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どこにでも隠れている「パターナリズム」

人間関係の中で、他者の問題に対して決定権を行使してしまいそうになる時が、誰にだってあるのだと思っています。

例えば、パートナーとの関係性に懐疑的になっている友人にアドバイスと称して「そんなにつらいなら別れたら?」と言ったことありませんか?

会社の新人教育で、「このケースでは、○○を使えばいい」と限定的・断定的なアドバイスをしたことはありませんか?

パターナリズム
パターナリズムとは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいう。親が子供のためによかれと思ってすることから来ている。
(出典:Wikipedia)

日本では「父権主義」と訳される用語で、医療や福祉の分野で用いられることが多いそうです。

上記の例でも、悩んでいる友人(弱い立場)と相談を受けるあなた(強い立場)、新人の後輩(弱い立場)と先輩であるあなた(強い立場)と捉えることが出来るでしょう。

この概念のキーワードは「よかれと思ってする」ことが、本当に相手にとって「良いこと」なのかどうか?という部分です。

ということで、今回は「パターナリズム」について書いてみようと思います。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

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私は、今あなたが読んでくださっているように、noteで記事を投稿しています。

その際に気をつけていることは、「こうあるべき‼」を押し付けないように留意しています。

私自身は天の邪鬼なので、「こうあるべき‼」と言われたら、それ以外の選択をしてしまうような人間なのですが、おそらくマイノリティだと思っています。

「共感文化」と称されるように、現代は「いいね!」と多くの共感を集めた考えが定説となり、主流となり、「こうあるべき‼」という暗黙知を生み出していると私は感じています。

自説に対し多くのエビデンスを提示し、相手に納得感を持たせ「いいね!」と共感してもらう。

…このこと自体は、何ら問題はありません。

なぜなら、「よかれと思ってする」行為だからです。

Twitterなどで、まるで自分の気持ちを代弁してくれたようなツイートに対して、心が救われることだって、現代では普通にあることです。

しかし、「パターナリズム」は思考を麻痺させたり、本来持ち合わせていたその人らしさを損ねてしまうリスクが隠れている概念でもあるのです。

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私は障害者福祉の現場にいますから、この「パターナリズム」の登場人物は「障害者(弱い立場)」と「支援者(強い立場)」になることが多いです。

地域社会に羽ばたいて欲しいと願う気持ちが、ときに障害者のアイデンティティと対立することがあります。

例えば「目上の人には挨拶をするべき」と指導したとします。

障害者の中には「目上の人」の概念が今一つ理解できない方がいます。

挨拶の主体は自分の感情であり、客体である相手を選ぶ権利も自分にある、と考える方がいるということです。

私たちは「肩書」で「目上の人」を選定している場合がありますが、障害者にとって「肩書」など意味はなく、尊敬できるのであれば誰にでも挨拶するものだと、至極真っ当な答えを返すことがあります。

つまり、会社の社長であろうと、尊敬に値しないのであれば挨拶はしないのです。

…ある意味、間違った理論ではないですよね?(笑)

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以前、「パターナリズム」とは違いますが「ステータス」という概念について触れたことがあります。

人間は、社会性の生き物ですから、他者と自分を比較をして社会での自分の居場所を見出します。

…これは「ポジショニング理論」の概念ですね。

「パターナリズム」も、必然的に形成された「上下関係」が相互作用を引き起こすものです。

最近では、よく「結論は先に述べる」というPREP法から派生した概念が、このnoteの世界でも耳にします。

PREP法
PREP法は主にビジネスシーンで用いられる文章構成方法であり、簡潔かつ説得力のある文章を作成する際に用いられる。
PREP法における「PREP」とは以下の
P=Point(結論)
R=Reason(理由)
E=Example(事例、具体例)
P=Point(結論を繰り返す)
の頭文字を取っている。最初に結論を伝え、次にその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示するストーリーを展開する。
PREP法の一番の特徴は結論を最初に述べることであるが、これは話の聞き手側の集中力が最も強いのが開始直後の30秒程度であることから、最も強調したい事柄を最初に話し、強く印象付けることで説得力のある文書やプレゼンテーションを構成することが出来るからである。また、冒頭に結論、つまり要点を持ってくることにより、何についての文書やプレゼンテーションなのかを聞き手側が把握しやすくなる。また、冒頭で内容をイメージ出来るかどうかでその後の内容の理解度も変わってくる。加えて、忙しいことが多いビジネスシーンでは結論を先に求められる場合が多いことからPREP法はビジネスシーンに適している
(出典:Wikipedia)

個人的な意見ですが、実はこれも「パターナリズム」だと思います。

ではどうすれば「パターナリズム」から脱却できるのか?

私が障害者福祉の現場でよく用いるのは、最後に「あなたはどう思いますか?」と投げかけることです。

どんなアンサーが返ってきたとしても、それに対しては受け容れるだけに留めることで、相手はきっと自ら考えて自分なりの答えを探すはずですから。

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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の投稿は以上です。

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