双子に宿った不思議な力で立ち向かえ!『フーガはユーガ』を読みました。
伊坂幸太郎さんの小説は、私が高校生の時から読み続けています。
文庫版が上梓される度に読んでいます。奇抜な設定、キャラの濃い登場人物、キレイな伏線と回収、、、など面白いところがたくさんあります。そんな面白さの中から、本記事では、『フーガはユーガ』でも登場する「伊坂作品の悪人」について書いていきます。
あらすじ
優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして…。
伊坂幸太郎史上
もっとも切なく、でも、あたたかい。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、
だけど僕たちは、手強い
双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、
そして、彼ら兄弟だけの、
誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。
ふたりは大切な人々と出会い、
特別な能力を武器に、
邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。出典:Amazon
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伊坂作品では、「お世辞にも善人とはいえない人」が登場します。
殺し屋など裏稼業で生計を立てている人です。その手の人がターゲットに迫るために、拷問するシーンもあります。そして、そんな裏稼業の人が主人公である作品も多いです。
例えば
『陽気なギャング』→強盗
『グラスホッパー』『マリアビートル』→殺し屋
『ホワイトラビット』→犯罪ベンチャー企業
現実の日常では聞かない言葉、出会わない人、発生しないだろう場面
を小説を通して楽しむことができます。ちょっとした異世界をのぞき込んでいるようで、楽しいです。ただ、悪人であっても、「いい悪人」と「悪い悪人」がいます。書き方が全く違います。伊坂作品の悪人特徴↓
別の言い方をすると、「悪い悪人」は多彩な表情を見せない。
「いい悪人」は多彩な表情を見せます。〇〇という悪い面もあるけど、〇〇といういい面もある、○○のために仕方なく悪いことをしている、などなど。「いい悪人」には共感できる部分が描かれます。
また、「悪い悪人」にはわからない部分が多い。どうしてそう思ったのか、行動の原点が明かされていないことも多々あります。『フーガはユーガ』では、主人公の父親が「悪い悪人」です。この父親はほとんど生い立ちや行動指針がわかりません。「わからない」人は共感しづらい人になるのでしょう。
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ただ、物語は「悪い悪人」が登場して成立することもあります。
『フーガはユーガ』では父親との確執が一つのキーになっていて、父親を倒すにはどうすればいいか、父親を避けるにはどうすればいいか、が主人公たちの行動指針にもなっています。
そして、虐げられた経験が共感をうむこともありました。
フーガと彼女の小玉です。境遇が似ているところが小玉さんはフーガと仲良くなったようです。
つまり、悪人がいることで2つの効果があります。
①悪を倒す、避ける
②弱い誰かと繋がる
勧善懲悪の物語の良いことろですね。『フーガはユーガ』では、弱い誰かと繋がる部分が物語のスパイスになっていて、長編小説だけど短編小説のような面白さもありました。
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特殊な設定を試行錯誤して、悪を倒すっていう設定が面白い作品でした。伊坂作品では『魔王』なども同じような部類ですが、また違った面白さがありました。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。
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