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「告白は3回目のデート」でから、データの使い方を考える

「データは21世紀の石油だ!」とか「データドリブンな経営だ!」とか、とにかく「データは大事だ!」って話は、もうすでにいろんなところで言われていると思います。

ぼくがここで改めて書かなくても当たり前なくらい、やっぱりデータは大事です。


ただ、その大事なデータを「どうやって活用するのか」というのは、まだ少し議論が足りないのではないかなと感じることもあります。

ぼく別にデータサイエンティストでも統計学のドンでもなんでもないですけど、別にデータって、「あればあるだけいい!」とか「データがあればなんでもできる!」とかってことではないことに関しては、もっと世の中全体の期待値調整が必要だなーと思っています。


ここで結論を言ってしまうと、今日は「定量的な情報(≒データ)」と「訂正的な情報」をうまく使い分けることが大事だよなーって話です。

別に結論自体は、そこまで突飛なものではないんですけど、それを痛感する記事をたまたまきょう2つ読んだので、自戒の念も込めて、改めて書いておく。


1つ目の記事は、新25で公開されていたもの。


「告白はデートの何回目でしたらいいのか?」って以外のとある理由で上記の記事を読んでいたのですが、本文でこのような記述が出てきました。

以下、該当箇所を引用します。

インタビュアー:告白のタイミングについての噂で、「3回目のデートで告白したほうがいい」と、よく聞く気がしますが、これは本当なのでしょうか?
インタビュイー:う~ん、そうとは限りません。実情としては、3回目ぐらいで告白する人が多いから、統計的に「3回目のデートで告白が成功した人」が多くなっているだけだと思います。


「3回目のデートで告白した方がいい」って、たしかにぼく自身も聞いたことがあります。

ただ、インタビュイーの方が回答しているように、その話って、別に「3回目の告白は成功率が高い」ことを意味しているのではなくて、単純に3回目のデートで告白する人が多いから、成功の絶対数も増えて、それが結果的に「3回目のデートは成功しやすい」って話にすり替えられているだけの可能性も、大いにあるんですね。

ちょっと言い換えると、「告白は3回目のデートが良い」という話は、「相対的なデータ」ではなくて、「絶対的なデータ」である可能性があるということです。

きょうのnoteの冒頭にチラッと書いた「データをどうやって使うか」みたいな話で言えば、「ちゃんと議論の素材として有効なデータを準備しよう」というのは、大事な視点だなと思います。


2つ目の記事は、jigenさんが登場します。


最初に、きょうのnoteの内容と関連する箇所を引用します。

ちょい長です。

例えば私がお手伝いしているあるクライアントさんは、お付き合いを始める前はずっとチラシがメインで集客をしていたのですが、今ではTwitterのオーガニック投稿などを活用して売り上げを上げることに成功しています。

それ以前のお話をすると、チラシによって導かれたお客様が店舗で会員になると、顧客のデータが読み取れますよね。そうすると50代や60代の方が多く買い物に来ているのが分かったと。その結果から次に打てる施策って何ですか?となったらやっぱりチラシとかになり、Twitterを活用しようという発想にはならない。

この場合、ユーザー行動と消費行動が異なるということを考慮しないと新たな打ち手が思い浮かばないわけです。「情報が全く異なる層から発露してモノを買いに来ている」場合があるということで、そのユーザー行動と消費行動に違いがあるんだということを知っておかないと、データドリブンでやればやるほど間違った方向に行っちゃうことになりうる。


要は、商品販促のための施策として「チラシ配り」だけをやっていたら、そりゃ「チラシ配り」の成功/失敗のデータしかたまらないよなってことです。

ここでもし「データドリブン」の意味を履き違えると、「よし!データ上だとチラシ配りが一番集客につながっているから、もっとチラシ配りに注力しよう!」という意思決定になりかねません。


本当は、Web広告を出した方がいいかもしれないし、SNSアカウントを運用した方がいいかもしれないのに。

この状態に付いて、記事中に登場するjigenさんは、「ユーザー行動と消費行動を分けて考えよう」と提案しています。

例えば、「ユーザー行動」はYouTubeでヒカキンさん動画を観て、その感想をTwitterでつぶやくこと。

そして「消費行動」は、ぼくの解釈だと「誰かどこで買うのか」という問題です。

上記の例に沿って書くと、娘からヒカキンのグッズを買うことを懇願された母が、そのグッズをネット上で買って、娘への誕生日プレゼントとして贈るってシチューエーションです。


ここでもまた、「データドリブン」の意味を履き違えてしまうと、商品を販売した側には、「購入者:40代、女性」みたいな情報しかなくて(=娘から懇願されたという事情は知らされていなくて)、次の施策が、チンプンカンプンになってしまう可能性に対しても準備することができました。


「定量と定性をうまく使い分けよう」ってことをもう少しだけ踏み込むと、やっぱり、最初は定性(≒「n=1」でも問題ない、一人ひとりの数値化・可視化しにくい情報)をもとに仮説を立てることが大事です。

次、その仮説の筋の良さを調べるために、「この仮説は合っているのかな?」という世の中全体の数値を見ることが、定石なのではないかと。

言い換えると、「このn=1は本当に1人だけなのか、他にも実は同じことを考えてる人がいるのではないか」って感じで、仮説の角度を高めていきます。

「データは21世紀の宝だ!」をねじ曲がった解釈をして、「データが全て」「ありとあらゆるデータの限りを習得し尽くす」になると、ユーザーの実際の行動が曇ってしまいます。

だから順番は「定性情報を見る」→「仮説を立てる」→「その仮説の筋の良さを測るために定量情報を見る」が良いのかなと。


ということで、2つの記事を読んで、「現場の定性的な情報を元にしたユーザーインサイトへの洞察力」って、めっちゃ大事だなと思いました。

AIとか機械学習とかも大事ですが、その前にまず、やるべきことがあるのだ。



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