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「面白い話」を引き出すためなら、ときには礼儀だって無視する

インタビューについて、面白いnoteがあったのでメモ。中編。


↓面白かったnote

>「インタビュイーに恋をする」作家・土門蘭と編集者・徳谷柿次郎、それぞれの取材術


↓メモ前編


前編のnoteでは、徳谷さんがインタビュイーの警戒を解くために、『本気で素直なリアクションを取る』ことを意識しているということを書きました。

それに加えて、徳谷さんはできるだけ警戒心を与えないようにするために、あえて『テープを回してもいいですか?』と聞かないようにしているそうです。

柿次郎:話を戻すと、僕が話を聞きたい人は、取材慣れをしてない方が大半です。その時、土門さんが黒子に徹するように、僕は「なんとなくその土地のその人に興味があるお兄ちゃん」になるんです。相手は「役所のやつに言われて話すけど、お前ら何者だ?」みたいな感じですから。できるだけ警戒心とかを与えないために、気持ち良く大きな声で挨拶して。
土門:大事ですね。
柿次郎:普通、取材の礼儀として「テープ回していいですか」って聞くじゃないですか。でも、それも言わないようにしてるんです。勝手にテープを回して、写真を撮ったほうが、その人の自然体の言葉が出やすいんですよね。


基本的に、インタビューの場合では始める前に『音源をとらせてもらいますね』とか『話している最中に写真を撮りますね』とかって、一言断りを入れることが多いです。

しかし徳谷さんの場合、インタビュイーがインタビュー慣れしていないことが大半なので、テープやカメラのことを意識することによって、素の姿が出にくくなる可能性があります。

そこで徳谷さんは、マナーを破っているのを承知で、わざと許可を取らずに音源をとったり写真を撮ったりしているしています。

ぼくも、これまでのインタビュー対象者のほとんどが、ベンチャー企業の社長や社員さんで、『インタビューを受けるのは初めて』という方が多くいます。

だから徳谷さんと同じように、どれだけリラックスした状態で話してもらうかを考えて、レコーダーのスイッチを入れるときは『ではいまから録音するのですが、よろしいですか?』とカチッとした感じではなく、『一応録音しておきますね〜』というサラッとした感じで、いかに『インタビュー感』を出さないかに注力していました。

しかし徳谷さんは、そもそも許可を取っていないという話が出てきて、『面白い話を聞き出す』というインタビュー最大の目的を貫徹するために、ここまでやってもいいんだなと参考になりました。


あと、徳谷さんの『どうやって話の腰を折るか』という箇所も印象に残りました。

柿次郎:かもしれない。無理やりインタビュー術に繋げると、おじさんってめちゃめちゃ話が長いんですよ。ずっとその土地にいるから時間はあるし、僕がもうめちゃめちゃ面白がるんで、「おれの話をもっと聞いてくれ!」って話し続ける。そんな時は、話の腰をどう折るかを意識しちゃうんです。
土門:へー! 難しいですよね? 話の腰を折るって。
柿次郎:難しいです。変なおじさんって頭がいいので、なかなか話の隙間がないんですよね。だから、そういう時は「え〜〜〜〜〜!」って長めにリアクションをする。
土門:長めのリアクション。
柿次郎:おじさんは僕が「え〜〜〜〜〜!」って言ってる間に呼吸を変えるんですよ。で、話の腰を折りたい時は、ずっと「え~~~!」って長めに言ってからすかさず「え、どんな女性好きなんですか」って聞く。すると、おじさんは呼吸を変えるとこだったので、「おー……」ってちゃんと考えてくれるんです。これは使えますよ。

結局、おじさんって“手癖の筋肉”で喋ってるんですよ。いろんな人に同じエピソードを話してきてるから、落語みたいになっている。でも、全然関係ない話題でその人の手癖の脳の思考回路をぶった切っちゃう。そんな風に乱した話が、意外と良かったりするんです。


これはむしろ、インタビュー慣れしていない人よりも、慣れているインタビュイーの方が多いかもしれません。

特に緊張もせず、次から次へと話したいことが出てくるので、インタビューの主導権を完全に渡してしまうと、話が必要以上に脱線したり、永遠に続いたりします。

そこでいかに、話の主導権をこちらに戻すか。


徳谷さんは、『長めのリアクション、からの全く文脈のない質問をする』という術を使っていて、これは今度どこかで使ってみようかなと思いました。

いままで、こちら側としてはもうそろそろ次のトピックに移りたいなというタイミングで、ちょっと大きめの相槌をして、こっちが話す雰囲気を出して、一瞬でも間が空いたら要約をして次のトピックに移る流れを作っていました。

しかしこれだと、たまにぼくが『つまり、〜ということですよね』というまとめをし終わったあとに、『そうだね。ちなみに』とか、ぼくのまとめが不完全だった場合に『いや、というよりも〜』と全然次のトピックに移れないこともあります。

基本的にぼくはインタビューではインタビュイーに主導権をギリギリのラインまで渡すことが多いので、どんどん話してもらうこと自体は良いんですが、あまりにも枝葉末節の話になりすぎて切り替えたいときは、さっきの徳谷さんのテクニックを試してみようかなと思います。


テクニックっていうと、なんだか小手先な感じがしてあんまり良いイメージを持たない人もいるかもしれませんが、テクニックがあるからこそ本質的な話を引き出せる面もあるので、本質とテクニック、両方大事だよな―と、こういう具体的なnoteを読んでいると思います。

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