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[すこし詩的なものとして]0091 記憶はいつも心の傀儡

彼女は思い出す
あの日がとても暑かったこと

彼女は思い出す
あの時の悔しさを

彼女は圧し潰す
ありったけの笑みと汗で

彼女は前を見る
振り返る暇などないのだと言い聞かせながら

そしてまた同じように
ふとした瞬間
あの時を思い出すのだろう

カタコト
カタコト

タイプされる文字たちは
君の心に押しつけられて
君はいつものように
心に葛藤を
心に侮蔑を
心に哀愁を

猿真似ごとのように
繰り返す

カタコト
カタコト

郵便配達の音
ポストされた
あなたへの手紙
開けるも自由
捨てるも自由

カタコト
カタコト

また刻まれる
見えないタイピング
思い出すだろう
あの日がとても暑かったこと
あの時の悔しさ

彼女は圧し潰す
ありったけの笑みと汗で

彼女は前を見る
振り返る暇などないのだと言い聞かせながら

———————————————————
何度も何度も繰り返す。
毎日何度も悔やみながら僕は生きている。
何をしても
何をしても
失敗ばかり。もう嫌になるくらい後悔ばかりだ。
でも、またやってくるその後悔をどうやって受け入れるのか。
それを考えていると、心に刻まれた文字たちが、少しは背中をさすってくれる。
今日も明日も明後日も。
そうやって生きるのだ。

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