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【ライブレポ】始まったら終わってしまう東京2Days【BUMP OF CHICKEN】Sphery Rendezvousファイナル 24/12/7-8

9月に灼熱の埼玉ベルーナドームから始まった「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」。季節は巡り、冬の東京公演(東京ドーム)2Daysでファイナルを迎えた。幸運にも2日とも参戦することができたので、ライブレポを記しておきたい。
記憶領域に仕切りがないので両日分が混在しています。僕にとってはこの2日間がいずれもファイナル。

今回のツアーで僕が参戦したライブは、埼玉初日、名古屋2Days、大阪Day2、福岡に加えて、この東京2Daysの5会場7公演。最後の2Daysは、それまでに比べて圧倒的に時間が短く感じられた。曲順も展開も分かっているけれど、すべてがあっという間。
バンドの演奏、藤くんの声、言葉、メンバーの掛け合い、会場を彩る照明、音響、背景の映像、ビジョンに映し出される姿、会場のリスナーのハンドクラップ、シンガロング、掛け声といったすべての事象が煌めいて見えた。
ひとつも漏らさず持ち帰りたい。この瞬間をこの場に閉じ込めたい。そうどんなに強く願っても叶うはずもなく、こうしてライブレポを書いている。


ライブ感想(本編)

オープニング「窓の中から」~「Sleep Walking Orchestra」

「窓の中から」の間奏部分「ラーラーラー、ラーラーラー」のコーラスの繰り返しは、これだけで圧倒的な熱量がある。
地響きのような圧力を感じるコーラスが突然鳴り止んだと思った瞬間、一瞬の静寂とともに「Sleep Walking Orchestra」の前奏が始まる。このタイミングが絶妙。

「Aurora」(1日目)

聴くたびに新しい感動をもらえる曲。ツアー中、自分が一番好きなこの曲を何度も聴けて、繰り返し深く胸に刻み込んだ。
アウトロで藤くんとヒロが向かい合ってギターを鳴らし続けるところ、本当に楽しそうでエモいよね。

「アンサー」(2日目)

前奏部分の照明、舞台前面から客席を煽るように上がっていくムービングライトに、これから曲が始まる希望を感じる。好き。

「pinkie」(2日目)

冒頭で歌詞変え。
「未来のあなたが笑ってないなら 私との今夜を思い出してほしい」。
この日のリスナーに向けたメッセージが染みる。

「記念撮影」

ノスタルジーで満たされた名曲。イントロからアウトロまでのすべてで、どうしてこんなに切なくなっちゃうんだろう。どうして曲に空気感まで込めることができるのだろう。
曲から思い起こされるのがいつの時代であるかは人によってそれぞれだと思うけれど、僕はいつも高校時代を思い出す。CMソングで使われた「カップヌードル」で流れた映像が高校時代のワンピースキャラクターだったからだろうか。高校時代はいつも一生懸命で打算なく、友達がたくさんいてアホなこともたくさんした。大人になりつつあるが自立はしていないこの時期ならではの感情が、この曲と深くリンクする。

藤くんの振り(というか仕草か)が、このツアーで回を重ねるごとに洗練されてきていて好き。
「一本のコーラを挟んで座った」で、人差し指と中指を立てて軽く振るところとか、「ポケットには鍵と / 丸めたレシートと / 面倒な本音を」で右手の人差し指、中指、薬指の順に立て、「つっこんで隠してた」で三本指を左手で包み込んでポケットに隠す仕草、「固まって待った/シャッター/レンズの前で並んで」で両手の親指と人差し指で四角い枠を作り、その後右手でシャッターを2回押す動作。埼玉では四角い枠まではあったけど、シャッターはなかったんじゃないかな。

この曲の背景で流れる映像がまたよくて、手前に花畑、奥に高層ビルが魚眼レンズを通して見たようなアニメーションがゆっくり回りながら動いている。
最近自分で撮った写真に、ちょっとイメージに近いものがあった。これを魚眼レンズで撮ったらああいう感じになるのではないかなあ。どうでしょ?

手前に花畑、奥に高層ビル。こういうイメージじゃない?

「青の朔日」(1日目)、「邂逅」(2日目)~MC

この2曲が日によって入れ替え。いずれも素晴らしい楽曲と歌声なので、どちらもセトリから外せないのでは…。これは両日行くしかないよね…!というのは後付けの理由。

ここまで、一気に聴かせる6曲。まだ前半のつもりでいても、既に全体の3分の1が過ぎ去ってしまっている。
ヒロは「始まったら終わっちゃうので、楽しんでいって下さい!」と挨拶。
そして藤くん。「会いに来たぜ。BUMP OF CHICKENツアー最終日になっちゃった。もう6曲もやっちゃった。さっき俺の左手にいる聡明な男が『始まったら終わっちゃう』と言いました。その通り、完全に同意してます。一曲一曲、セトリが僕らの手の届かないところに溶けて削られていってしまう。」

ちなみに、「セトリが削られる」という表現が初めて登場したのは、このツアーの名古屋公演。
セトリは消化されていくのではなく、一緒にいられる時間が短くなり、お別れの時間が近付いていくもので、1曲終わるたびにガリガリと削られて残りが短くなっていってしまうもの。そういう認識がバンプとリスナーとの間で共有された。
ここでリスナーから「やだー!」という声に、名古屋公演では怒ったように反応して、「それは俺が一番思ってる!」と何度も繰り返し叫んでいたのだけれど、翌週の大阪以降ではその感情は既に藤くんの中で適切に消化されたのか、反応が柔らかく優しくなり、「それは俺が一番思ってるよ」とリスナーをなだめるような語り口調になっていた。

ツアー最終日のこの日に語られた言葉。
「一番思ってるのが俺だから、一番覚悟ができてるのも俺です。そういうの全部込めて歌にするから、全部受け止めてくれ。セットリストがどんどん削れて、君も僕も手の届かないところに消えていってしまう。ツアー終わっちゃうの寂しいよ。ああどうしよう、歌ったら終わってしまう。歌いたくない。でも歌いたくて来たんだ。歌うわ。」
そして「Strawberry」へ。

「Strawberry」

間奏部分。「千葉県佐倉市からなが〜い旅を越えて今夜君に会いに来たバンド、BUMP OF CHICKENです。会えてうれしいぜー!」

「飴玉の唄」(1日目)

不安感を象徴するような、深い赤で覆われたステージ上の照明。
この曲で歌われているような切迫した不安感というのは、自分だけが持っているのかと思っていたけれど、こうして目の前に表現され、多くの人の共感を得ているのを見ると、実は多くの人が抱えているものなのだと気付かされる。
自分が何者でもなく、何者にもなり得ない、誰からも必要とされる存在ではないのではないか。自分にとって大切な人からできることなら自分自身も大切にされたい。でも自分にはそんな価値があるとはとても思えず、何の自信も持てずにいる。
善悪の基準も分からずに闇の中で氷の上を歩くようなギリギリの場所にあって、それでも「僕」は「君」を信じる。
それだけが唯一の価値基準であり、縋るような希望。

聞けない事 言えない事 上手に話せなくて泣く
出ない言葉 強い気持ち 時間が足りないと言う
僕は 君と僕の事を ずっと思い出す事はない
だってさよならしないなら 思い出にならないから
さぁ ゆっくり下手な 話をしよう
言葉の要らない 話をしよう

何億年も遠い昔から お互い知っている人がいるよ
そういう1秒を紡いで 僕と生きている 君がいるよ

「飴玉の唄」 by 藤原基央

「SOUVENIR」

このツアーで一番乗れた曲。
中間部のハンドクラップからシンガロング。
「Whoa, whoa, whoa, whoa-whoa」のところは、目いっぱい息を吸い込んで、可能な限りに声を出した。福岡ではライブ後に喉が枯れてしまったので、喉を開けて腹から出すことを意識して。

「アカシア」

センターからメインステージにメンバーが歩いて移動する間、既にアカシアのキラキラした欠片が流れている。
イントロ中の藤くん。「どこにいるんだい?ちゃんと聴こえてるか?出会えたことを確かめる僕と君の歌だ!準備はいいか、いくぞ!」
藤くんの歌い始めから、チャマが客席に向けて手拍子を煽る。

1日目、曲後の藤くん。
「この曲作ってよかった~!って思える瞬間が時々ある。それはたとえば今!」
本当にバンプとリスナーを繋ぐ大切な絆だと信じられる曲だよね。大好き。

「Gravity」(2日目)

「わりと同時にくしゃみしちゃうのが」の歌詞変え、「わりと同時にくしゃみしちゃうよね」。「よね」ってなんだ!?って思わず笑った。曲の持つ印象が急に変わる感じ。これすごい爆発力だな。天才。
もうひとつ。
(歌詞変え前)「せーのですべて飛び越えて 僕らのまま笑って」
(歌詞変え後)「せーのですべて飛び越えよう 僕らのまま笑おう
この歌詞変えもすごくいいよね…。これまで一人語りだったのが、この瞬間に藤くんとリスナーとのコミュニケーションが発生して、双方向の歌になっているところが。

「木漏れ日と一緒に」

日常の中の何気ない風景や曖昧に沈む気持ちをこんなふうに表現できるのかと、感嘆しつつただただ浸っていたくなる曲。
後半の転調後、オレンジに変わる照明がすべてを包み込んでくれる。

「天体観測」(1日目)

前の曲のあと、観客からの「ありがとう」「愛してる」といった歓声を受けての藤くん。
「俺たちも愛してるぜありがとよ。そういう愛してるとか色々言ってくれんじゃん?そういうの全部歌声に変えて頂きたい。いいでしょうか」
そして始まる歌声。
藤「♪ イマというほうき星 君と二人追いかけていた ♪」
観客「オーイエーヘーアハーン!」
藤「ーー歌声に変えて頂きたい。これは私の期待値が高いんでしょうか。♪ イマというほうき星 君と二人追いかけていた ♪」
観客「オーイエーヘーアハーン!」
藤「ーー私の期待値が高すぎるのでしょうか。しつこいだろうか。君にはとことんしつこくいかせてもらいます。♪ 君と二人追いかけていた ♪」
観客「オーイエーヘーアハーン!」
このやり直しを経て、「天体観測」本編へ突入。エモい。

「ray」(2日目)

「生きるのは最高だ」の箇所で、歌詞が天井に映し出される。
曲後の藤くん。
「生きるのは最高だって、言葉でも心の中でも君は言えたかい?
色々あると思う。それは分かってる。俺だってそうさ。でも今夜、音楽を真ん中にして待ち合わせして、こんな素敵な夜を過ごせたんだから、生まれてきてよかった、生きててよかったってこの瞬間だけでも言ってもいいだろ?ーー愛してるぜ。」
どんなにしんどい日常を送っていたって、今だけは「最高だ」って言っていいんだ。

「窓の中から」

中央のメインモニターに、それぞれ別の部屋にいる男性と女性が窓際にいる映像が流れる。福岡までは気付かなかった。新たに追加された映像だったかな。抗いようもないラストを飾る曲。
曲の最後で暗転した後も、藤くんのカデンツァ的な歌声だけがそのまま響き渡っていて、少しでも歌い続けたい、届けたいという意思を感じた。

ライブ感想(アンコール編)

アンコール呼び込み

これまでに参加した公演で初めて、アンコール呼び込みが「窓の中から」で割と揃っていたのが嬉しかった。ライブのオープニングで流れる「ラーラーラー、ラーラーラー」のところ。
僕自身はツアー初日のベルーナドームからツレと一緒に勝手に歌ってきたものの、これまではそれが周りに伝播したことがなかった。今日は初めて隣の席の人も歌ってくれていたので、伝わった感があって個人的には達成感とともにじんわりきた。

「虹を待つ人」(1日目)

1日目のアンコール1曲目。
虹最高!やってくれてありがたい。いつでも何度でも聴いて歌って体感したい。会場の一体感も素晴らしい。僕らはいつも同じ虹を待っている。

「You were here」(2日目)

2日目のアンコール1曲目。
ああ、この曲ももう一度聴きたかった。うれしい…。
ここで歌われる歌詞はこのライブの感情そのままで、胸に深く染み入る。

信じられないくらいにすぐ過ぎた
魔法の時間はすぐ過ぎた
頭の中は片付かないままで
枕まで帰る

「You were here」by 藤原基央

アウトロ中、最後の箇所が何度も重ねて歌われる。
「全て越えて会いにいくよ 会いにいくよ 見つけ出すよ 探し出すよ 会いにいくよ 会いにいくよ 見つけ出すよ 探し出すよ 会いに来てよ」
切ないけどうれしい。うれしいけど切ない。

「花の名」(2日目)

2日目の2曲目「ガラスのブルース」演奏後、メンバーが半分袖に向かっている途中で、藤くんがギターを構えて会場がどよめく。
歌い出しはアカペラで、途中からバンド演奏が加わる。
これって、2019年の「aurora ark」ツアー最終日と同じ流れでは。その時は演奏が久々だったこともあってヒロが1番ではうまく入れず2番から演奏した経緯があり、リベンジ的な流れ。
5年かけての伏線回収ぽくもあり、たいへんエモかった。

アンコール後

アンコール後、1日目のヒロ。
「みんなのおかげでここまで来れました。連れてきてくれてありがとう!」なんと、すごくいいことを言っている…!そしてさらに言葉を続けようとするも感極まって詰まってしまい、少し間をおいてようやく出てきた言葉が「また誘って下さい」。
飲み会かよとずっこけたが、ヒロの胸の中にある言葉がうまく出てこないこともすごくよく分かる。そういう部分も含めていいなあと思うよね。
2日目は、「みんなのおかげでここまで来れました。連れてきてくれてありがとう!」までは一緒で、その後「また連れてきてね」に変わっていた。えっ、すごくいいフレーズ…!
そしてこの発言で分かったことがある。彼らをツアーに連れてくるのは、僕らリスナーの仕事だったってことだ!おう、まかせろ!
同時に胸に去来するのは、ヒロがそんな立派なことを言えるようになるなんて…って、巣立ちを見る母鳥の心境。

最後のMC

1日目の藤くん。
「始まったから終わっちゃったね。一個だけ。君は今日どこで聴いてくれてたの?どこだっていいだろ。ちゃんと届いただろ。東京ドーム出たって一緒だよ。布団だろうが毛布だろうがバケツだろうが、何をかぶっていても絶対必ず、俺の、俺たちの歌は君を探して、しつこくしつこくその耳に飛び込んでいくからね。なんでそういうふうになるのか、それには根拠があって。
俺たちが音を鳴らしたら君は受け止めてくれるだろ?
受け止めてくれたって証拠をこうやって見せてくれるだろ?
だからこれからだってどんな暗闇だって、君をどこまでだって探しに行くよ。君と僕の間には、今日だけの歌が生まれました。」

2日目の藤くん。
「感情が溢れすぎてだらだら喋りすぎちゃった。ごめんね。ひとつだけいいかい?俺の、BUMP OF CHICKENの音楽は、一曲残らず、一音符残らず、一休符残らず全部幸せです。君が聴いてくれる世界に生まれたからです。
また会いに来てね。バイバイ、おやすみ。」

全部受け取ったよ。ありがとう…!

エモい

セトリ(2日分)

2024/12/7「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」東京公演(東京ドーム)

本編
0. オープニング「窓の中から」コーラス
1. Sleep Walking Orchestra
2. Aurora
3. なないろ
4. 車輪の唄
5. 記念撮影
6. 青の朔日
7. Strawberry
8. 飴玉の唄
9. 星の鳥/メーデー
10. レム
11. SOUVENIR
12. アカシア
13. クロノスタシス
14. 木漏れ日と一緒に
15. 天体観測
16. 窓の中から

アンコール
1. 虹を待つ人
2. スノースマイル

by BUMP OF CHICKEN

2024/12/8「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」東京公演(東京ドーム)

本編
0. オープニング「窓の中から」コーラス
1. Sleep Walking Orchestra
2. アンサー
3. なないろ
4. pinkie
5. 記念撮影
6. 邂逅
7. strawberry
8. 太陽
9. 星の鳥~メーデー
10. レム
11. SOUVENIR
12. アカシア
13. Gravity
14. 木漏れ日と一緒に
15. ray
16. 窓の中から

アンコール
1. 虹を待つ人
2. ガラスのブルース
3. 花の名

by BUMP OF CHICKEN

さいごに

1か月前に福岡公演が終わったときから東京ドームへのカウントダウンは始まっていた。
「始まったら終わってしまう」
この言葉を僕が初めて聞いたのは5年前。バンプのライブに初参戦した「aurora ark」、アンコール2曲目「ガラスのブルース」が始まる直前。藤くんが演奏を始めるのをためらって、この言葉を口にした。
それ以来、ライブが終わってしまう切なさを示す象徴として、このフレーズは常に僕の胸の中にある。東京公演がやってくる1か月前からこのフレーズを反芻しながら、抗いようもない日々を過ごして東京ドームを迎えた。
このツアー中に生まれた「セトリが削られていく」というフレーズも、楽しい時間が終わっていく寂しさやどうしようもない遣り切れなさを表現する際に今後使われていくのだろう。

そういった寂しさはともかくとして、ツアー最終日までメンバー全員が無事に完走できたことを心から嬉しく思う。今年は特に、「ホームシック衛星2024」もあり、年に2つのツアーを回るにあたっては計り知れない大変さがあっただろうし、少なくとも単に楽しいだけではないことは分かる。
充電期間もきちんと設けつつ、2026年の30周年に備えてほしい。
また会える日まで、僕もきちんと自分を整えておきたい。

夜の東京ドーム

おまけ

東京ドームを出て、水道橋駅に向かう途中、天井に流れるCMでこのツアー情報が短時間だけ表示されていたので思わず撮影。ちょうど通りがかったタイミングで気付けたのでよかった。

天井のビジョンに流れていた

このツアーの埼玉、名古屋、大阪、福岡のライブレポを含め、BUMP OF CHICKENに関して投稿した記事は以下のマガジンにまとめています。
よろしければどうぞご購読をお願いします。

7,500字の長文、最後までお読み下さり、ありがとうございました!
大感謝。また次のライブで待ち合わせしましょう。

(24/12/10追記)
「今日の注目記事」に取り上げて頂きました。ありがとうございます。


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