見出し画像

Kepple Africa Ventures、2020年を振り返り、2021年を語る

2020年は、1年間で41社の投資を実行し、アフリカで最もアクティブなVCに選出されたKepple Africa Ventures。本日は、当社GP(General Partner)東アフリカ担当の山脇、西・北アフリカ担当の品田、日本担当兼Kepple創業者の神先に「Kepple Africa Venturesの2020年の振り返りと2021年の展望」を聞いてみました。

2021年のアフリカ・スタートアップ市場の展望については、下記記事で紹介しています。こちらも併せてご覧下さい。

2020年、飛躍の年

神先:Kepple Africa Venturesとしての2020年は、東アフリカではケニアを拠点に山脇さん、西・北アフリカはナイジェリアを拠点に品田さんという体制が確立した年になりましたね。東アフリカでは、山脇さんが2018年から投資していたスタートアップが実を結び始め、西・北アフリカでは、品田さんが本格参入し投資を開始しました。

山脇:2020年を振り返ると「飛躍の年」だったと思っています。飛躍と表現したのは、初期に投資したスタートアップから急成長したスタートアップが何社もでてきたという点です。例えば、HRテックのWorkPay、自宅に医者を呼ぶことができるTIBUなどは急成長し、音楽系スタートアップのMdundoはデンマーク株式市場から上場しましたね。また、次のファンドの準備を進めることができた点も、大きかったですね。

神先:私にとっての2020年は、山脇さん品田さんの影響力が増して、良い意味で私が影を潜めた年になったと思います。私自身は海外ましてやアフリカでのビジネス経験がなかったので、2人の存在は本当に心強かったです。特に、本格的に投資フェーズに入った時の品田さんの論理的な思考力や、マクロから見てポートフォリオを選定する能力など、投資家としての能力を感じましたね。

西・北アフリカのファンドでは、初年度にもかかわらず35件の投資を実行しましたが、1年でこんなに投資しているファンドは私自身見たことがなかったですし、もちろん適当に投資しているわけではないので、品田さんがこれまで積み上げてきたアセットが形になったのだと思っています。

品田:私は2019年後半から本格的に投資をはじめましたが、すでに山脇さんが投資をしていた東アフリカでの先行事例もありつつ西側での投資を開始し、3人の視野が急速に広がっていった一年だったと思います。VCとして決まったやり方がない中で、3人の知見を基にたくさんの事例から、ファンドとして我々は何を重視して投資していくか、投資先をどう支援していくかといった、投資基準やフォローアップ体制をはじめとした色々な体制を固めていくことができました。

神先:山脇さんと品田さんのコンビネーションが深まり、組織としてもまとまることが出来ましたね。投資先からの評価という意味でも、Kepple Africa Venturesとして大きな成長を遂げられた1年だったと思います。

スクリーンショット 2021-01-25 15.52.39

ローカルVCでも欧米VCでもない強み

神先:最近は、アフリカのエコシステムが欧米のエコシステムに融合していく感覚があり、ローカルなエコシステムと欧米のエコシステムのマーケットのギャップがより広がっていく感じがあります。エコシステムが大きくなると融合もしますが、例えば派閥が出来てきたり、その分ギャップも生じると思っています。なので、私たちのように、ローカルなエコシステムと欧米のエコシステムの橋渡しになれるようなVCの重要性が増してくるんだろうなと思います。

品田:そのギャップの存在理由は、VCの投資フォーカスと実際の投資機会のミスマッチがあったり、VC間の派閥があったりしますが、こういうギャップを埋めるところに私たちの強みがありますね。

私たちは、投資対象分野にほとんど制約を設けていないので、投資機会に対して敏感に素早く動けますし、日本のVCとしていい意味で無色透明なので、既存の欧米VCや現地VCの派閥に属しておらず、どちら側とも協業できるので、様々なプレーヤーを繋ぎ合わせる役割を果たせていますよね。

スクリーンショット 2021-01-25 15.51.43

神先:私たちがローカルでもなく欧米でもないVCである強みもここで出てきますよね。

Kepple Africa Venturesにとっての2021年とは

山脇:2021年は新ファンドを着実に進めたいです。次のファンドは、大きなマイルストーンになると思います。現在コロナで市場の流動性が縮小している中で、アフリカで最大規模のファンドを立てるのは、大きい流動性を投下できることになるので、アフリカのスタートアップエコシステム全体を下支えできるといっても過言ではないと思います。

新ファンドをつくることによって、日本側の関心、お金、人の流れを作る事ができるとも思いますし、アフリカのスタートアップエコシステムそれ自体を次のフェーズに前進させる、その先頭役を担えると思っています。

個人としての2021年の抱負は「深掘りと拡散」です。深掘りは、今いるケニアをもっと理解するという意味です。ケニアひとつとっても本当に奥深く、10年以上アフリカに関わっていても分からないことだらけなので。自分の知識がないと世界は広がっていかないと思っているので、スワヒリ語、歴史等、もっとケニアを身に付けたいと思っています。

拡散については、アフリカという複雑な歴史が絡み合った大陸で、VCだからVCのことしか知らないのは無理がある気がしています。Kepple Africa Venturesは「アフリカから産業を作る」という大きなミッションを掲げ、実際に資本を動かしているので、幅を広げないといけないと思っています。将来、自分達が大きくなればなるほど、相対するプレイヤーも出てくる等行き詰まる可能性もあります。今後、ファンドの額の100倍ぐらいのインパクトを持つかもしれないとなった時に、歴史とは切り離せない、単純に経済ゲームで片付けられない大陸だと感じています。

品田:山脇さんが言ったように、次の大型ファンドの立ち上げは成功させたいですね。その際、現在よりも組織は大きくなり、ステイクホルダーも広がりをみせると思うので、組織としての多様性を持ち、多様なLPが入ったファンドとなることで投資先への価値を最大化させたいですね。

神先: 昨年の夏明けぐらいから、アフリカのスタートアップ市場でKepple Africa Venturesのポジショニングが確固たるものになってきた中で、グローバルにスタートアップを支援するファームを作っていけるのではないか、と本気で思い始めました。ブラジルやバングラデシュとかでです。今それを、心の底からやりたいと思っています。

私自身の役割は、次の旗をどこに立てるのかを考え、誰よりも大きなリスクを背負って誰よりも先に実行に移すことだと思っています。アフリカは、山脇さんと品田さんがいれば大丈夫だと思っていますので、2021年は、アフリカを超えてグローバルでスタートアップを支援する枠組みをケップルとして作っていけないか模索する年にしたいです。

実際アフリカでVCを始めてみて、アフリカのスタートアップ市場は世界の中でも有数のポテンシャルがある地域だというのは確信に変わりました。やはり最初にアフリカに旗を立てて良かったなと思います。また、これまでアフリカのスタートアップに70社以上投資し、がっつり関わってきたので、世界中のスタートアップを見る際の解像度が全然変わってきたなと感じます。

日本とアフリカというベンチマークを持ちながら、今後も他の地域に支援の輪を広げていくことで、これから更に見えてくる世界が変わってくるんだろうなと。凄くわくわくしますね。このアフリカでの経験を軸に、2021年はグローバルに広げていきたいです。

—————————
最後までご覧頂きありがとうございました。
2021年アフリカスタートアップ市場の展望の記事もご覧下さい。

今後ともKepple Afrifa Venturesのnoteでは、下記のようにアフリカスタートアップも紹介しています。フォローもしていただけると幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?