でもフリーで大崩れしてしまう事態については身構えていたけど、SPからこうなってしまうとは…観客側も受け身を取り切れずに衝撃が大きかったです。JSportsの実況解説陣が随分長く動揺を引きずっていましたが、「わかる…わかるよ!」って思いました。
エイモズ選手が先日インスタグラムに載せたコメント(下記)を見る限りでは体調だけではなくメンタルの部分も大きかったこと、今後しばらく休養するように読めます。
フリーの「ボレロ」が素晴らしいプログラムなだけに、完成形を3月のモントリオールワールドで観たかったのですが、彼が今追い詰められているように感じているのなら焦らずゆっくりしてほしい。戻ってくると伝えてくれているので、ファンとしてもその日を焦らず待ちたいと思います。
男子シングルではエイモズ選手の他にセレフコ兄弟の弟、ミハイル・セレフコ選手もまさかのSP落ちでした。
(去年のユーロ8位でエストニアの枠を2に増やした立役者なのに!)
翌日女子シングルでもエカテリーナ・クラコワ選手(去年のユーロ4位)がまさかのSP落ち。トリプルフリップでロングエッジ判定⇒3-3コンビネーションのファーストがダブルに抜けた後に3回転トゥループをつけようとして転倒。ここにステップスピンでのレベルの取りこぼしが重なり、タイムオーバー減点がとどめとなりました。(タイムオーバーの1点減点が無ければギリギリフリー進出できていた)
後半グループ、それも最終グループの選手がフリー進めないなんてことはそうそう起きないので男女SPはどちらも衝撃的な幕開けでした。クラコワ選手はワールドには出場すると思うので、実力を発揮できることを祈ります。
アダムのバックフリップ
男子シングルはフランスのアダム・シャオ・イム・ファ選手が連覇を果たしましたが、SPフリーともに調子は今一つ。それでも大崩れせず270点台でまとめるところに今季の成長を感じました。フリー終盤のバックフリップはちょっと余計でしたけどね。
彼の行動には賛否両論別れているようですが、私は中間ぐらいの立場ですかね。「最終滑走の時ならどうぞお好きに」ですが、「後に演技を控えているスケーターがいる時や周囲にキッズスケーターがいる時にやるのはちょっとどうか派」です。
「バックフリップ解禁運動」を進めたいという強い意志があればまだしも、いくつかのインタビューを見聞きする限りでは基本「優勝に影響がなさそうな時限定のファンサービス」のようですからね。ショーのバックフリップは大好物なんですが。
私が厳しく見てしまうのは、同じフランスのフィギュアスケート選手だったスルヤ・ボナリーさんの「抗議のバックフリップ」に全く賛同できなかった経験の影響かもしれません。
彼女が私たち一般人のあずかり知らぬところで数々の人種差別的な言動を受けていたであろうことは想像に難くないし、それに対して声を上げて闘うことは応援したいとは思うけれど、「自分のスケーティングの粗さを棚に上げすぎるにも程があるだろう…」とも考えていたので納得できなかったです。彼女の演技には個性があふれていて魅力があったし、今も滑っている姿を見せてくれると嬉しくなるスケーターさんではありますけどね。
アダム選手の次の試合はワールドかと思うので、今季の試合でのバックフリップはこれが打ち止めでしょうか。シーズン前半安定していたジャンプの着氷がまた以前のように荒く不安定に戻ってきているのがちょっと気になりますが、ずっとトップギアで走行し続けていたらそれはそれで不安なので、ワールド前にいったんこれぐらいスピードダウンして再度ピークを作るぐらいがちょうどいいのかもしれません。何シーズンも前から応援しているスケーターなので、ワールドでの頂上争いが楽しみです。
セレフコ兄弟・お兄ちゃんの大躍進
今年のユーロで一番印象に残ったのはエストニアのセレフコ兄弟です!!!
11月末にあげたNHK杯の鑑賞記(2023 GPS NHK杯 驚愕の演技と採点)終盤の項目「やっと見分けがつくようになったセレフコ兄弟」で、「1か月後も見分けられるかどうかは自信がないし衣装変えられたらアウトな気はする」と書いていましたが…自信をもって見分けられるようになりましたよ!
やはり二人一緒の試合を連続で見られると違いますね!
今ならお兄ちゃんが普段着で街を歩いても「あれはアレクサンドル・セレフコ選手じゃないか」と気づける自信ができました!
まぁ下の写真のように兄弟でよく似た練習着に身を包んで公式練習で同時に滑られたら見分けるのにちょっと時間を要するかもしれませんが(苦笑)。
NHK杯の時もお兄ちゃんのフリー演技はなかなか良かったのですが、今回のSP&フリーはジャンプの着氷がことごとく安定していました。4回転はトゥループのみ1本でしたがステップスピン繋ぎ、いずれもポージングが決まっていてコリオシークエンスが魅せる魅せる!こんな上手いスケーターだったっけ?と驚きました。以前は試合で4回転ルッツも跳んでいた選手ですがトゥループ1本にすることでようやく安定した感じなんですかね?
これまでずっと大きな大会の出場枠「1つ」を兄弟で争ってきたセレフコ兄弟。昨季は弟がユーロに出場して8位入賞、エストニア出場枠を2に増やしました。
兄弟揃って出場するユーロは今回が初めて。昨季はユーロも世界選手権も出場できなかったお兄ちゃんは世界ランキングも低くて前半グループでの登場でしたが、クリーンなSPで自己ベストの90点台超え。一方後半で登場した弟くんはジャンプミスが連続して出てしまいまさかのSP落ち。スタンド席から弟を応援していたお兄ちゃんが泣きそうな顔になっているのを見るのは切なかったです。
ここでお兄ちゃんがフリーで頑張らないと来年再び兄弟揃ってユーロに来られないですからね!2枠確保を願っていたらなんと銀メダルという素晴らしい結果。本当に良かった。今季のエストニア選手権の優勝者は弟のミハイル選手なんですが、1枠のみの世界選手権にはさすがに兄のアレクサンドル選手が行くのかな?エストニアの代表選考基準ってどうなってるんでしょうね。
お兄ちゃんが3月のワールドで今回みたいな演技ができたら来年の世界選手権のエストニア枠を2にできるかも!?何なら私はミラノ五輪で兄弟そろってるところを観たいぞ!
リッツオ選手 手術前に見せた粘り
イタリアのベテランスケーター、マッテオ・リッツオ選手。今季ワールドでの活躍を期待していたのですが、股関節の手術が必要となり、今季の試合はユーロで最後とのこと。ミラノ五輪を見据えると来季後半にはトップレベルに戻せるようにしたい、となると今季のワールドは諦めて少しでも早く手術を受けるべきだとの判断だそうで。
そのため彼にしてはかなり構成を落として臨んだ今回の試合。SPではジャンプミスが出て6位でしたが、フリーは美しかった。決まったらめちゃくちゃかっこいいフリー後半のツイズルで挟んだトリプルアクセルで転倒してしまったのが唯一の目立つミス。表彰台にふさわしい演技だったと思います。
最終滑走のスイスのルーカス・ブリッチギー選手には抜かれてしまうだろうなぁと思ったんですけど、今季ずっと安定していた彼がまさかの乱調で。メダルがかかったユーロの最終滑走ってやっぱプレッシャー大きいんでしょうかね。ワールド前の厄落としということで、ワールドでは実力を発揮してもらいたいところです。
リッツオ選手は手術前に表彰台に登ることで「リッツオここにあり」と示せたのは今後のイタリア代表争いを考えるとよかったと思います。まだイタリアのワールド代表は確定していないはずですが、おそらく代表になるであろうニコライ・メモラ選手とガブリエレ・フランジパーニ選手は頑張ってモントリオールワールドでイタリア2枠キープ、あわよくば3枠確保を目指したいですね。
ルナ・ヘンドリックスのようやくの戴冠
ロシア女子が無双していた時代に互角に近いレベルで戦い、ユーロ4位に入っていたルナ・ヘンドリックス。ロシア選手が参加できなくなってからはユーロでは無双するだろうと思われていたのに昨年のユーロでは乱れてまさかの銀メダルでした。
今季は初戦以降怪我で不調が続いているようでグランプリファイナルもかなりきつそうでしたが、その頃よりは調子を上げていました。でもまだ本調子じゃ無い感じ?しかしながら、本人には「若手も伸びてきているしロシア女子が戻ってくるかもしれないし、ここでユーロ金を取っておかないと」という思いが強かったように見えました。
調子悪いながらもそこそこまとめてくるあたりはベテランの強みですかね。上位陣がクリーンにまとめてきたので微妙な点差でひしめき合う展開となりましたが、ルナヘンには一度はユーロ女王になってもらいたいと願っていたので、一ファンとしては一安心。優勝確定後の涙に彼女が感じていたプレッシャーの重さを見た気がしました。
ワールドの時は本調子のルナヘンに会いたいです。
リトアニアの星・アリソン&サウリウス組
日本で長くアイスダンスカップルとして活躍したキャシー・リード&クリス・リード姉弟の末っ娘のアリソン・リードがついにチャンピオンシップのメダルを獲得しました!それもパートナーのサウリウス・アンブルレヴィチウスの母国であるリトアニア開催のユーロで!
(もう何年もアリソンのパートナーの名前を見続けているけど未だに「サウリウス」の「サウ」までしか覚えられませぬ。彼の姓はコピペ必須…というかスラスラ読むことすらできんw)
実況聞く限りではサウリウス選手はこの大会の開催都市・カウナスで生まれ育ったのだとか。そこでこれだけの演技をしてメダルを取るなんてなんともドラマチック!しかもフリーダンスの日は1990年のリトアニアの独立にとってとても重要な記念日だったとか。
アリソン・リード選手自身はアメリカ合衆国で生まれ、アイスダンスを始めてからはジョージア代表⇒イスラエル代表と国を渡り歩いてきました。リトアニア代表として活動を始めたのは2017‐18シーズンから。それまではずっと世界選手権で20~30位台にいる印象だったのに、今のパートナーとの相性がよかったのか、サウリウス選手と組んでからワールドの成績が20位⇒17位⇒15位⇒10位⇒7位と年々ランクアップ。そして今季はグランプリシリーズで銅メダル2回!
29歳+31歳のベテランカップルはまだまだ伸びていく印象で、会場のリトアニア人観客の最大の注目はこの二人がメダルが取れるかどうか。会場は3階席のてっぺんまで満員で、凄まじい熱気。また二人が出てくる前のカップルが連続でいい演技だったので何ともすごい空気。その中でこれだけの演技でしたからね、そりゃ最上階の観客まで総立ちですわ。
あれだけ会場中の熱烈な声援を受けて演技をするのはさぞプレッシャーもあったのではと思うのですが、危なげなく要素を決めていき、パーソナルベストを更新、残り二組を残して1位となりメダルが確定しました。演技を終えた後、そして得点が発表された後の会場中の熱気が本当に凄かった。
私はアイスダンスは大きな大会の時にチェックするぐらいですが、それでも彼女のことは日本ゆかりの人物としてジョージア代表で出ていた頃から覚えています。あの彼女がパートナー&拠点を変えながら少しずつレベルアップしてようやくこの高みにたどり着いたというのは感慨深いです。若くして心臓病で亡くなってしまった兄のクリス・リードさんが映った姉&兄の写真を握りしめてキス&クライに座る姿にはグッとくるものがありました。
今年のモントリオールワールドでこのカップルがどこまで順位を上げられるのか、注目したいです。そして北京五輪の時には認められなかった彼女のリトアニア国籍取得がミラノ五輪前に認められるかどうかも。
唯一の後悔はユーロのRDを視聴できなかったこと。今回著作権の都合でISUの公式配信はライブ限定だったみたいで…。ゆっくりアーカイブで観ようと思っていたらRD全然観れなくてガックリでした。
ユーロ×80年代音楽ならさぞ個性炸裂したプロが一杯見られるだろうと思ってたのに~80年代音楽をテーマになんかするからこういうことになるんじゃー!!こんなことになるなら今後はクラシック限定にしてくれ!って思いました。(でも来季のテーマも著作権めんどくさそうなんですよね…)
2月13日にJSportsで放送はありますが、RD+FDで合計3時間なので全部は観られそうもないですね。残念。
リトアニアの本気
そもそも今年のユーロはハンガリー開催の予定でした。しかしそのハンガリーが開催返上を決め、急遽立候補地を募った結果、開催地になったのがリトアニアでした。
リトアニアは小さな国ですが旧ソビエト連邦ということもあってフィギュアスケートが比較的盛んなようです。グランプリシリーズでメダルを取った選手も過去にいますし、今季のワールドの出場枠は全カテゴリにあります。(アイスダンスは昨年のアリソン・サウリウス組の活躍もあり2組!)
だからフィギュアスケート人気も高いのか、週末は立派な会場が天井席までぎっしり満員!さすがに平日のシングル競技は観客少なめでしたけどね。カテゴリ別のチケット販売だったところ、別カテゴリにも入場できるようにするなど柔軟な対応もしていたようですが、それにしてもあれだけの会場を埋めつくせるだけ人が集まったのは素直に凄いと思います。
だって人口280万人の国ですよ?広島県の人口とほぼ同じ。そこでこれだけの規模の会場が埋め尽くされるなんて。周辺諸国から来た観客も多数いたとは思いますが(海外掲示板でリトアニアまで飛んだスケオタを何名も見かけました)それにしても壮観な光景でした。
エキシビションの演出も気合入りまくり。オーケストラ入れて生演奏。それもオープニングやエンディングにちょろっとじゃなくてがっつり何曲も演奏しちゃう。(演奏者を映すぶんスケーター演技映像がちょっと削られたのがアレでしたがw)
エンディングの炎を使った演出はどえらい迫力でした。
炎パフォーマンス見せるため場内照明がかなり落とされててスケーター達はシルエットしか見えてなかったけど(苦笑)、こんだけ見せてくれりゃあ満足なんじゃないでしょうか。コアなファンの方たちはリフト姿のシルエットを見ればどのカップル・ペアかわかったそうですが、ライトファンの私には見分け不可能でしたw
(おまけ1)バルト三国 豆知識
「リトアニアの本気」に背中を押されてしまった私。リトアニアはバルト三国の一つ、というぐらいしか認識がなかったので、バルト三国を構成するリトアニア・エストニア・ラトビアの基本情報を調べてみました。
今年の開催地だったカウナスは、第一次大戦中、迫害されるユダヤ人に「命のビザ」発給を続けた杉原千畝氏が駐在していた街だったそうです。杉原氏が「シンドラーのリスト」と並び称される「命のビザ」を発給したのは1940年、リトアニアがソビエト連邦に併合された年。日本領事館閉鎖命令が出ていた中、閉鎖までの1か月でリトアニアを通って米国などへ脱出を試みるユダヤ人のためのビザ発給をしていたのですね。
それから50年、独立運動が高まって1990年1月13日には独立運動鎮静化のため侵攻してきたソビエト連邦軍との間に衝突が起きました。多数の市民が犠牲になったことから「血の日曜日事件」と呼ばれているそうです。これをきっかけに独立を勝ち取ったリトアニアの人たちにとって、事件のあった1月13日は、リトアニアにとって「自由」の象徴の日。その日にリトアニアのカップルがメダルを取るというのはこれまた劇的なことでした。
前日の男子シングルではウクライナのイヴァン・シュムラトコ選手が反戦メッセージを込めたフリープログラムを披露していましたが、ソビエト連邦から独立したリトアニアの人には、私とはまた異なる響き方をしていたのだろうなと思いましたね。
同じバルト三国であるエストニアはこれまでにも何度かフィギュアスケートの大会を開催していますが(エストニアは開催地変更を余儀なくされた2022年四大陸選手権の会場まで急遽引き受けてくれましたしね!)、リトアニアの大会は私の知る限り初めて。こんなに大勢の人が集まってこれだけ演出&運営を頑張ってくれるのであれば、今後も是非リトアニアやラトビアでも開いてほしいなと思いました。
ちなみにセレフコ兄弟のエストニアの人口は133万人、デニス・ヴァシリエフス選手のラトビアの人口は188万人。前述のとおりリトアニアは280万人ですから三か国全部足した人口は601万人。
千葉県の人口628万人より少ない!!!
…それを思うと日本の世界選手権枠もせめて東日本西日本に分けて3枠×2で6枠もらえないだろうか?とつい思ってしまいました(苦笑)。
(おまけ2)ラトデニ君 恩師との再会
(アップしてから「バルト三国の話までしておいてラトデニ君ことラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手の演技について全然書いてなかったやん!」と気づいたので、この項目を翌日に追記しました)
バルト三国は北から順にエストニア、ラトビア、リトアニアと並んでいます。つまりラトビアとリトアニアは隣国。宗教や文化は異なりますが、物理的な距離は近く、島国の私達が抱く「隣国」のイメージよりもはるかに近い「お隣さん」の国なのかもしれません。
JSportsのCS放送で、15年前に彼の最初にスケートを教えてくれたコーチが会場に来てくれて久々に再会したんだそうです。(この情報を録画で聞き直して確認してから彼のエピソードを書こうと思っていたらついそのままになってしまったーと言い訳しておきます(汗))
下記のGoldenSkateによる彼のSP後インタビューの紹介ポストで、恩師との再会について触れていました。
最後は涙目だったのですね。幼いころにこのカウナスのリンクで滑ったことがあるとは、近隣の国々で合同開催するノービスの試合でもあったんでしょうか。幼少の頃から注目ちびっ子スケーターとしてショーにも出ていたからアイスショーだったのかもしれませんが、いつどんな機会で滑ったのかまだは書かれていませんでした。彼の熱心なファンの方ならご存じかもしれませんが。
それだけ彼にとって思い入れが深い今大会、活躍したいと願う気持ちは人一倍強かったでしょうけれど、残念ながら4回転ジャンプをSPフリーとも決めきれませんでした。現地入って間もない頃の公式練習リポートでは4回転サルコウをコンビネーションも含め結構決めていたようだったので「ひょっとして再びユーロメダルあるかも?」と期待したんですけどね。
4回転ジャンプ以外の要素はすこぶる良いだけに、「もうジェイソン・ブラウンのように4回転なしでまとめた方がよっぽど高得点出るんじゃないか」とあれこれ言う向きもあります。正直なところ私もそう思ったことはあります。
しかしフリーで4回転サルコウ2本に挑み、決めきれなくてもあれだけ清々しい表情で演技を終える彼を見ると、挑み続ける限りはその姿勢を応援したいなと思いました。一度ユーロのメダルを獲れたからこそチャレンジし続けられるのかなとも思いますし、24歳とフィギュアスケート界ではベテランの年齢に近づいてきましたがまだまだ進化し続けられると彼が信じているのなら信じようと思います。
(おまけ3)旧ユーロチャンプ大集合
最後のおまけ。
ユーロのかつての名物選手たちがコーチとして大集合♪
左からフローラン・アモディオさん、トマシュ・ベルネルさん、ハビエル・フェルナンデスさん。皆若いころ派手な衣装を着こなしてた人たちだけあってリトアニア運営スタッフの気合の入った花セット背景が似合う似合うw
フランスのリュック・エコノミド選手のキス&クライは向かって左にアモーディオ、右にフェルナンデスという豪華体制でした。会場にはコーチとしてチェコのミハル・ブレジナさんやステファン・ランビエールさんもいたので5人そろった姿も見てみたかったですね(笑)。