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「テクノロジー」と「ある程度」

実際にその本を読んだことがないので、形としては又聞きになる&細かいニュアンスは違っているかもしれないという保険をかけてから、きょうの話を始めるのですが、最強の棋士・羽生さんは、『ウェブ進化論』という本のなかで、「知の高速道路」という理論を提唱したそうです。

なんで大元の本をぼくが読んでいないくせに、この理論を聞いたことがあるかというと、その本を読んだ人が、インタビューや記事などで、頻繁にこの理論を引用するからです。

それくらい、この理論は時代の本質を捉えた理論だったのだと思います。


そしてこの理論は、ぼくなりの解釈も大きく入ってしまうという前提で書くと、現代はインターネットをはじめとしたテクノロジーの進歩によって、知識やスキル(=知)を効率的に得られるようになった(=高速道路)という現象を指しています。


ここまでだと、知の高速道路めっちゃいいじゃんとか、現代って最高じゃんとかって感じなのですが、本題はその先で、高速道路に乗って効率的に道を進むのはいいのですが、ある一定のところまで行くと、他に高速道路に乗っている人たちがたくさんいて、渋滞に巻き込まれてしまうのです。

「知の高速理論」で羽生さんが伝えたかったのは、だから「他の人たちから一歩でも二歩でも抜きん出るには、一般道路に降りるなりなんなりして、他の人とは違う道で進む必要があるという話だったのだと思います。

そんな話を、下の記事を読んで久しぶりに思い出しました。


>月収100万円のUberEats配達員が大切にする「たったひとつのこと」


UberEatsの配達員って、重労働なわりにあんまりお金を稼げないって話、チョコチョコ聞くのですが、記事に出てきた大村さんは、月収100万円とのこと。

そして大村さん、なんとUberドライバーの生命線とも言えそうな「Googleマップ」を、ほぼ使わないのだそうです。

Googleマップ(=テクノロジー)を使えば、たしかに楽に、ある程度のスピードでいけます。

でも、自分の頭の中にルートが入っていた方が、地図を見る手間が省けるし、Googleマップには出てこない裏道を見つけられるかもしれないし、そうすれば、もっと早く目的地にたどり着くことができます。


これが、おそらく、羽生さんの言う「高速道路の渋滞を抜けた先」の境地なのです。

ただ、この境地にたどり着くまでに、大村さんも、「紙の地図を使って、自分の頭の中にルートを叩きこむ」といい「一般道路」のような、積み重ねの時期がありました。

Googleマップを使えば、初日から早速、(それなりに)正しいルートで配達ができたはずです。

でもそこで、紙の地図がボロボロになるまで使って、自分の頭の中にルートを作ったからこそ、結果的に習得までの時間や労力はかかったかもしれないですが、他のドライバーたちとの「渋滞」を抜けることができました。


そして、ここから締めに向かっていくのですが、この「知の高速道路」理論の伝えたいことは、個人的には「一般道路に降りて、自分の力で考えて試行錯誤した血肉が、最終的に他の人との差別化要素になるのだよ」というメッセージとはまた別で、逆に「ある程度のところまでは、高速道路に乗っていくのもアリだよ」ということも、行っているのではないかなと思います。

ちょっとアカデミック風に言えば「巨人の方に乗る」でしょうか。


まずはあえて大渋滞の起きそうなところまでは、高速道路に乗ってパーっと行ってしまって、その渋滞に差し掛かりそうなタイミングの手前で、サッと一般道に下りる。

それがときには、結果的に「一番進んだ」ということも、大いにあり得るパターンです。

もちろん、最初から一般道で走って、ものすごい馬力で、ガツガツ距離を進めるってやり方もありだと思います。

そこは最後は、個人の進みたい距離と、好きな進み方に依存するってことですかね。


ということで、結論があるようでないような感じなんですけど、「テクノロジー」って、手取り早くある程度のところまで行く手助けはしてくれるけど、「その先」に行くためには、自分の手と頭を使ってもがいた蓄積こそが、最終的に大きな財産になるのかもしれないなという話でした。

テクノロジーは、手段。

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