見出し画像

morning moon #シロクマ文芸部

今朝の月。
見上げた空に浮かんでいた。

月曜日の朝、眠い目をこすりながら、マイは駅に向かう道を歩いていた。
とぼとぼと歩くマイを、サラリーマンが、制服姿の学生が、早足で抜かしていく。
みんなもそんなに忙しいのだろうか?

マイは今日やらなくてはいけない仕事を思い出した。
一つ、二つ、三つ……。
無数にある仕事に愕然とし、思わず立ち止まってしまう。
学生たちがそんなマイをいぶかしげに見ながら、追い抜いていく。
マイはその視線から逃げるように、空を見上げた。

空に浮かんでいたのは……月。
朝にも月が見えるんだ…。
夜は煌々と輝いている月も、朝見るとなんだかはかない。
青い空の中で溶けて、消えてしまいそうだ。
この儚い光で、誰を照らしているんだろうか……。

今日やる仕事を、マイは改めて考えてみた。
一つ目は……上司にやってもらえばいいや。
二つ目は……明日でも問題ないな。
三つ目は……そもそもやる必要ある?

それよりも、今は月を見ながら散歩しよう。
この儚い月が、消えて見えなくなるまで……。


小牧幸助さんの企画に参加させていただきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?