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住宅の収納|建築士が教えるインテリア家具と収納庫のポイント!!どっちがいいのか?


1. 収納の重要性と基本的な考え方

住宅の収納は、日常生活を快適にするための重要な要素です。
限られたスペースを有効に活用し、生活の質を向上させるためには、適切な収納方法を選ぶことが不可欠です。
本記事では、インテリア家具を使った収納と収納庫を設ける収納という二大戦略について、具体的なアイデアとともに詳しく解説します。
これらの戦略を理解し、自宅の収納を最適化するための参考にしてください。

2. インテリア家具による収納

2.1 多機能家具の導入

多機能家具は、収納スペースを増やしつつデザイン性も高めることができるため、非常に有用です。以下にいくつかの例を紹介します。

  • ソファベッド:ソファとして使用するだけでなく、ベッドとしても活用できるため、収納スペースが増えると同時に、部屋の機能性も向上します。特に、ゲストが来た際には非常に便利です。

  • 収納付きベンチ:ベンチの下に収納スペースがあり、クッションやブランケットなどを収納できます。これにより、リビングルームや玄関などのスペースを有効活用できます。

2.2 壁面収納

壁面を利用した収納は、床のスペースを有効に使うために最適です。特に、限られたスペースを持つ住宅では、壁面を活用することで大幅に収納スペースを増やすことができます。

  • 壁面シェルフ:本や飾り物を収納できるだけでなく、インテリアの一部としても機能します。例えば、書斎に設置することで、書籍や資料を整理するだけでなく、デコレーションとしても役立ちます。

  • 吊り下げ収納:キッチンやバスルームでの小物収納に便利です。調理器具や調味料、洗面道具などをすぐに手に取れる場所に配置することで、作業効率が向上します。

2.3 カスタマイズ可能な収納家具

家族構成や生活スタイルに合わせて、収納家具をカスタマイズすることも重要です。以下のアイデアを参考に、最適な収納家具を選びましょう。

  • 引き出しタイプの収納:小物や衣類の整理に役立ちます。例えば、クローゼット内に引き出しユニットを追加することで、下着やアクセサリーを効率的に整理できます。

  • リフトタイプのキャビネット:高い場所のスペースを有効活用できます。キッチンの吊り戸棚にリフト機能を追加することで、調理器具や食器を簡単に取り出せるようになります。

2.4 インテリア家具のデザインと材質

インテリア家具をそろえるのは意外と大変です。同じ系統のデザインを探すのは手間がかかりますが、ウォーキングクローゼットなど普段目に入らない場所には、カラーボックスなどのお手頃な家具が良いかもしれません。色々な色を使ってポップなインテリアにする手法もあります。

  • 家具の材質:木製家具はナチュラルな雰囲気を、アイアン製家具はスタイリッシュな印象を与えます。どちらの材質を選ぶかは、部屋の全体的なデザインや個人の好みによります。

  • スタイルの選択:皆さんのお好みのスタイルはどんな形でしょうか?例えば、北欧風のインテリアを好む方は、シンプルで機能的なデザインの木製家具を選ぶことが多いです。

2.5 インテリア家具のメリットとデメリット

メリット

  • デザイン性:部屋のインテリアとしても機能し、美観を損なわない。多機能家具を選ぶことで、部屋全体のデザインを統一し、洗練された空間を作り出すことができます。

  • 移動可能:必要に応じて簡単に移動や配置換えができる。部屋の模様替えをしたい時や、引越しの際にも柔軟に対応できます。

デメリット

  • コスト:デザイン性の高い家具はコストがかかることがある。高品質な素材や独自のデザインを持つ家具は、予算オーバーになる可能性があります。

  • 一致しないデザイン:同じ系統のデザインを探すのが難しい場合がある。特に、異なるメーカーから購入した家具を組み合わせる場合、微妙なデザインの違いが気になることがあります。

3. 収納庫を設ける収納

3.1 パントリー

キッチンに設ける食品収納スペースで、食材や調味料の整理に役立ちます。適切なパントリーを設置することで、キッチンの作業効率が大幅に向上します。

  • 棚と引き出しの組み合わせ:食材の種類ごとに整理しやすくなります。乾物、缶詰、調味料などを各カテゴリーごとに分けて収納することで、必要な物をすぐに見つけることができます。

  • 冷蔵庫の近くに配置:料理の効率が上がります。調理中に食材を取り出しやすくするため、冷蔵庫とパントリーを近接して配置するのが理想的です。

3.2 クローゼット

ベッドルームや廊下に設ける衣類収納スペースで、衣類やアクセサリーを整理できます。適切なクローゼットを設置することで、衣類の管理が簡単になり、毎日の準備がスムーズになります。

  • ウォークインクローゼット:大容量の収納スペースが確保でき、衣類を見やすく収納できます。衣類だけでなく、靴やアクセサリー、バッグなども一緒に収納できるため、全体のコーディネートがしやすくなります。

  • ビルトインクローゼット:一般的なクローゼットや押入れとして、限られたスペースでも効果的に収納が可能です。特に、狭いスペースでも壁に埋め込む形で設置できるため、部屋全体のスペースを有効に使うことができます。

  • 玄関周りのクローゼット:下駄箱に入らない靴やコート、靴のお手入れ用品などの保管に最適です。特に、外出時に必要な物をすぐに取り出せるため、朝の忙しい時間でもスムーズに準備ができます。

3.3 物置

家の外やガレージに設ける収納スペースで、大きな物や季節用品の整理に役立ちます。適切な物置を設置することで、庭やガレージの整理が進み、スペースを有効活用できます。

  • ガーデンシェッド:庭仕事の道具やアウトドア用品の収納に最適です。特に、大きな道具や頻繁に使うアイテムを整理するのに便利です。

  • ガレージ収納:車の整備道具や自転車など、大きな物の収納が可能です。専用の収納ラックや棚を設置することで、ガレージ内を整理整頓しやすくなります。

  • 設置前の確認:地域や設置場所によっては物置を設置できない場合があるため、事前に確認が必要です。特に、建築基準法や地域の条例によって設置が制限されることがあるため、事前に調査を行うことが重要です。

  • 外部からもアクセス可能な収納庫:外に物置を置くのではなく、建物内に外部からアクセスできる収納庫を設けると利便性が向上します。廊下と外からの扉を設けることで、玄関を通らずに工具やメンテナンス品を簡単に取り出すことができます。

3.4 ロフト収納

家の天井近くに設ける収納スペースで、普段使わない物を整理できます。特に、天井が高い家では、ロフトを設けることで空間を有効活用できます。

  • 季節用品の収納:クリスマスツリーやスキー用品など、シーズン物を収納するのに便利です。使わない季節の間に収納する場所として最適です。

  • スペースの有効活用:天井が高い場合、ロフトを設けることで収納スペースが増えます。例えば、子供部屋の上にロフトを設けることで、遊び場や寝室としても活用できます。

3.5 カウンター収納

壁面や窓の下部に設けるカウンター収納も効果的です。特に、デッドスペースを有効に活用するために役立ちます。

  • デッドスペースの活用:窓の下部など、通常は利用しづらいスペースを有効に使えます。カウンター収納を設置することで、このスペースを収納場所として活用できます。

  • 多目的な使用:カウンターとしても機能しつつ、収納スペースとしても活用できます。例えば、キッチンの窓下にカウンター収納を設けることで、調理スペースとしても使用できるため、作業効率が向上します。

3.6 床下収納

床下収納は、普段使わない物を保管するのに最適なスペースです。特に、スペースが限られている場合には、床下を有効に活用することができます。

  • 季節用品や非常食の保管:季節物や長期保存が必要な物を保管するのに適しています。床下に収納することで、使わない時期でも邪魔にならず、必要な時に簡単に取り出せます。

  • スペースの有効利用:床下のデッドスペースを有効に活用できます。例えば、リビングルームやキッチンの床下に収納スペースを設けることで、普段使わないアイテムを効率よく収納できます。

  • スキップフロアの活用:床に段差を設けてスキップフロアを作ることで、大きな床下収納空間を設けることも可能です。これにより、床下収納スペースがさらに広がり、大容量の収納が可能になります。

3.7 収納庫のメリットとデメリット

メリット

  • 大量収納:大きな物や季節用品など、かさばる物をまとめて収納できる。特に、家族が多い場合や多くのアイテムを持っている場合には、収納庫が非常に役立ちます。

  • 整理整頓:物を体系的に整理することで、取り出しやすくなる。収納庫を利用することで、各アイテムの指定された場所ができ、家全体が整理整頓されやすくなります。

デメリット

  • カビや結露のリスク:湿気対策が必要。湿気を吸収する材料や換気を導入することが有効です。特に、地下や外部に接する場所に収納庫を設置する場合、湿気対策を怠るとカビや結露の問題が発生しやすくなります。

  • 固定スペース:一度設置すると、簡単に移動や変更ができない。収納庫は固定されているため、家のレイアウトを変更する場合には不便になることがあります。

3.8 収納庫のデザインと使い方

3.8.1 見せる収納(ディスプレイパターン)

本棚のように収納物を見せることで、おしゃれなインテリアとしても活用できます。特に、リビングルームや書斎では、見せる収納がインテリアの一部として重要な役割を果たします。

  • オープンシェルフ:書籍や飾り物を見せながら収納でき、部屋を華やかにします。ガラス扉付きキャビネットは、中の物を見せつつほこりから守ることができます。オープンシェルフを利用することで、お気に入りのアイテムやコレクションをディスプレイしつつ、機能的に収納することが可能です。

  • メリット

    • デザイン性:インテリアとしても機能し、部屋を華やかにする効果があります。見せる収納は、訪れる人にも見せたいアイテムやコレクションをディスプレイするのに最適です。

    • アクセスの良さ:必要な物をすぐに取り出せるため、使い勝手が良いです。頻繁に使うアイテムをすぐに手に取れる位置に配置することで、日常生活の効率が向上します。

    • 視覚的な整理:物が見えることで、どこに何があるか一目でわかるため、整理整頓がしやすくなります。特にキッチンや書斎など、物が多い場所では視覚的に整理することで、使いたい物をすぐに見つけることができます。

  • デメリット

    • 埃が溜まりやすい:オープンな状態で埃が付きやすい。定期的な掃除が必要になります。特に、長期間使用しないアイテムの場合、埃が溜まりやすくなるため、清掃の手間がかかります。

    • 見た目の整理が必要:常に見た目を整えておく必要がある。見せる収納は、美しいディスプレイを保つために、定期的に整理整頓を行う必要があります。雑然とした見た目は、部屋全体の印象を悪くすることがあります。

3.8.2 隠す収納(隠しパターン)

扉やカバーを使って中身を見えなくすることで、スッキリとした見た目を保ちます。特に、リビングルームやベッドルームでは、隠す収納が部屋の雰囲気を落ち着かせ、整理整頓を促進します。

  • クローゼット:衣類や日用品を隠して収納できます。クローゼットは、衣類だけでなく、季節物や普段あまり使わないアイテムの収納にも適しています。

  • 引き出しタイプの収納:小物や書類を整理し、見た目をスッキリ保てます。引き出しを利用することで、アイテムごとに整理しやすくなり、必要な物を簡単に見つけることができます。

  • メリット

    • 見た目の整頓:扉を閉めることで、見た目がスッキリする。隠す収納は、部屋全体を整った印象に保つために非常に効果的です。特に、来客時には見た目を整えるのに役立ちます。

    • 埃が入りにくい:閉じた状態で埃が入りにくい。アイテムを清潔に保つために、隠す収納は非常に便利です。特に、長期間保管するアイテムの場合、埃や汚れから守ることができます。

    • プライバシー保護:個人情報を含むアイテムや貴重品を安全に保管できる。隠す収納は、見せたくない物を保護するのに適しています。

  • デメリット

    • アクセスの手間:物を取り出す際に扉を開ける手間がかかる。特に、頻繁に使用するアイテムを収納する場合、毎回扉を開け閉めするのが面倒になることがあります。

    • 収納の管理:中に何があるか分かりにくくなる。隠す収納は、定期的に整理しないと、中に何が入っているかを忘れてしまうことがあります。特に、長期間使用しないアイテムの場合、忘れがちになるため、定期的な見直しが必要です。

    • スペースの無駄使い:見えない分、スペースを有効に活用しにくい。隠す収納は、物を詰め込みすぎると、スペースを無駄にしてしまうことがあります。整理整頓を心掛け、効率的な収納方法を取り入れることが重要です。

3.9 収納庫のドアの種類と特徴

収納庫では、ドアの種類とその特徴も考慮する必要があります。以下に代表的なドアの種類とその特徴を紹介します。

  • 開戸(ヒンジドア):最も一般的なドアタイプで、ヒンジを使って開閉します。開戸は、シンプルで使いやすいですが、開閉時にスペースが必要です。特に狭い場所では、開戸の開閉スペースを確保するのが難しい場合があります。

  • 引戸(スライドドア):ドアを横にスライドさせて開閉します。引戸は、省スペースで開閉できるため、狭い場所でも利用可能です。ただし、スライドレールのメンテナンスが必要になることがあります。

  • 折れ戸(フォールディングドア):ドアが折りたたまれる形で開閉します。折れ戸は、開閉時にスペースを取らず、狭い場所でも使いやすいです。ただし、開閉の動作が複雑になるため、耐久性に注意が必要です。

  • 上げ下げ戸(リフトアップドア):ドアを上下にスライドさせて開閉します。上げ下げ戸は、省スペースで開閉でき、特にキッチンやガレージで利用されることが多いです。上に開くため、上部のスペースに余裕がある場所に適しています。

4. 収納庫の維持管理と対策

4.1 カビや結露対策

収納庫は、カビや結露のリスクがあるため、湿気対策が必要です。以下の対策を取り入れることで、収納庫を清潔に保つことができます。

  • 湿気吸収材の使用:湿気を吸収する材料を使用することで、カビや結露の発生を防ぎます。特に、シリカゲルや竹炭などの吸湿材を利用すると効果的です。

  • 換気の確保:定期的に換気を行うことで、湿気を外に逃がし、収納庫内の空気を新鮮に保つことができます。特に、窓や換気扇を設置することで、効率的な換気が可能になります。

  • 防湿シートの設置:床や壁に防湿シートを設置することで、湿気の侵入を防ぎます。特に、地下や外部に接する場所に設置する場合には、防湿シートの使用が効果的です。

4.2 日焼け対策

収納庫に直射日光が当たる場合、収納物の日焼けが心配です。この場合、窓のない収納庫を選ぶことも一つの方法です。

  • 遮光カーテンの使用:窓に遮光カーテンを設置することで、日光を遮り、収納物の日焼けを防ぎます。特に、デリケートなアイテムや色あせしやすい物を保管する場合には効果的です。

  • 窓のない収納庫:日焼けが心配な場合、窓のない収納庫を設けることで、収納物を保護することができます。特に、長期間保管するアイテムの場合、窓のない収納庫が適しています。

5. まとめ

インテリア家具を使った収納と収納庫を設ける収納の両方の方法には、それぞれ利点があります。自分の家の間取りや生活スタイルに合わせて、最適な収納方法を選びましょう。以下に、それぞれの戦略の要点をまとめます。

  • インテリア家具の収納: デザイン性を重視し、部屋の美観を損なわずに収納スペースを増やすことができます。多機能家具やカスタマイズ可能な家具を活用することで、効率的な収納が可能になります。

  • 収納庫を設ける収納: 大量の物を整理整頓し、必要なアイテムを効率的に保管することができます。収納庫を設けることで、家全体のスペースを有効活用し、生活の質を向上させることができます。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、自宅の収納を最適化するための参考にしてください。この記事のヒントを基に、あなたの家の収納を見直して、快適な生活空間を作り出しましょう。

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