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スタッフ50人までの小さな会社のための実践的“ビジョンを実現する「人財育成の仕組み」③

0.ごあいさつ

こんにちは。いつもnoteを読んでいただきありがとうございます!
(株)クルージズ・テクノロジーズ 代表取締役の牟田健登と申します。

弊社は、「人や企業の夢やビジョンというゴールまでの航海」を「航海」という意味の英語のクルーズ(cruise)に複数形の「s」をつけて、クルージズというし、その航海を、テクノロジーの力を使って再現性あり、簡便な方法で支援する、という想いで社名を名付けました。

特に、小さい企業の経営理念づくりや、経営計画の実現のための制度づくりとその活用を通じて、ご支援しております。

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そのご支援の経験を活かし、この度、『スタッフ50人までの小さな会社のための実践的“ビジョンを実現する「人財育成の仕組み」』というテーマで全7回に分けて、執筆させていただきます。

今回はその第3弾となります。

第1弾はコチラ :「小さな会社の定義」

第2弾はコチラ : 「5つの悩みと目指すこと」

3.課題を解決出来ない経営者の5つの共通点

 「課題がある」ということは、上記のような悩みや課題を解決した先の、「ありたい姿」・目指す「ビジョン」を経営者は持っているということでしょう。では、どんなことを目指しているのでしょうか。優先順位はあるかと思いますが、基本的にはこの3つが考えられるでしょう。

  ①経営者自身の自己実現(幸せ)
  ②社員の幸せ
  ③会社や事業の維持・継続・成長  

  このように、経営者は自身の自己実現、社員の幸せ、そして会社の維持・継続・成長を望み、日々経営をしていらっしゃいます。当社は多くの企業のサポートをする中で、つまづいてしまう経営者さまの共通点を見つけました。

その共通点は、こちらの5つが挙げられます。

経営理念や行動指針などがない
②あったとしても、言わなくても分かると信じている
③昨対など、過去から考えた目標設定をしている
人財育成の仕組みや、頑張りを報いる仕組みがない
⑤制度を作っただけで満足している

それぞれどのような状態か、補足、説明をさせていただきます。

①経営理念や行動指針などがない

 1つ目は、そもそも、「ありたい姿」や目指す「ビジョン」をそもそも持っていない、という事が挙げられます。「稼げそう」という理由で創業してしまっていたり、「起業すること」自体が起業理由になってしまっていたりするのです。つまり、「手段」が「目的」になってしまっている状態なので、その先の目的や目指すことが示せないのです。この状態では、従業員としては働く目的を持ちにくくなってしまいます。

 また、こうありたい、という「理念」やこうあるべき、という「行動指針」があいまいであったり、「誠実」とか「誠心誠意」・「一生懸命」など抽象的な言葉で思考が止まってしまっている場合も、ゆくべき先を示すことは出来ません。

社長の基本』(三條慶八著)では、"経営者の最大の仕事は「水先案内人」”と述べられています。経営者は、会社をどうしたいのか、どんな方向を目指すのか、「こっちに行くぞ」、「これではダメだ」などを社員に示し、伝える責任があります。こうした先々のビジョン、いま頑張った先にある未来を示せなければ、社員は頑張るどころか、経営者についてきてくれないでしょう。

 「パーパス」や「ビジョン」などというキーワードが昨今、書籍やセミナーなどでもよく見かけます。これらは、「経営理念」と大きな違いはありません。一言で簡単にまとめると「何のために働くか、何のためにその事業をするか」と言えるでしょう。日々、朝ベッドから起き、仕事に向かうこと、その理由は何か。それが「パーパス」や「ビジョン」そして「経営理念」になります。
 また、その目的を叶えるために、「われわれはどんな価値観を持ち、どんな行動をするか」というものが行動指針です。理念を叶えるためのやり方として、どんな方法でもよいか、といったらそうではないでしょう。同じ価値観を持っているということは、同じ文化を持っているということであり、それは再現性ある行動を生むことができます。チームで一枚岩で経営していくために、同じような価値観を持ち、同じような行動が出来るようになるためにも、行動指針を明確に、具体的な言葉として示すことが必要です。

②言わなくても分かると信じている

 「小学生じゃないんだから、分かるだろう」という考えで、従業員は「言わなくてもわかる」と信じてしまっているというのも、よくあるつまづきポイントの1つです。「つまづき」、というより、誤解を恐れずに申し上げると、「勘違い」が正しいかもしれません。長年連れ添った夫婦や親しい間柄ですら「阿吽の呼吸で」なんて非常に難しいもものです。にもかかわらず、経営者と従業員において、コミュニケーションなしに、阿吽の呼吸が出来るわけがありません。また、これは経営者と従業員1人ひとりはもちろん、経営者と幹部、幹部とチームメンバーとのコミュニケーションにおいても同じと考えられます。

 人と人との関係なので、コミュニケーションが非常に重要です。前述の理念やビジョン、行動指針などはもちろん、普段のコミュニケーションにおいての挨拶、感謝や褒める言葉、また課題を正々堂々と指摘したり、アドバイスをしてあげるということも必要です。そういったコミュニケーションをせずとも、従業員側が「分かってくれている」ということはまずあり得ません
 このコミュニケーションがないと信頼関係は築けませんし、何をどう頑張ればよいか、何を目指せばよいかも分からなくなるのです。そうなると日々の仕事が作業になったり、惰性で過ごしたり、職場への愛着や仕事へのやりがい、会社への貢献意欲などがなくなり、離職の原因にもなります。

③昨対など、過去から考えた目標設定をしている

 目標とは目的を達成するためのプロセスです。つまり、目標設定は「こうありたい」という未来の姿というゴールにたどり着くために、という逆算思考で行います。いわゆるバックキャスティング思考が必須です。
 にもかかわらず、「昨年対比110%」とか「昨年の毎月の売上50万円上乗せして…」という思考で目標設定をされる経営者が多くいらっしゃいます。日本が成長期であった時はそのような目標設定でも、社会全体も、働く側も、成長することや、全てがより良くなることが見えていたのでそれでよかったのかもしれません。

 しかし、令和のこの時代、新型コロナウイルス、副業・複業やテレワークなどの働き方改革、AIなどの技術革新で社会は大きく変わっています。そして日本は少子高齢化社会、物価上昇、増税で、働き手としては、中々明るい未来というものが見えにくい状況です。そんな中、ただ単純に「昨年対比●%上昇」という目標設定では、その根拠、そしてそれが達成出来る理由、達成しないといけない理由が見えず、従業員側としては、「よし、やろう!」などと、ワクワクしませんし、「出来そうだ!」という自信を持つことが非常に難しいです。

 必要なのは、「こうありたい」という未来の姿というゴールにたどり着くために、という逆算思考で考えることです。考える順番としては、理念やビジョンを叶えるためには、どれくらいの利益が必要か、そのためにはどれくらいの売上をどんなことに投資してつくるかという経営計画をつくり、目標を設定するという順番がよいでしょう。
 さらにその目的と目標、及びその達成するための手段(戦略戦術)までをきちんと四半期ごとや毎月という高い頻度で伝える場を設け、伝えていくことで浸透していきます。

④人財育成の仕組みや、頑張りを報いる仕組みがない

 理念を明確に何度も伝えること、未来から逆算した目標設定をすること、その目標達成のため実際に戦略戦術を考えることまでは、経営側の仕事です。が、実際に実行するのは従業員です。

 未来をつくっていくための戦略戦術を達成、実行してもらえるように、従業員を育成していくことも大切です。例えば、定期的な面談で進捗確認やアドバイスをマネージャーが行ったり、社長も現場を見て、きちんと実行されているか確認し、問題があれば、指摘・指導・助言したり、上手くいっていればきちんとその場で褒めたり、讃えたり、という地道なコミュニケーションが重要となります。
 そうすることで、叶えたい未来の理念やビジョン、そのための目標の達成度も変わります。また、そのように、しっかりと達成のために会社が本気で取り組んでいて、成長を促す仕組み、取り組みがなされていることで従業員としては信頼出来るし、安心して働くことが出来ます。

 そういった目標を達成したときには、貢献実感や顧客や会社からの感謝などで社会的承認が得られるかもしれません。しかし、当然のことながら、従業員にもプライベート・家庭があり、この先も生きていくべき生活があります。頑張りや成果を給与や賞与、さらには等級などといった処遇に結びつける、制度があるべきです。

 そういった制度を、「人事評価制度」と呼びますが、『2022年度版 中小企業白書』では、50名以下の企業では、まだ約半数しか導入がなされておりません。

引用元:2022年度版 中小企業白書

 ただし、その人事評価制度にも様々な状況があると思います。

 「社員を評価している」といっても、それが経営者の感情によって決まるペン舐め査定では、「しっかり評価し、報いている」とは言えません。「なぜその点数なのか」、「なぜこの給料なのか」合理的な根拠を持って評価し、報いていくことが必要です。感情に任せていると、例えば、「最近結婚したから」や「子どもが出来るし・・・」など、年齢やプライベートの状況で報酬が決められ、本来その人が発揮した成果や努力が報酬と連動せず、「なんで?」と納得が出来ず、信頼関係も築けなくなってしまいます。

⑤制度を作っただけで満足している

 ただし、そういった評価や査定の制度をつくっただけで満足してしまう、その制度があるというだけで「社員を充分評価している」と満足してしまうような考えの経営者は、ほとんどの場合つまづいてしまっています。

 確かに、上記で示した通り、制度を作ることは大切なものです。しかし、そういった制度を作っても、「きちんと運用されている」ということはかなり少ないのが実態です。

 こちらは「人事評価制度」を設けていない理由の調査です。ここに「運用していない理由」のヒントもあると考えられます。

引用元:2022年度版 中小企業白書

 特に従業員規模が小さい企業の「人事評価制度を設けていない理由」は、「従業員が少なく、経営者が全従業員の状況を把握しているため」ということでした。こちらが、他に差をつけての1位でした。

 この結果は人事評価制度は従業員を「評価をするためのもの」、という認識があるからではないでしょうか。確かに、5~20人、21~50人くらいであれば、学校で言うところの1~2クラス分程度の人数ですので、状況を把握できる程度の数と言えるかもしれません。ただし、実際に上手くいっているという数は少ないのではないでしょうか。

 運用されていたとしても、四半期や半年、といった実際に点数をつける時にだけその制度をつかっている、というケースが多いからです。評価の際に、点数をつけるだけ、となると、ロボットの機能や性能を評価するかのように感じてしまうため、「本当に評価しているの?」と、その評価に納得感が得られなくなります。

 では、どうすれば納得感を得られるかというと、制度を「運用する」のではなく、「活用する」のです。まず、「理念を伝え、それを叶えるための目標を共有し、その目標達成のための戦略戦術を示し、それが達成出来たら・実行出来たら、評価する」という制度があることを説明し、その上で、日々、その進捗確認をし、シンプルなコミュニケーションとして、うまく行っているのなら逐次、賞賛し、うまくいっていないのであれば、指摘、指導、助言など行うのです。そうすることで、日々の行動や思考も見ているということが、従業員に伝わり、その結果の評価にも納得感を持ってもらえるのです。 

まとめ

 これら5つが、つまづいてしまう経営者さまの共通点です。これらの課題があるままでは中々悩みを解決し、 経営者自身の自己実現や、社員の幸せ、  会社や事業の維持・継続・成長を実現することは難しいでしょう。

 またこれらの課題が解決なされないままに、採用活動を進めてしまうと、組織の規模が大きくなり、目が届かなくなり、声が届かなくなり、状況を把握することも難しくなり、より課題解決が難しくなります。


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