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ケンヨウ
2024年7月9日 16:59
海岸を歩く人たちが、砂に長い足跡を残していく。過ぎた春を洗い流す波は、行っては来てをくりかえし、その小さな足跡をも連れ去ってゆく。その去りゆく人たちを見上げては行方を気にして、僕は少し不安な気持ちになる。キラキラときらめく水面を眺め、僕は大きく息を吸った。まもなく日が沈むそのひととき。あたりは夏の湿った空気が潮風に乗って、頬をかすめる。ポケットでひとりかなしく震えるスマートフォンを見
2024年3月26日 16:13
見上げた天井は、どこか虚ろで、今までも、これからもずっと変わらないのかななんて思って眺めていた。少し湿った空気が辺りを漂う土曜の昼下がり。 なにかするにも、ままならず、ずいぶん前に撮った六本木の写真をインスタのストーリーズにアップする。たかだか200人くらいのフォロワーのための虚しい作業に、いつものように後悔をする。ものの数分で3つのいいねがついて、そのあとパタっとなにもなかったように、めくる