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日本の路地を旅する、を読んだ。

路地とは被差別部落のことである。

差別とはなにかを考えてみる。自分の身の回り、日常生活を見渡してみると、あらゆる事由から誰かが誰かを差別的に扱っていることに気づく。総じて言えることは、そこには相手を貶めることで自分の地位が上がった「ような気がしている」という盲信や幻想があり、中毒性さえ見え隠れする。

自らの心の古傷を剥がすかのように、日本各地の路地を訪れる筆者。文化人類学的なフィールドワークの集積が目的ではなく、「いったい自分は何者であるのか」を追究するという、ごくごく自然な欲求が発露したのが、本著なのだろう。

暴力、風俗、そして差別。いわゆる裏社会に含まれるこれらの世界は、怖いもの見たさ、色物として扱われることが多い。メディアで扱われる場合も同じく色物系を前提として、面白おかしくエンターテインメント性を際立たせていることが殆どだ。

著者の上原氏のように、純粋に人の始原に迫ろうとしている作品も確かに存在していることを、忘れてはいけない。


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読書感想文

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