映画「レ・ミゼラブル」(98年版)レビュー
原作を読んだついでに映画版「レ・ミゼラブル」のレビューをします。
ネタバレありなのでご注意ください。
HP
監督
イェルゲン・ペーション
キャスト
ジャン・バルジャン:リーアム・ニーソン
ジャベール:ジェフリー・ラッシュ
ファンテーヌ:ユマ・サーマン
コゼット:クレア・デインズ
マリウス:ハンス・マセソン
感想
冒頭からコゼット救済、そしてパリに潜入までは原作にかなり忠実で完璧。
当時のフランスの街並みや生活も、本当にこんなだったんだろうと思えるほど秀逸に再現されていた。
キャストもハマっていて、特にジャベールの不気味さは見事。
テナルディエの登場シーンが少ないが、それはそれでOK。
ただ、コゼットが大人になってからは原作をかなり改編し、安っぽいメロドラマみたいになっていて萎えた。
特にコゼットとマリウスの恋愛が急展開すぎて、また、妙にアメリカンテイストで世界観ぶち壊し。
どうもアメリカ人というのは、こと恋愛になると完全に個と個で成立するものと思い込んで疑わないらしい。
19世紀初期(作中の時間は1815年~1833年)のフランスにそこまでの自由恋愛があったかどうか疑問。
原作ではコゼットとマリウスはもっと微妙な関係性から徐々に距離を詰め、ジャン・バルジャンの目を盗んでなんとか連絡を取るといった感じ。
あと、この時代に若い女性が夜になって簡単に外出するのも変。
結婚前の男女が人前で気軽にキスとかもできた時代なのかも疑問。
クレア・ディンズの泣き演技もなんかアメリカンで調子外れな印象があった。
ラストはジャベールとの対決シーン。
本当は原作にあるその後の顛末(マリウスとコゼットの結婚からのジャン・バルジャンの苦悩、そして三者の完全和解)が感動的なのだが、まあ端折るのは分からないでもない。
ただ、ジャン・バルジャン役のリアム・ニーソンが長い長い苦悩から解放されて終わるのを見て「ショーシャンクかよ!」と突っ込んでしまった。
直前、下水道抜けてるし……
前半がとてもよかった分、後半のメロドラマやアメリカナイズされた感じが残念。
ちなみに、比較しようと思って2012年版を観たところ、なんとミュージカル映画で視聴を断念。
ミュージカルが受け付けれらない体質なので。