「スタートアップ×人材紹介」を10年続けて
私は「スタートアップ×人材紹介」の仕事に従事しており、早いもので10年が経ちました。今も変わらずやり甲斐を感じており、一生この仕事を続けていきたいと考えています。
まだまだ未熟な部分も多いのですが、この業界で同じ仕事をしたいと考えてもらえる人が増えたら嬉しい、この仕事の立ち位置も向上させていきたい、何よりスタートアップへの健全なチャレンジをする方の支援を更に増やし、同業界の発展に貢献したいと考えている次第です。
その上で、「人材紹介を始めたキッカケは何?」「なぜこの領域をやっているの?」「続けられている理由は?」といった質問を自社採用の面接や社内外の方とお話をさせていただく上で受けることが増えてきたので改めて簡単にまとめてみました。
人材紹介を始めたキッカケと走り出し
私の人材紹介のキャリアは、2011年に中途入社したJACリクルートメント(以下、JAC)からスタートしています。
当時は、私自身も転職エージェントに複数社登録をして話を聞き行ったのですが、どのエージェントにも殆ど同じ会社/求人しか紹介してもらえませんでした。「え?!自分の人生、この時点で行き先が決まっているのか...?!」とショックを受けたのを今でも覚えています。(その後、実際にエージェント側になった際にその仕組みを理解し考え込んだものです)
その中で唯一、JACだけが「自社でエージェントを募集しているよ、向いていると思うから是非受けてみてください!」とお話をもらい、とんとん拍子で内定をいただき、あっという間に全く予想してなかったかたちで人材紹介のキャリアがスタートしたというのがリアルな話です。(もっと綺麗なエピソードを書きたかったものです。)
とはいえ、上記の通り「どこに行ってもパッケージのように同じ求人紹介を受けてしまうこと」に違和感があったのは忘れません。
入社直後は、私と近しい若手人材のキャリア支援をしていました。私は中途入社で入った身なので担当企業も無く、とにかくリストを片っ端から電話し開拓に励んでいたのですが、最初に担当した案件はお問い合わせでご連絡をいただいた「筋子の卸売り企業/アシスタント案件」でした。しかしながら、すぐに社員の方のお友達がアルバイトで決まったとの連絡を受け、その案件は文字通り塩漬けとなりました(笑)
結局その部署はクローズしてしまい、そこから社内で当時成長傾向にあったインターネット領域を支援する部隊を立ち上げるという話が持ち上がりました。そこに私も選ばれ、本格的に自身のキャリアがスタートしました。
スタートアップの人材紹介にチャレンジした理由
インターネット領域に携わり始めた当初は、比較的認知度も高い大きな企業を担当していましたが、もっと「ひとりを採用する難しさや喜び・インパクト」が大きく、エージェントとしての介在価値を提供できる領域はないものか、と日々試行錯誤をしていました。
その上でスタートアップ企業は、成長する過程の中で人の力が非常に重要で、新しく一人が入社するだけで組織が大きく変化するという話を各所で聞き「これだ!これぞ介在価値!」と謎の使命感を持った私は、即座に「スタートアップ向けの人材紹介をやりたい」と上司に伝えました。
しかし、当時のJACは、外資系や大手企業をメインに支援をしていたので、上司からは「お前、大丈夫か?正気?辞めるの?」と真顔で言われました。それだけ異常な意思決定だったようです(笑)前例が無かったこともあり、当然社内でこの領域にフォーカスしている人は皆無でした。とはいえ当時はそこまで実績も残せていなかった事もあり、そこまで言うならやってみれば良い的な諦め半分な感じで任せてもらうこととなりました。
クックパッドに注力した思い出とそこからの気づき
スタートアップに振り切った後に最初にフォーカスしたのはクックパッド社でした。
当時の同社は白金台にオフィスがあり、社内に設置されているキッチンを中心に社員の方が行き交う様子は非常に温かみと洗練された空気を感じたのを覚えています。
私は、その「会社独自の空気感」というものを敏感に感じとる習慣があり、10年経った今でもその習慣を活かして、候補者の方に伝えるための言語化も継続しています。
周りからは「採用難易度も高いし採用数も少ないから支援は難しい、やるべきではない、無理だ。」と散々言われる中、個人としてこのサービスのファンであり、更に成長すれば世の中は確実に良くなる!と信じていたので、私に迷いは全くありませんでした。
そこからクックパッド社に注力はしましたが、最初はやはりなかなかの苦戦をし、周りの「ほらやっぱりな感」を肌で強烈に感じながらも分かってないフリをし、とにかくできる事は何でもしました。例えば、まず同社の方よりも私の方が会社や社員のことに詳しくなろう!と思い、日々情報のアップデートを心掛けていました。
当時はSNSでの個人の発信は今ほど盛んでもなかったので、めちゃくちゃアナログなのですがクックパッドカラーであるオレンジのバインダーとルーズリーフを用意し、同社のインターネット記事や日経新聞の記事などを見つけるなり全てをプリントアウトし、ノートへ切り貼り情報収集を徹底しました。
また、これも狂気じみてるのですが、”インタビューに出ている社員の方の経歴を色んなソースで確認してストックをする”ということを繰り返していたおかげで、クックパッドの誰はどこ出身で、どういったキャリアで、今何をしているかなどの情報が沢山貯まりました。
このように企業情報を徹底的に調べ込む習慣は今でも継続しており、私自身の強みになっていると思います。
全く飽きない「スタートアップ×人材紹介」
このようにトライアンドエラーを重ねても、この時は結局ご支援がなかなかできませんでした。完全に力不足でした。
しかしながら、このように企業を知り、経営者と対話し外部には出ていない企業情報の理解を深め、サポートをしていくことはとても面白く、自分なりの介在価値だなと思い、その後も他のスタートアップ企業をひたすら新規開拓し続け、メールや電話、飛び込み営業なども毎日欠かすことなく行いました。イベントなどで自分のお付き合いしたい企業の社長の登壇があればすぐに向かい、名刺交換タイムになった瞬間に先頭に並んでアプローチする方法などでも開拓をしていたのも良い思い出です。
時に企業側からは、「とても頑張ってくれているものの、決めてあげられなくてごめんなさい!それだけ一人の採用に拘っていて、、、。」と言われることもありました。
その感覚はとても大切で、パートナーになれていることがとても嬉しく、企業とも伴走できている、胸を張って候補者の方にもオススメ企業!とご紹介出来ていたのもとても良い経験でした。自分の目と耳で調べ、自分だけが保有している企業の情報を自分の言葉で伝えられるのはエージェント冥利に尽きると本気で思っていました。
そして難易度が高くとも良縁を生み出し、その後のご活躍をお聞きする時の喜びは何物にも変えられないものがありました。
また、その方の「仲間集め」を手助けできる好循環も醍醐味の一つです。
最後に
10年が経過したとはいえ、まだまだ理想系にはほど遠く、色々と学びながらトライアンドエラーを繰り返している日々です。その上でスタートアップへの紹介業は、常にこの仕事の本質へ立ち帰らせてくれると感じています。だからこそ飽きずにずっと楽しみながら続けられているのだと思います。また、スタートアップでチャレンジをする方々へのリスペクトも大きく影響しています。
冒頭に記載した通り、この業界で同じ仕事をする方が増えることで、スタートアップの発展に貢献する構図を少しでも加速させるべく、これからも色々と動いていければと考えています。
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